監修者:

(プライベートクリニック高田馬場 院長)

ブツブツやイボ、発疹などの皮疹を認める性病の種類

皮疹・発疹を認める性病の種類

まず、「皮疹(ひしん)・発疹(ほっしん)」とは皮膚に現れるブツブツした変化や赤い斑点、イボ状の突起などの総称です。
性病(性感染症)の中には、こうした皮疹・発疹が症状として現れるものがいくつかあります。

以下の性病は、ブツブツやイボ、発疹などの皮疹を伴う代表的な疾患です。

  • 性器ヘルペス
  • 梅毒
  • 尖圭コンジローマ

性器ヘルペスは、水ぶくれができるのが特徴で、強い痛みを伴います。
初めて感染したときは、発熱や体のだるさを感じることもあります。

梅毒の場合、最初にかたいしこりができることが多く、痛みをほとんど感じません
しばらくすると、手のひらや足の裏などに赤いブツブツが現れることもあります。

尖圭コンジローマは、カリフラワーのような形をしたイボができる病気で、痛みやかゆみが少ないため、気づかないうちに症状が進行することもあります。

ただれやブツブツがあり、性病と間違いやすい病気・生理現象

性病の症状に似た見た目の変化が現れても、実際には全く別の原因によるものであることがあります。

ここでは、性病と混同されやすい生理現象や良性の状態について押さえておきましょう。

男性に特有の病気・生理現象

性病と間違いやすい病気・生理現象(男性)

性病ではないけれど、症状が似ていて勘違いされやすいものもあります。
亀頭包皮炎は、細菌やカビが原因で起こる炎症で、性病というよりも免疫力が低下した時などに発症する自己感染による疾患です。

フォアダイスと呼ばれる白いブツブツは、病気ではなく、生理的なものなので心配いりません。
また、男性には真珠様陰茎小丘疹という白っぽい突起ができることがありますが、これも病気ではありません

亀頭包皮炎

亀頭包皮炎は皮膚の清潔が保てないことや局所の刺激などで発生しやすく、発赤やかゆみを引き起こします。
性病ではないものの、放置していても悪化することがあるので適切に治療することが必要です。

<参考>
https://accessemergencymedicine.mhmedical.com/content.aspx?bookid=2969&sectionid=250457070

フォアダイス

フォアダイスは皮脂腺の正常な隆起で、性器だけでなく口唇周囲などにも見られることがあります。
これは生理的なもので治療の必要はありませんが、性病との区別がつかなければ医療機関で相談しましょう。

<参考>
https://en.wikipedia.org/wiki/Fordyce_spots

真珠様陰茎小丘疹

真珠様陰茎小丘疹は陰茎の冠状溝の周りに1~2mm程度の白い小さな隆起が整然と並ぶもので、正常な解剖学的構造の一つです。

こちらも治療の必要はありませんが、尖圭コンジローマとの見分けがつきにくいので心配であれば医療機関を受診しましょう。

<参考>
https://en.wikipedia.org/wiki/Pearly_penile_papules

女性に特有の病気・生理現象

性病と間違いやすい病気・生理現象(女性)

女性にも性病と誤解されやすい生理現象があります。

フォアダイス

フォアダイスは男性と同様、皮脂腺の生理的な隆起で、外陰部や唇の周囲に見られることがあります。これは生理的なもので治療の必要はありませんが、性病との区別がつかなければ医療機関で相談しましょう。

<参考>
https://en.wikipedia.org/wiki/Fordyce_spots

膣前庭乳頭腫症

膣前庭乳頭腫症は膣の入り口付近に無害な小さな隆起ができる状態で、炎症や感染によるものではありません。

<参考>
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm076056

性病ではないものの、見た目が似ているため誤解されやすい病変も多いため、適切な診断を受けることが重要です。

尖圭コンジローマとの見分けがつきにくいので心配であれば医療機関を受診しましょう。

できものや赤い発疹、イボなどが出来る各性病の特徴と症状

性病にはそれぞれ特徴的な症状があり、早期発見のためにはこれらの違いを知っておくことが重要です。症状の現れ方や進行の仕方は性病の種類によって異なります。

ヘルペス

各性病の特徴と症状(ヘルペス)

性器ヘルペスは、水ぶくれができるのが特徴で、強い痛みを伴います。初めて感染したときは、発熱や体のだるさを感じることもあります。

ヘルペスウイルスが原因で、一度感染すると体内に潜伏し、ストレスや疲労時に再発することがあります。

水ぶくれは破れて痛みを伴う潰瘍となり、1~2週間程度で自然治癒しますが、ウイルス自体は体内に残ります。

<参考>
https://www.mymed.com/diseases-conditions/herpes-simplex-virus-type-2-genital-herpes/genital-herpes-symptoms

梅毒

各性病の特徴と症状(梅毒)

梅毒の場合、最初にかたいしこりができることが多く、痛みをほとんど感じません
このしこりは硬性下疳と呼ばれ、第1期梅毒の特徴です。

しばらくすると消失しますが、治療せずに放置すると第2期に進行し、手のひらや足の裏などに赤いブツブツが現れることもあります。

梅毒は複数の病期を経て進行し、早期の治療が重要です。

<参考>
Journal of Medical Case Reports
https://jmedicalcasereports.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13256-020-02547-x

