HIV/AIDSとは

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染し、病状が進むことで免疫力が大幅に低下し、さまざまな合併症を引き起こした状態をエイズ(AIDS: 後天性免疫不全症候群)と呼びます。
本記事では特に男性に焦点を当て、HIV/AIDSに関する感染経路や予防策などを詳しく解説します。
HIVの感染経路と男性特有のリスク要因

HIVは、感染者の体液(血液、精液、膣分泌液、母乳など)を介して他者に感染します。
特に、性的接触や血液を介した感染が主要な経路です。
男性の場合、以下のような行動・状況で感染リスクが高まります。
性的接触
男性間での性的接触(MSM:Men who have Sex with Men)は、HIV感染リスクが特に高いとされています。
アナルセックスやオーラルセックスの際に、微小な傷ができることで、HIVが血流に入り込む可能性が高まります。
コンドームの使用は感染リスクを大幅に低減させることができますが、使用しない場合や破損がある場合は、感染リスクが高まります。
また、異性愛者の男性も感染リスクがあることを忘れてはいけません。
特にコンドームを使用しない場合や、複数の性的パートナーとの接触がある場合、HIV感染のリスクが高くなります。
血液を介した感染
HIVは、血液を通じても感染します。
特に、注射器の共有や血液製剤の使用がリスク要因となります。
麻薬を使用する男性が注射器を共有する場合、他者のHIV感染者の血液が注射器を介して体内に入る可能性があります。
さらに、タトゥーやピアスを施す際に衛生管理が不十分な器具を使用することも、感染リスクを高める要因です。
その他の感染経路
医療行為による感染も考えられますが、先進国においては対策が取られており、これらの経路での感染は比較的少なくなっています。
男性に特徴的なHIV/AIDSの症状はあるのか

結論からいうとHIV/AIDSの症状は男女共通の症状が多く、男性に限った症状は特にはありません。
男女共通で見られる症状としては、大きく「感染初期」「無症候期」「感染期(AIDS発症期)」の3段階に分かれてあります。
- 感染初期(急性期)
感染後2〜6週間ほどで、風邪やインフルエンザのような症状が現れることがあります。具体的には発熱、リンパ節の腫れ、咽頭炎、皮疹、筋肉痛・関節痛、頭痛、下痢、嘔吐などが代表的です。 - 無症候期
初期症状が収まると、数年〜十数年にわたり自覚症状のない時期が続きます。この間は日常生活に支障がない場合が多いですが、ウイルスは体内で増殖を続けています。 - 感染期(AIDS発症期)
免疫システムが著しく低下し、日和見感染(通常はかからない弱い病原体)や悪性腫瘍などの重大な合併症を引き起こすようになります。
HIV/AIDSの検査方法と検査ができる時期

HIV/AIDSは、感染機会から少なくとも1か月、できれば2か月以上経ってから検査を行うのが望ましいとされています。
理由としては、ウィンドウ期間と呼ばれる時期があり、感染していても検査で陰性に出てしまう可能性があるためです。
早期に陽性を確認したい場合や、不安が強い場合はウィンドウ期間中でも検査はできますが、確実な結果のためには時期に注意が必要です。
- 医療機関での精密検査(CLIA法)
1〜2営業日で判定可能 - 医療機関での即日検査(イムノクロマト法)
30分ほどで結果が出る - 郵送検査(CLEIA法)
自宅で採血し検体を郵送、到着後1〜2営業日で判定
どの検査方法も、スクリーニングとしてはほぼ同等の精度です。
いずれの検査も第一段階のスクリーニング目的なので、スクリーニング検査で陽性判定だった場合は、再検査またはエイズ拠点病院での精査を行います。
ご来院いただける場合は早めに検査結果がわかることがメリットですが、ご来院が難しい場合でも同程度の精度で郵送検査の実施が可能です。
疑わしい場合はまず検査を実施するようにしましょう。
男性に有用なHIVの予防方法

男性のHIV感染を防ぐための具体的な予防策を挙げます。
コンドームの使用
最も効果的な予防策の一つは、性的接触時にコンドームを正しく使用することです。
特に、アナルセックスや異性間性交でのコンドームの使用は、HIV感染のリスクを大幅に低減させます。
PrEP(HIV感染予防薬)の使用
PrEP(Pre-Exposure Prophylaxis)は、HIVに感染していない人が定期的に薬を服用することで、感染リスクを下げる方法です。
特に、HIV感染リスクの高い男性、例えばMSMやHIV陽性のパートナーを持つ男性に有効です。
定期的な検査の推奨
定期的なHIV検査は、早期発見と治療開始に繋がります。
特に、複数の性的パートナーを持つ場合や、安全でない性行為がある場合には、年に1回以上の検査が推奨されます。
注射器の共有は避けること
麻薬使用者においては、注射器の共有を避けることが重要です。
清潔な器具を使用し、共有を避けることでHIV感染リスクを低減することができます。
エイズの男性割合はどれくらいか
日本国内の統計によると、HIV感染者の新規報告において「男性同性間性的接触」による感染が全体の70%以上を占めています。
特に20〜40代に多く見られ、異性間性的接触での感染も約12%程度報告されています。
