性行為をしてから喉に痛みや咳が出る、もしかして性病かも、、
喉の奥の粘膜「咽頭(いんとう)」に性病が感染すると、咽頭炎を引き起こし、風邪のような症状を認めます。
- 「喉が痛い、咳が出る」
- 「風邪だと思って風邪薬を飲んだけどなかなか治らない」
- 「そういえば性行為の後から症状がずっと続いている」
といったケースでは、性病に感染している事があります。
喉に違和感がある時に性病を疑う人は少ないですが、発見が遅れると大きなリスクにつながる恐れがあります。

喉に感染し、咽頭炎の原因となる性病
喉に感染する性病は、咽頭クラミジアや咽頭淋病、梅毒をはじめとする以下のような病気が挙げられます。
いずれも風邪のような症状が出ることがあり、無症状の場合も多いので注意が必要です。
- 咽頭クラミジア
- 咽頭淋病(淋菌)
- 咽頭マイコプラズマ・ウレアプラズマ
- ヘルペス
- 梅毒
それぞれの違いや特徴を知ることで早期発見・早期治療に繋げていきましょう。
喉が痛い、イガイガ、違和感がある場合にあらわれる性病の症状

- 喉が痛い
- 喉がイガイガする
- 喉に違和感がある
- 咳が出る
といった軽い風邪のような症状を引き起こす性病は
の可能性があります。
これらの性病は症状にほとんど違いがないため、症状では判別できません。
また、これらの性病は感染していても無症状のことが多いのも特徴です。
パートナーが陽性だった場合や、状況証拠から性病の可能性が高い場合は、治療を優先させるケースもありますが、診断を確定させるには検査が必要になります。
なお、咽頭クラミジア・咽頭淋病・咽頭マイコプラズマ・ウレアプラズマの場合は、1〜3週間が潜伏期間となります。
喉に強い痛みがある、または口内炎がある場合にあらわれる性病の症状

- 口腔内に水疱、口内炎がある
- 喉に強い痛みがある
- 水が飲み込めない
- 高熱
- 頚部のリンパ節の腫れ
といった喉の痛みに加えて随伴症状が認める性病は
- ヘルペス
の可能性があります。
ヘルペスは唇や陰部に発症することがメインですが、オーラルセックスが原因で口腔内にも形成することがあります。
ヘルペスの場合は、1週間程度が潜伏期間の目安となります。
喉にしこりがあった場合にあらわれる性病の症状

- 喉の痛みはほとんどない
- しこりを伴う潰瘍がある
- しこりが自然に消滅した
といったしこりを伴う潰瘍を認める性病は
- 梅毒
の可能性があります。
しこりを伴う潰瘍は「硬性下疳」という梅毒に特徴的な症状です。
陰部に発症することがメインですが、オーラルセックスが原因で口腔内に形成することがあります。
梅毒は3週間が潜伏期間の目安です。
まとめると、以下の図のように性病の可能性を疑うことができます。
性病 | 主な症状 |
咽頭クラミジア 咽頭淋病 咽頭マイコプラズマ・ウレアプラズマ | 喉や首の痛み、腫れ、咳、発熱などの風邪のような症状 |
咽頭ヘルペス | 喉の痛みや腫れ、赤み、口腔内に水疱、口内炎がある |
梅毒 | 性器周囲や口の中や喉にしこりやただれができる |

風邪で喉が痛い場合は咳や鼻水、くしゃみ、だるさ、頭痛などが見られますが、性病で喉に症状が現れている場合はこのような症状が出てこないことが多いです。
また、風邪の場合は症状が1〜2週間で自然に改善されることが多いですが、性病の場合には喉の痛みが続き、風邪薬でも改善されないことが多いです。
さらに、喉の痛みが強く、鼻水がほとんど出ないときは扁桃炎の可能性もあります。
郵送検査で簡単に検査できますので、性病の疑いがある場合には、検査を積極的にご活用ください。
風邪などによる扁桃炎・咽頭炎と性病の症状の見分け方

風邪などによる扁桃炎・咽頭炎は、ウイルスまたは細菌が原因で咽頭の痛みや発熱、扁桃炎の腫れ、白い斑点が生じることを特徴としています。
風邪は通常、性行為によって直接うつることはなく、感染者の咳やくしゃみによる飛沫や感染した手や物体を介しての接触感染が主な感染源です。一方で性病による咽頭炎は、オーラルセックスが原因となります。
風邪と性病による喉のは症状は似ているため、明確に見分けることは困難ですが、以下の点に注意してみてください。
- 風邪などで見られる扁桃腺の腫れや白い斑点は、性病では見られることはそこまで多くありません。
- 風邪であれば症状は自然に良くなりますが、性病では症状が長期間続きます。
- 梅毒やヘルペスでは特徴的な発疹を認めることがあります。
喉に感染し咽頭炎を引き起こす性病の検査法

①喉の検体を採取して検査する性病
- 咽頭クラミジア
- 咽頭淋病(淋菌)
- 咽頭マイコプラズマ/ウレアプラズマ
上記の検査は郵送検査でも実施可能です。
- ヘルペス
※郵送検査不可
②喉以外の検体で検査する性病
- 梅毒
※梅毒では血液検査を実施します。
喉に感染する性病の治療法

クラミジア・淋病などに対して
クラミジア、淋病、マイコプラズマ、ウレアプラズマなどの病原微生物に対しては抗菌薬(抗生物質)の内服や注射などで治療します。
耐性菌といって、特定の抗菌薬(抗生物質)に対して抵抗力を持ってしまっているケースも多く、治療実績のある専門機関を受診するようにしましょう。
ヘルペスに対して
ヘルペスは抗ウイルス薬の内服や外用薬で治療します。
ヘルペスは一度感染すると体から完全に取り除く事ができず何度でも再発する事があります。
重症化予防の観点からは都度治療を行う必要があります。
梅毒に対して
梅毒には抗菌薬(抗生物質)を使用して治療を行います。
治療の前後で血液検査を行う必要があるので専門機関を受診しましょう。
性病治療を目的とした市販薬・通販利用の注意点

抗菌薬(抗生物質)や抗原虫薬、抗ウイルス薬は、市販されていません。
性病治療で使われるお薬の処方は、医師の判断が必要です。
インターネットの通販で、「性病の治療薬」として医薬品が販売される様子が散見されますが、お身体への安全性が不明であったり、治りきらないままになってしまうということも考えられます。
自己判断での服用はお控えください。
喉に感染する性病の感染経路・原因

オーラルセックス(フェラ・クンニ)・ディープキスなどで感染します。
オーラルセックスの際もコンドームを使用することで予防することができます。
喉に感染する性病を放置しているとどうなる?

基本的に自然治癒することはありません。
重症化予防の観点から、放置は厳禁です。
また、他人に感染させてしまうリスクもあります。
疑わしい場合は、必ず医療機関を受診しましょう。
喉に感染する性病になったら何科を受診すればいいの?
喉がイガイガしたり、唇や咽頭にブツブツとしこりや水疱ができている場合など、喉に性病が疑われる場合は、性感染症内科を受診しましょう。
耳鼻咽頭科では性感染症に対応していない場合もあります。
また、性病の感染が疑わしい場合はパートナーの治療も並行して行う事が大切です。