監修者:

(プライベートクリニック高田馬場 院長)

尿道炎とは

尿道炎とは、尿道に細菌などが感染して発症する感染症です。

尿道は膀胱から尿道の出口までの尿の通り道で粘膜で出来ており、この粘膜に病原体が感染すると炎症を引き起こし、多彩な症状を認めます

尿道炎とは

女性は膀胱炎になることが多く、尿道炎になるのは多くの場合男性です。
尿道炎の原因は必ずしも性病だけではありませんが、男性の尿道炎では性病が原因であることが多いです。

また、尿道炎は誰にでも起こりうる病気ですが、20〜40代に多いとされます。

尿道炎の症状

尿道炎の症状

尿道炎の症状は

  • 尿道に違和感、かゆみ
  • 尿道が痛い
  • おしっこをするときに違和感、痛み
  • 亀頭の先が痛い、腫れている
  • ムズムズする
  • パンツが分泌液や膿で汚れる
  • 痛くておしっこができない
  • サラサラした液体が出る
  • ドロドロした乳白色の膿が出る
  • 尿に血が混じる
  • 膿で陰部が臭い

などを認めます。

また、尿道から精巣上体まで感染が上行すると、睾丸(金玉)にも違和感・痛みを伴う事があります。

ただし、性病が尿道に感染していても無症状のことも多いです。
症状がないからといって安心はできません。

尿道炎の原因

尿道炎の感染経路・原因

尿道炎は性病によって発症していることが多いので、性風俗に行った場合やコンドームを使用せずに性交渉を行ったり、オーラルセックスを受けた場合や不特定多数の異性と性交渉を行った場合などに感染するリスクが高いです。

性病でない場合は、陰部の不衛生状態が影響していると考えられます。

尿道炎を引き起こす性病の種類

尿道炎を引き起こす性病は次のとおりです。

  • クラミジア
  • 淋病(淋菌)
  • マイコプラズマ・ウレアプラズマ
  • トリコモナス
  • 性器ヘルペス

ただし、性病が尿道に感染していても無症状のことも多いため、症状がないからといって安心はできません。

性病ごとの症状の違い

性病ごとの症状の違い

①痛みの症状が軽く、サラサラした液体が尿道から出てくる事がある性病

  • クラミジア
  • マイコプラズマ/ウレアプラズマ
  • トリコモナス

これらは、1〜3週間の潜伏期間の後、尿道に”かゆさ”や”むずむずする”といった違和感、排尿時の軽い痛みを感じることがあります。

②痛みの症状が強く、乳白色のドロドロした膿が尿道から出てくる事がある性病

  • 淋病(淋菌)

③痛みの症状が強く、水疱を伴う事がある性病

  • 性器ヘルペス

クラミジアやマイコプラズマ・ウレアプラズマでよく見られるサラサラした透明な膿の写真

<参考>
https://www.mymed.com/diseases-conditions/chlamydia

淋病でよく見られる乳白色のドロドロした膿

<参考>
https://stdcenterny.com/gonorrhea-vs-chlamydia.html

性器ヘルペスでよく見られる特徴的な水疱

<参考>
https://www.mymed.com/diseases-conditions/herpes-simplex-virus-type-2-genital-herpes/genital-herpes-symptoms

尿道炎を引き起こす性病の検査法

尿道炎を引き起こす性病の検査法

尿道炎が性病によるものかは、採尿か直接検体を採取することによって検査できます。

①尿を採取して検査する性病

  • 即日検査が可能な性病

クラミジア・淋病(淋菌)※ただし、来院限定となります。

  • 精度の高いリアルタイムPCR検査・郵送検査が可能な性病

クラミジア・淋病(淋菌)・マイコプラズマ/ウレアプラズマ・トリコモナス

②尿以外で検査する性病

性器ヘルペスは尿から検体を採取するのではなく、特徴的な水疱から直接検体を採取してイムノクロマト法で検査を実施します。※来院限定

各性病ごとの尿道炎の治療法

各性病ごとの尿道炎の治療法

尿道炎には性病以外の可能性もありますが、ここでは性病だった場合にどのような治療を行うか解説します。

病原微生物に対して

クラミジア、淋病、マイコプラズマ、ウレアプラズマなどの病原微生物に対しては抗菌薬(抗生物質)の内服や注射などで治療します。

耐性菌といって、特定の抗菌薬(抗生物質)に対して抵抗力を持ってしまっているケースも多く、治療実績のある専門機関を受診するようにしましょう。

トリコモナスに対して

トリコモナスには抗原虫薬を使用して治療を行います。
男性には症状がでにくく、放置されやすいため、女性がトリコモナスに感染していた場合はパートナーも必ず治療する必要があります。

性器ヘルペスに対して

性器ヘルペスは抗ウイルス薬の内服や外用薬で治療します。
性器ヘルペスは一度感染すると体から完全に取り除く事ができず何度でも再発する事があります。

重症化予防の観点からは都度治療を行う必要があります。

尿道炎の市販薬

尿道炎の市販薬について

抗菌薬(抗生物質)・抗原虫薬・抗ウイルス薬は、市販されていません。


尿道炎治療で使われるお薬の処方は、医師の判断が必要です。

※ご注意

インターネットの通販で、「尿道炎の治療薬」として医薬品が販売される様子が散見されますが、お身体への安全性が不明であったり、治りきらないままになってしまう、ということも考えられます。
自己判断での服用はお控えください。

尿道炎は何日で治る?

適切な治療を行えば通常1週間以内には症状が改善します。

原因によって治療法や使用するお薬が異なるので、専門的な医療機関で適切な治療を受ける事が大切です。

なお、一度の投薬で治療できることもありますが、完治しないこともあります。

投薬後、2週間後を目安に再検査することが重要です。

尿道炎の感染経路・原因

尿道炎を引き起こす性病はセックス・オーラルセックス・アナルセックスなどあらゆる性行為で感染します。

トリコモナスや性器ヘルペスは性行為以外でもタオルの共有や公衆トイレなどでも感染する可能性があります。

尿道炎を放置しているとどうなる?

尿道の感染症を放置したり治療が不十分だったりすると、様々な合併症のリスクがあります。

膀胱や腎臓に感染の発生するリスク、精巣まで感染が及ぶと不妊の原因になり得ます。

尿道炎になったら何科を受診すればいいの?

泌尿器科・性感染症内科を受診しましょう。また、性病の感染が疑わしい場合はパートナーの治療も並行して行う事が大切です。

<参考>
https://www.cdc.gov/std/treatment-guidelines/urethritis-and-cervicitis.htm