順天堂大学医学部卒業。国立病院機構東京医療センターでの研修を経て、大手美容外科に勤務。2017年9月に『プライベートクリニック 高田馬場』を開院。
性病の主な感染経路はもちろん「セックス」ですが、具体的にどんな行為で感染するのでしょうか。また日常生活で感染することはないのでしょうか。
今回は性病の感染経路について治療方法と対策もあわせて紹介していきますので、基礎知識として覚えておきましょう。
目次
性病の原因となるウイルスや細菌は体液(精液、腟分泌液、血液、など)に含まれていて、体の粘膜に付着することで感染します。
セックスは粘膜や皮膚が密接に触れ合う行為なので、ウイルスや細菌にとっては移動に好都合な環境です。また、性器と性器の結合以外にも、下記のような性行為で感染します。
口の中は粘膜なので、性器を口に咥えたり舐めたりして体液が口の中に入れば感染リスクは高まり、反対に口腔内のウイルスや細菌が相手の性器に移すこともあります。
ちなみに国内で感染者数がもっとも多いクラミジアや淋病は、のどにも感染することがあります。症状が出ないことも多く、知らないうちに感染していた、感染させてしまったという例も少なくありません。
また、アナルセックスでも感染する可能性があります。
ヘルペスは皮膚と皮膚の接触で感染しますので、口まわりに原因菌や原因ウイルスがいればキスでも感染する可能性があります。
ただ、のどのクラミジアや淋病であっても軽いキスであれば感染する可能性は低いですが、のディープキスの場合は唾液を介すことで感染するリスクが高まるので注意が必要です。
性病に感染した人の体液がついたアダルトグッズや手で性器や口に触れれば、性病が感染する可能性はあります。
日常生活で「他人の粘膜や体液に触れる」ことはあまりありませんので、基本的にはセックス以外での感染の可能性は少ないです。ただ、だからといって性病に感染しないと言い切れる訳ではありません。
性病の種類にもよりますが、以下のような感染経路もあります。
「毛じらみ」は基本的には性器の毛が触れ合うことで感染しますが、感染している人の衣類や下着、寝具に毛じらみや卵が残っており、それに触れて感染することもあります。淋病もクラミジアも、体液がついたタオルや下着から感染することがあります。
まれではありますが、オリモノの増加や異臭、かゆみを引き起こす「腟トリコモナス」はトイレの便座から感染する例が報告されています。
若年層だけでなく中高年層にも幅広く感染者がみられる病気なので「しばらくセックスしていない」「セックス経験がない」という女性も安心はできません。
性病の原因菌や原因ウイルスは熱に弱く、感染者と一緒に入浴したからといって感染することはあまりありません。
ただ、浴場の床や椅子などから感染する可能性がありますので気をつけましょう。とくに女性は性器が直接床や椅子に触れないように注意しましょう。
性病は症状だけで特定できませんし、症状が出ないこともあります。
自分が性病かどうかは性病検査を受けてみないとわかりません。
具体的な症状があればすぐに検査を受けることはもちろんですが、不特定多数の人とセックスをした人やしばらく検査を受けてないという人もできれば検査を受けておくことをおすすめします。
性病検査は医療機関や保健所、郵送でも受けることができますし、インターネットで申し込みもできます。ほかの人の目が気になるという人や念の為検査してみようという人は、まず郵送の検査キットで検査を試してみてもいいと思います。
ただ、気になる症状がある、感染の原因になる行為としてしまったという場合は、必ず病院での診療を受けましょう。
オンラインで診療を受け付けてくれるところもあるので、時間がない人はそちらを利用してみてください。
性病は治療が終わっても感染経路を絶たなければ再発する可能性があります。
性病の予防対策をあらためておさえておきましょう。
コンドームを使えば、粘膜同士の直接の接触を避けられますので、感染のリスクは小さくなります。セックス時に使用するにはもちろん、オーラルセックスでも装着するようにしましょう。
できれば、挿入していなくても行為の最中はコンドームをつけておくことをおすすめします。
消毒をするほど神経質になる必要はありませんが、衣類やタオルは使うごとに洗濯をして、ほかの人と共有しないようにしましょう。
もし家族やパートナーが性病にかかってしまったときは、念の為に別々に洗濯するようにしてください。
また、銭湯や温泉などでは椅子にタオルを敷いて座るようにしましょう。
多くのパートナーがいれば、それだけ性病にかかるリスクは大きくなります。セックスは特定のパートナーとだけするようにした方がいいです。
もし不特定の人とセックスしているなら、定期的に性病検査を受けるようにしてください。
性病は基本的にセックスで感染しますが、まれにタオルや公衆浴場の椅子などから感染することがあります。また、不特定の人とセックスしている人は、それだけ感染のリスクが高くなります。
性病に感染しても症状が出ないこともあるので、定期的に検査を受けて自分が感染しているかどうかをこまめに確かめるようにしてください。