おりものとは

おりものは膣や子宮から分泌される粘性の液体です。
粘膜の保護や雑菌が侵入することを防いでくれる大切な役割を果たしています。
量や色、ニオイには個人差があり、体調や生理周期などで変化します。
また性病や婦人科疾患でもおりものの性状が変化するため、健康のバロメーターとしておりものについて正しい知識を身につけることが大切です。
正常なおりもの
一般的に正常なおりものはニオイがあまりなく、乳白色またはサラサラした透明な液体です。
通常、排卵期でおりものの量が増えて透明でサラサラした性状になり、生理前後で乳白色の粘り気のある性状になります。
<参考>
正常なおりもの
https://anavara.com/vaginal-discharge-and-what-each-color-means
おりものの異常
おりものは女性のカラダの健康バロメーターです。
おりものの性状がいつもと異なる、ニオイがいつもと異なる、量が多いなどの変化が見られた場合は性病や婦人科疾患に罹っているかもしれません。
おりものに異常があらわれる原因としては、以下のようなものがあります。
- 生理周期
- 加齢
- 妊娠によるもの
- 性病に感染
おりものの色ごとに、考えられる性病を解説します。
おりものが黄色に変化したとき

おりものが黄色の時に疑われる病気は以下の通りです。
- クラミジア
- 淋病(淋菌)
- マイコプラズマ・ウレアプラズマ
- トリコモナス
- 細菌性膣炎
病原体に感染して白血球や細菌がおりものに含まれることでおりものが黄色に変化します。
また、イカくさいようなニオイを伴うこともあります。
おりものが黄色に変化した時に頻度の多い病気
おりものが黄色に変化した時、性交渉と無関係に発症した場合はまず「細菌性膣炎」を疑います。
おりものが黄色に変化した時、性交渉の後に発症した場合は頻度という観点からいえば「クラミジア」を疑います。
ただし、原則的には原因は検査で確定するので目安としてお考えください。
おりものが黄緑色・緑色に変化したとき

おりものが黄緑色・緑色の時に疑われる病気は以下の通りです。
- クラミジア
- 淋病(淋菌)
- マイコプラズマ・ウレアプラズマ
- トリコモナス
- 細菌性膣炎
黄色いおりものからさらに多くの細菌や死滅した白血球などが混じることでおりものが黄緑色・緑色を呈することがあります。
おりものが黄緑色・緑色に変化した時に頻度の多い病気
おりものが黄緑色・緑色に変化した時、性交渉と無関係に発症した場合は「細菌性膣炎」を疑います。
黄緑色・緑色でかつ「泡状」のおりもので非常に強いニオイの時は「トリコモナス」に感染している可能性が高い特徴的なおりものです。
おりものが白色に変化したとき

おりものが白色の時に疑われるときは、カンジダ性膣炎(カンジダ性膣症)/カンジダ症に感染している可能性があります。
特にカッテージチーズ状・ヨーグルト状でポロポロ・ドロドロしている場合はカンジダ性膣炎(カンジダ性膣症)/カンジダ症の可能性が高くなります。
ニオイの症状はそこまで気になりませんが、外陰部に強いかゆみを伴うことが特徴です。
おりものが茶色になったり、血が混ざるとき

おりものが茶色・血が混ざる時に疑われる病気は以下の通りです。
- クラミジア
- 淋病(淋菌)
- マイコプラズマ・ウレアプラズマ
- トリコモナス
- 悪性腫瘍
- ポリープ
おりものが茶色い時は血液が混ざっていることが原因です。
性病などの感染症で炎症が波及すると不正出血をきたす事があります。
また、悪性腫瘍やポリープなどが原因で出血している場合も茶色のおりものを認める事があります。
また、生理前後や排卵前後に見られることもありますが、一時的なものであればほとんど心配はいりません。
おりものの性状
おりものが水っぽい場合

おりものが水っぽい時に疑われる病気は以下の通りです。
- クラミジア
- 淋病(淋菌)
- マイコプラズマ・ウレアプラズマ
- トリコモナス
- 細菌性膣炎
生理周期に伴っておりものがサラサラと量が増えることもありますが、生理周期と関係なく水っぽいおりものが増える場合は性病などに感染している可能性があります。
おりものが臭い場合

おりものが臭い時に疑われる病気は以下の通りです。
- クラミジア
- 淋病(淋菌)
- マイコプラズマ・ウレアプラズマ
- トリコモナス
- 細菌性膣炎
特にトリコモナスに感染していると特徴的な生臭いニオイを引き起こす事があり、下着の上からでも強いニオイを感じる事があります。
おりものが多い・量が増えた場合

おりものが多い・量が増えた時に疑われる病気は以下の通りです。
- クラミジア
- 淋病(淋菌)
- マイコプラズマ・ウレアプラズマ
- トリコモナス
- 細菌性膣炎
- 膣カンジダ・カンジダ性膣炎(カンジダ性膣症)
おりものは生理周期に伴って自然に増えたり減ったりを繰り返しますが、普段よりも多い状態がしばらく続くようであれば性病などの病気に感染している可能性があります。
おりものの治療
おりものの症状が原因によって治療法も変わります。
病原微生物に対して治療する場合
クラミジア、淋病、マイコプラズマ、ウレアプラズマなどの病原微生物に対しては抗菌薬(抗生物質)の内服や注射などで治療します。
耐性菌といって、特定の抗菌薬(抗生物質)に対して抵抗力を持ってしまっているケースも多く、治療実績のある専門機関を受診するようにしましょう。
トリコモナスを治療する場合
トリコモナスには抗原虫薬を使用して治療を行います。
男性には症状がでにくく、放置されやすいため、女性がトリコモナスに感染していた場合はパートナーも必ず治療する必要があります。
細菌性膣炎・カンジダ性膣炎を治療する場合
細菌性膣炎、カンジダ性膣炎にはそれぞれ異なる膣錠で治療を行います。
自然治癒することもあり得ますが、放置していると症状が悪化することもあるため、症状の軽いうちにお薬を使用することが早期改善の近道です。