監修者:

(プライベートクリニック高田馬場 院長)

男性のクラミジア発症時に起こる症状

男性がクラミジアに感染すると部位によって様々な症状を引き起こします。

クラミジア発症時に起こる症状

<尿道・精巣>

  • 尿道の違和感・痛み・かゆみ
  • 尿道からサラサラした膿が出る
  • 排膿による性器周囲の臭い
  • 睾丸(金玉)の痛み・違和感
  • 排尿時の痛み
  • 発熱 など

<咽頭(ノド)>

  • 喉の違和感・痛み
  • 発熱 など

<直腸>

  • 肛門周囲の痛み・違和感など
  • 出血

<眼>

  • 目の充血・目やに・目の痒み など

男性がクラミジア感染に気づくタイミング

  • 風俗店に行って体液(唾液を含む)の接触があった。
  • 性器に違和感や痛み・かゆみがある
  • 性器が臭う
  • パートナーに症状がある、パートナーが検査をして陽性だった。
  • 不特定の方と性的な接触があった。
  • 性交渉の後から風邪のような症状が続く
  • 新しいパートナーができて念の為検査をしたら陽性だった。

これらをきっかけに発覚するケースは少なくありません。

一方で、症状が出ないまま数年間も見過ごされることがある点にもご注意ください。

自覚症状がない場合でも、思い当たる節があれば、できるだけ早く医療機関へ相談することをおすすめします。

男性における尿道・性器クラミジア

男性の尿道や性器にあらわれるクラミジアの症状

尿道や性器にあらわれるクラミジアの症状


男性がクラミジアに感染しても50%は無症状といわれています。
有症状の場合は、尿道の違和感尿道からサラサラした透明な膿が出てくることが特徴的です。

クラミジアは放置していると尿道から体の奥に侵入し、前立腺や精巣へ感染を拡大します。
放置すれば、クラミジアは尿道から体内へ広がり、前立腺や精巣まで感染が及ぶ可能性があります。

精巣周囲への感染は精管狭窄や無精子症といった不妊の要因になるため、早期対応が欠かせません

男性の尿道や性器にあらわれる

クラミジア感染に特徴的なサラサラした透明な膿が尿道から出ている
https://www.mymed.com/diseases-conditions/chlamydia#chlamydiamen

クラミジア感染に特徴的なサラサラした透明な膿が尿道から出ている
『アトラスでみる 外陰部疾患プライベートパーツの診かた』

少し乳白色の膿が出てくる
『アトラスでみる 外陰部疾患プライベートパーツの診かた』

男性の尿道や性器クラミジアの感染経路・原因 

尿道や性器クラミジアの感染経路・原因

セックス・アナルセックス・オーラルセックス(フェラ・クンニ)などあらゆる性行為で感染する可能性があります。

心当たりなく感染するのか

全く心当たりがなく感染することはある?

日常生活での感染は基本的にはほとんどないといえます。

(文献によっては極めて稀にトイレやバスタオル、お風呂や湯船の共有など、感染するとの記載もあります)

男性の尿道や性器クラミジアの潜伏期間

尿道や性器クラミジアの潜伏期間

クラミジアの潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)は1〜3週間程度といわれています。

健康状態によっては数日間で即発症することもあり得るので上記の期間は絶対的なものではなく目安とお考えください。

男性は無症状でも相手に感染させるのか

クラミジアは無症状であっても他人に感染させてしまう可能性があります

無症状でも菌を保有しているため、知らず知らずのうちに感染を蔓延させることがあります。

男性における咽頭クラミジアの症状

咽頭クラミジアの症状

男性における咽頭クラミジアの症状

咽頭クラミジアの症状は、無症状であることが非常に多く、症状がないから大丈夫とはいえません。 

有症状の場合

  • ノドの違和感、痛み
  • イガイガがずっと続く
  • 喉風邪のような症状
  • 発熱
  • 咽頭、扁桃の赤み、腫れ

などの症状を認めます。

男性にあらわれる咽頭クラミジアの写真・画像


ほとんど所見がないことも多く、見た目だけでクラミジア感染を判断するのは困難です。

咽頭クラミジア感染による扁桃咽頭炎

<参考>
Chlamydia Trachomatis Tonsillopharyngitis
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1155/2012/736107

咽頭クラミジア感染による濾胞

<参照>
『アトラスでみる 外陰部疾患プライベートパーツの診かた』

男性の咽頭クラミジアの感染経路

咽頭クラミジアの感染経路

オーラルセックス(フェラ・クンニ)などで感染します。

キスでも多量に病原体との接触があれば感染する可能性はあります

男性における目・眼・結膜クラミジア(クラミジア性結膜炎)

