監修者:

(プライベートクリニック高田馬場 院長)

C型肝炎ウイルス(HCV)とは

C型肝炎ウイルス(HCV)って何?

C型肝炎ウイルスは、主に血液を介して感染するウイルスで、肝臓に慢性的な炎症を引き起こす原因となります。

HCVは、B型肝炎ウイルスと同様に肝細胞に感染し、長期にわたる肝機能の低下や肝硬変、肝臓がんのリスクを高めます

C型肝炎に感染した多くの人々は無症状で、症状が現れたときにはすでに肝臓に重大なダメージが及んでいることが少なくありません。

C型肝炎の感染経路・原因

C型肝炎の感染経路・原因

血液の接触があれば、性行為でも感染する可能性があります

口腔内に傷などがあればオーラルセックスやディープキスなどでも感染する可能性はゼロではありませんが、B型肝炎に比べるとリスクはだいぶ下がります。

 C型肝炎は主に血液を介して感染します。

<血液感染>

  • 注射器の使い回し(覚せい剤、麻薬など)
  • 入れ墨やピアスの穴あけ器具(適切に消毒されていない場合)
  • カミソリや歯ブラシの共有

以前は、輸血や注射器の使い回しなど医療現場で感染するケースが多く報告されていました。

現在は対策が徹底されているため、日常生活においてC型肝炎を発症することはほとんどありません。

C型肝炎の症状

C型肝炎の症状

C型肝炎に感染しても、多くの方が無症状で過ごします。

潜伏期間は2〜14週間ほどで、仮に症状が出ても軽度である場合がほとんどです。

ところが、肝機能が短期間で急激に悪化すると、発熱・嘔吐・食欲不振・黄疸などといった症状が現れることがあります。このような症状が認められた場合、「急性肝炎」の可能性が高いです。

C型肝炎の多くは感染しても自覚症状がない、「不顕性感染」ですが、60~80%の人ではウイルスが自然に排除されることなく慢性化し、「慢性肝炎」になるといわれています。

また、慢性肝炎の患者さんのうち、30~40%の方が約20年の経過で「肝硬変」に進行します。肝硬変は手のひらが赤くなったり白目が黄色くなるといった症状がでるため、検査を受けると実はC型肝炎に感染していたことが発覚するケースも多いです。

さらに肝硬変の患者さんのうち、年率約7%の頻度で肝がんを合併するといわれています。

また、肝硬変は食道静脈瘤を合併することも多く、破裂すると命にかかわることもあります。

肝硬変や肝がんが末期状態に進行しますと肝不全状態となり、黄疸や腹水貯留、意識障害が進行していきます。

C型肝炎の検査

C型肝炎の検査方法

C型肝炎は感染機会から最低でも1ヶ月、できれば2ヶ月以上空けて検査を行うことを推奨しています。

感染機会から2ヶ月以内の検査だと、ウィンドウ期間といって本当は感染しているのに結果に現れないという可能性があります。

※積極的に陽性であることを確認したい場合はウィンドウ期間中の検査も制限されるものではありません。

検査方法としては、医療機関で行う精密検査の「CLIA法」があります。

CLIA法は1-2営業日で結果判定が出せます。

検査で陽性判定だった場合は、その後専門機関での精査を行います。

C型肝炎の治療方法・お薬について

当院で治療は行なっておりません。

検査で陽性が確認された場合は専門の医療機関への紹介状を無料で発行いたします

予防について

C型肝炎の予防やワクチンについて

性行為においてはコンドームを使用することが大切です。

また、C型肝炎の主な感染経路は血液感染なので、血液との接触を控えましょう。

  • カミソリや歯ブラシを共有しない
  • 入れ墨やピアスをするときは適切に消毒された器具を使用する
  • 他人の血液に触れない
  • 出血(経血・鼻血など)は自分で始末する
  • 不特定多数の相手と性行為をしない

C型肝炎を予防するには、他人の血液に接触しないことが一番です。

また、覚せい剤の使用など注射器の使いまわしもC型肝炎の感染リスクを高めることはいうまでもありません。

B型肝炎とC型肝炎の違い

B型肝炎とC型肝炎の違い

B型肝炎とC型肝炎の主な違いは、感染経路です。

  • B型肝炎:血液・体液・外傷など
  • C型肝炎:血液・外傷など

B型肝炎は血液や体液などを通して感染を起こし、大人になってから感染した場合は急性感染を発症することはあっても慢性化することはほとんどありません。

C型肝炎も血液を介して感染を起こしますが、B型肝炎よりは感染しにくいことが特徴です。

ただし、C型肝炎は慢性化しやすく、肝硬変や肝がんへの移行率も高いことが分かっています。

C型感染に関するよくある質問