尖圭コンジローマ

各性病の特徴と症状(尖圭コンジローマ)

尖圭コンジローマは、カリフラワーのような形をしたイボができる病気で、痛みやかゆみが少ないため、気づかないうちに症状が進行することもあります。

ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって引き起こされ、性器や肛門周囲に多発することがあります。

湿った環境で増殖しやすく、放置すると数や大きさが増加する傾向があります。

https://www.skincarenetwork.co.uk/dermatology/men/genital-warts

できものやイボ・発疹などの皮疹のある性病の見分け方

皮疹・発疹のある性病の見分け方

性病による発疹やできものは、それぞれ特徴があります。性器ヘルペスは強い痛みを伴う水ぶくれができるのが特徴です。

一方、梅毒では、はじめにできるしこりには痛みがなく、症状が進むと手足に赤い発疹が広がります。
尖圭コンジローマはイボのようなできもので、痛みはほとんどありません

性病名痛みの有無特徴的な皮疹
性器ヘルペス痛みあり小さな水疱(みずぶくれ)
梅毒(第1期)痛み少ない硬いしこり(硬性下疳)
梅毒(第2期)痛みなし赤い斑点(バラ疹)
尖圭コンジローマ痛みなしカリフラワー状のイボ

このように、痛みの有無や皮疹の形状によってある程度見分けることができます。
ただし、正確な診断には専門医の診察が必要です。

できものやイボなどの皮疹が性病かどうかを判断する方法

性病かどうかを判断する方法

自分の症状が性病によるものかどうかを見分けるには、いくつかのポイントがあります。
まず、発疹の形や色、痛みの有無をよく観察してみましょう

また、熱やリンパの腫れがあるかどうかもチェックすることが大切です。最近、性行為をしたかどうか、パートナーに性病の心配があるかどうかを考えてみるのも役立ちます。

発疹の特徴としては、ヘルペスの水ぶくれは集まって群生することが多く、梅毒の硬性下疳は単発で硬いしこりを形成します。
尖圭コンジローマは最初は小さな隆起から始まり、次第に大きくなって表面がデコボコしてきます。

ただし、自己判断だけでは限界があるため、気になる症状があれば専門機関を受診することが最も確実です。
当院ではオンラインで性病診療、治療薬の即日郵送を行なっています。誰にもバレずにお悩みを解消してください。

皮疹や発疹があるときの対処法

皮疹や発疹があるときの対処法

症状が出たときは、市販の薬を自己判断で使うのは避け、まずは患部を清潔に保つことを心がけましょう。

強くこすったり、かゆみがあっても掻いたりせず、できるだけ刺激を与えないようにしてください。
また、症状がある間は性行為を控え、パートナーにも状況を伝えることが大切です。

清潔を保つためには、刺激の少ない石鹸で優しく洗い、よくすすいでから柔らかいタオルで軽く押さえるように水分を取ります。
きつい下着や衣服は避け、通気性の良い綿素材の下着を選ぶのも大切です。皮疹部分に化粧品や香料入りの製品を使うのも避けましょう。

最も重要なのは、早めに医師に相談して、適切な治療を受けることです。
性病は早期治療が重要で、放置すると症状が悪化するだけでなく、パートナーへの感染リスクも高まります。

診断と治療について

診断と治療について

性病の診断には、視診や血液検査が必要になります。
梅毒は血液検査での診断が必要です。
性器ヘルペスは、症状がはっきりしていればオンライン診療で治療薬を処方することが可能です。
尖圭コンジローマも、症状が典型的な場合はオンラインで対応できます。

治療方法は、病気の種類によって異なります。

梅毒は抗生物質を飲むことで治療します。
完治するまで定期的に血液検査を行い、治療効果を確認することが重要です。

性器ヘルペスは、抗ウイルス薬を使うことで症状を抑えることができます。
完全に体内からウイルスを排除することはできませんが、症状の軽減や再発の予防は可能です。

尖圭コンジローマは、イボを除去するために塗り薬を使ったり、専門的な治療を受けることが必要になります。

診断から治療まで専門医のもとで行うことで、適切な対応が可能になります。
症状や不安があれば、当院までご相談ください。

まとめ

ブツブツやできものが気になったら、自己判断せずに医師に相談することが大切です。
病気の種類によって治療法が違い、早めに対応することで悪化を防ぐことができます。
性病は早期治療が非常に重要で、多くの場合適切な治療によって完治や症状のコントロールが可能です。

また、性病と間違われやすい良性の変化や生理現象もあるため、不必要な不安を抱えないためにも専門医の診断を受けることをおすすめします。
性病は決して珍しいものではなく、適切な医療を受けることで解決できる問題です。

気になる症状があれば、すぐに専門医に診てもらいましょう。
当院では、プライバシーに配慮したオンライン診療を行っていますので、お気軽にご相談ください。