目・眼・結膜クラミジアの症状

男性にあらわれる目・眼・結膜クラミジア(クラミジア性結膜炎)の症状

クラミジアが目・眼・結膜に感染すると充血したり目やにが出てくることがあります。
成人型のクラミジア性結膜炎は感染から1週間ほどで発症します。

男性の目・眼・結膜クラミジア(クラミジア性結膜炎)の写真・画像

結膜の充血を認めます。

(写真参照)
『アトラスでみる 外陰部疾患プライベートパーツの診かた』

男性の目・眼・結膜クラミジア(クラミジア性結膜炎)の感染経路

成人の場合は性行為による接触が原因になります。

男性における直腸クラミジア

男性における直腸クラミジアの症状

直腸クラミジアの症状

軽い下痢、肛門周囲の痛み、出血を認めることがありますが、70%は無症状といわれています。

男性における直腸クラミジアの感染経路

オーラルセックス、アナルセックスのほか、尿からの分泌液が直腸へ流入することでも感染する可能性があります。

男性のクラミジア感染で引き起こされる病気

クラミジア感染で引き起こされる病気

尿道炎

尿道(おしっこの通り道)に病原体が感染することで炎症を起こし、痛みや膿の分泌などを引き起こす病気を尿道炎と呼びます。

精巣上体炎

睾丸の中にある「精巣上体」という組織で炎症を起こす病気を精巣上体炎と呼びます。精巣上体炎が長期間放置されることで不妊の原因になることがあります。

前立腺炎

膀胱の直下にある「前立腺」という臓器に炎症を起こす病気を前立腺炎と呼びます。前立腺まで感染をすると排尿時痛や頻尿などの症状を認めます。

直腸炎

クラミジアがアナルセックスなどで肛門から直腸粘膜に感染すると直腸炎を引き起こします。症状がないことが多いですが、肛門痛や下血などの症状を認めることがあります。

咽頭炎・扁桃炎

クラミジアが喉の粘膜に感染すると咽頭炎や扁桃炎を引き起こします。有症状の場合は、風邪のような症状が続くことが多い傾向にあります。

クラミジアの検査方法と検査ができる時期

クラミジアの検査は感染が疑われるタイミングからすぐに行うことができます

検査方法は

① 精度の高い核酸増幅法(1-2営業日で結果判定)
② 30分以内に結果の出るイムノクロマト法検査(当日中に結果判定)

の2種類があります。

クラミジアの検査方法と検査ができる時期

核酸増幅法

精度の高い検査で郵送検査でもこの方法で検査を行っています。

メリット無症状、心当たりの性行為直後から高い精度の検査を行うことができます。
即日検査のイムノクロマト法よりも検査費用が抑えられます。
デメリット結果判定まで1~2営業日かかります。

イムノクロマト法

ご来院いただき30分で即日結果が確認できます。

メリット当日ご来院いただければ即日30分以内で結果をお伝えできます。
デメリット核酸増幅法に比べて検査精度が低く、特に陰性判定を目的で行う場合には推奨していません。

部位別の検体採取の方法

【男性】
尿を採取して検査を行います。
【ノド】
生理食塩水でうがいをしてうがい液で検査または咽頭粘膜をし擦って検体を採取します。

いずれも採取に痛みは伴いません
※血液検査は女性の腹腔内感染など特殊状況下でのみ有用性を発揮するため原則的に行いません。

男性のクラミジア 治療方法

クラミジアは薬で治療できる

クラミジアの治療方法・お薬について

クラミジアは薬で治療できます

マクロライド系の抗菌薬(アジスロマイシン)を内服します。
アジスロマイシンは1度内服すると1週間効果が継続するため、飲み忘れの心配がない点に大きなメリットがあります。

通常は1回の内服でほとんどが完治しますが、再検査で陽性が認められた場合は他の抗菌薬で再治療します。

ご注意

クラミジアのお薬は、市販されていません。

クラミジアの治療で使われる「抗菌薬(抗生物質)」の処方は、医師の判断が必要です。

インターネットの通販で、「クラミジアの治療薬」として抗菌薬が販売される様子が散見されますが、お身体への安全性が不明であったり、治りきらないままになってしまう、ということも考えられます。自己判断での服用はお控えください。

クラミジアの薬は何日で効くか

クラミジアの薬は何日で効くか

薬を服用してから1週間以内にほとんど症状は改善します

一方で、感染していることに気づかず放置してしまっていた場合、クラミジアがお腹の中に広がってしまっている時には治療が長引く場合があります。

クラミジア治療中に性行為はできるか

治療中の性行為は厳禁です

性行為再開は原則的に再検査で陰性が確認できてからとなります

治療後の検査

お薬を内服後2週間以上経過してから治療の効果判定の検査を推奨しています。

2週間以内に検査するとクラミジアの死骸に反応することで『偽陽性』となってしまうことがあります。

男性のクラミジア患者数の推移

クラミジア患者数の推移・トピックス

全年齢でクラミジアの感染者数は増えている

5歳毎の年齢階級別定点当たり報告数は、男性では20代、特に20代前半が報告数が最多でした。
特に20代前半は2017年から、20代後半は2018年から増加し、その後15歳から49歳までの幅広い年齢階級で増加してきています。


<国立感染症研究所>
https://www.niid.go.jp/niid/ja/chlamydia-std-m/chlamydia-std-idwrs

男性からクラミジアの症状に関してよくある質問

参考文献