感染者数は増加傾向で、女性では20代の感染者が突出して増えて来ています。
女性の梅毒感染は、妊娠・出産における母子感染・先天梅毒についても注意や理解が必要です。
<参考>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/syphilis.html
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/dl/leaf03.pdf
20代の女性で増え続けている梅毒
梅毒は近年感染者数が増加しています。感染者数は増加傾向で、女性では20代の感染者が突出して増えて来ています。
女性の梅毒感染は、妊娠・出産における母子感染・先天梅毒についても注意や理解が必要です。
女性の梅毒症状写真・画像
梅毒は、主に4つの段階(第一期、第二期、潜伏梅毒、晩期顕症梅毒)を経て進行します。
それぞれの段階に特徴的な症状が現れますが、特に女性の場合、症状が目立たないことも多く、気づかないまま病気が進行することがあります。
第一期(初期症状)
初期硬結・硬性下疳

<参考>
Journal of Medical Case Reports
https://jmedicalcasereports.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13256-020-02547-x
女性陰部


肛門

<参考>
July 2022Anais Brasileiros de Dermatologia 97(5)
DOI:10.1016/j.abd.2022.01.004
LicenseCC BY 4.0
Genital ulcers caused by sexually transmitted agents
第二期(バラ疹)
バラ疹

<参考>
https://www.mdsaude.com/en/infectious-disease/syphilis-pics/

<参考>
Multiple skin ulcers from malignant syphilis – The Lancet
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2815%2960157-X/fulltext

<参考>
https://www3.nhk.or.jp/news/special/lifechat/post_174.html

<参考>
https://www.mdsaude.com/en/infectious-disease/syphilis-pics

<参考>
https://www.mdsaude.com/en/infectious-disease/syphilis-pics/

当院撮影資料

当院撮影資料
晩期顕症梅毒
ゴム腫

<参考>
https://www.mdsaude.com/en/infectious-disease/syphilis-pics

<参考>
A man suffering from syphilis, displaying pustular syphiloderm lesions on his scalp and torso. Process print after a photograph, ca. 1905.

<参考>
https://www.mdsaude.com/en/infectious-disease/syphilis-pics

<参考>
Face of a woman with a typical ‘syphilitic nose’. Picture: St Bartholomew’s Hospital Archives & Museum.
女性器などにあらわれる梅毒の症状

梅毒は感染すると、経過した器官によって症状の出る部位や内容が変わります。
また、自然に症状が消えることもあるため、感染したまま放置されてしまうことも多い病気です。
第一期(初期症状)
感染後約1ヶ月ほどで感染した部位かにしこり・潰瘍が出来ます。
また、鼠蹊部や頸部のリンパ節が痛みを伴わずに硬く腫れることもあります。
多くの場合は治療しなくても自然に症状が一旦消失しますが、梅毒への感染がなくなったわけではありません。
見た目よりも痛みが少ないことも特徴で、痛みが少なく、自然に症状が消失してしまうため医療機関を受診されずに放置されてしまうケースが多くあります。
第二期(バラ疹)
感染後3ヶ月ほどで手のひらや足の裏などに全身に発疹・湿疹ができます。
その他、丘疹性梅毒疹、粘膜疹、扁平コンジローマなども第二期に特徴的な症状です。
発熱や倦怠感、全身性リンパ節腫脹に加え、消化器系、泌尿器系、筋骨格系の症状など多様な症状を認めます。
第一期同様にこれらは自然に消失しますが、治癒しているわけではないので注意が必要です。
潜伏梅毒
血液検査では梅毒陽性反応を示すものの、症状がない状態を潜伏梅毒と呼びます。感染後1年以内を早期潜伏梅毒、1年以降を晩期潜伏梅毒とさらに大別します。
早期潜伏梅毒では再度第一期、第二期の症状が出現(移行)することから感染性があるといわれており、一方後期潜伏梅毒では性交渉による感染性はほぼないといわれています。
晩期顕症梅毒
感染後、数年から数十年するとゴム腫、大動脈瘤や大動脈弁逆流症などの心血管梅毒、脊髄癆や進行性麻痺などの致死的な病気を引き起こします。
現代日本では梅毒がここまで進行することは極めて稀でほとんど遭遇することはありません。
<参考>
国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/465-syphilis-info.html
梅毒の原因
梅毒は梅毒トレポネーマと呼ばれる細菌の感染が原因です。
感染者と、粘膜や皮膚と直接接触することで感染し、あらゆる性行為(セックス・アナルセックス・オーラルセックス)でうつる性感染症です。キスで感染する場合もあります。
詳しくは、[梅毒]の記事にて解説しています。
先天梅毒を防ぐために

妊娠している女性が梅毒に感染し、母子感染によって赤ちゃんが梅毒にかかって生まれてしまう状態を「先天梅毒」と呼びます。
出生時は無症状のこともありますが、生後数か月以内に発疹や骨に異常が出ることがあるほか、数年後に目の炎症や難聴などの症状が出ることもあります。
令和5年(2024年)1月時点で、先天梅毒が報告されたこどもの数は37人となっています。
例年20人程度で推移していたものの、近年では最も多くなっています。先天梅毒の報告数も梅毒報告総数の増加とともに増えています。
妊娠が発覚したら必ず妊婦健診を受診してください。
妊婦健診(初期)で、お母さんが梅毒にかかっているかどうかを調べる血液検査があります。
陽性と診断された場合は適切な治療を受けることで、赤ちゃんが先天梅毒となるリスクを減らすことができるため、早めの検査・治療がとても大切です。
女性から梅毒に関してよくある質問
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梅毒に感染するとおりものに症状はあらわれますか?
膣内に発症していればおりものの異常として認められる可能性はあります。また、「しこり」からの滲出液をおりものと勘違いすることもありえます。
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女性の梅毒感染時の見分け方は?
特徴的な「しこり」が特徴ですが、無症状のことも多く、心当たりがある場合はまず専門機関を受診するようにしましょう。