トリコモナスとは
トリコモナスとは、性病を引き起こす病原体(「トリコモナス原虫」という寄生虫)の一種で、感染することにより「トリコモナス症」を引き起こします。
男性は女性よりも症状が出にくいため、男性が知らない間に感染を拡大させてしまう可能性があります。
自然治癒はしないので、医療機関での治療が必須になります。

無症状でも有症状でも、適切に治療を行えばほとんどが完治するため、適切に治療を行うことが大切です。
顕微鏡で確認できるトリコモナス原虫

<参考>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%A2%E3%83%8A%E3%82%B9
トリコモナスの感染経路・原因

トリコモナスの感染経路・原因は、膣内性交(セックス)がメインとなりますが、日常生活でも感染する可能性があります。
下着やタオル、便器や浴槽などを通じても感染するため、性行為の経験のない幼児や心当たりのないご高齢の方でも感染することもトリコモナスの特徴です。
<参考>
https://jssti.jp/pdf/guideline2008/02-7.pdf
トリコモナスは心当たりなく感染するのか
トリコモナスは全く心当たりがなく感染することはあるのでしょうか?
結論としては、全く心当たりがなくても感染する事があります。
トリコモナス原虫は人間の体内を離れても死滅しないため、タオルや便器、浴槽などを介して感染する可能性があります。
トリコモナスの症状

トリコモナスは男性では症状が出にくく、女性では特徴的なおりものの異常を認めることもありますが、無症状のことも多い病気です。
男性のトリコモナスの症状
男性のトリコモナスの症状は、無症状のことが非常に多い傾向にあります。
有症状の場合、
- 陰部・尿道の違和感や痛み
- 尿道からサラサラした膿が出る
- 排尿時に違和感や痛み
などを認めます。
女性のトリコモナスの症状

女性のトリコモナスの症状は、おりものの異常や陰部のかゆみ、膣の刺激感が典型的です。
感染者の20-50%は無症状といわれています。
有症状の場合、
- 陰部の違和感や痛み・性行為痛・不正出血
- おりものの量が増えた、おりものの臭いが強くなる
- おりものが泡状になる・おりものの色が黄色〜黄緑色になる
などを認めます。
<参考>
https://jssti.jp/pdf/guideline2008/02-7.pdf
トリコモナスに似た症状の性感染症

トリコモナスに似た症状の性感染症の原因菌として
- クラミジア
- 淋病(淋菌)
- マイコプラズマ・ウレアプラズマ
- トリコモナス
といった病原体があります。
全て共通していて無症状のことも多いことが特徴です。
「トリコモナスとクラミジア」や「トリコモナスと淋病」など、
重複して感染していることも多く、重複感染を念頭に検査や治療を行うことも大切です。
当院では重複感染を考慮した治療・処方を行っています。
お気軽にご相談ください。
トリコモナスを放置するとどうなるか

男性の場合は精巣上体炎や精管炎、前立腺炎など、女性の場合は子宮内膜症や子宮頸管炎、卵管炎、骨盤腹膜炎などの病気を引き起こす可能性があります。
また、これらの病気によって男女とも不妊につながり、妊娠を希望されても妊娠が叶わず、高額な不妊治療が必要になってしまうこともあります。
トリコモナスは自然免疫で排除はされないので、必ず抗菌薬での治療が必要になります。
心当たりがある際は必ず検査や治療を行うことが大切です。
トリコモナスの潜伏期間

トリコモナスの潜伏期間はどれくらいか
トリコモナスの潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)は1週間前後といわれています。
健康状態によっては、さらに早く即発症することもあり得るので、上記の期間は絶対的なものではなく目安とお考えください。
無症状でも相手に感染させるのか
トリコモナスは無症状であっても他人に感染させてしまう可能性があります。
無症状でも、知らず知らずのうちに感染を蔓延させることがあるので責任感をもった行動が求められます。
トリコモナスの検査方法と検査ができる時期

トリコモナスの検査方法
トリコモナスの検査は感染が疑われるタイミングからすぐに行うことができます。
検査方法は精度の高い核酸増幅法(1-2営業日で結果判定)です。
核酸増幅法は精度の高い検査であり、郵送検査でもこの方法で検査を行っています。
核酸増幅法のメリットとしては、無症状、心当たりの性行為直後から高い精度の検査を行うことができます。
即日検査のイムノクロマト法よりも検査費用が抑えられます。
一方、核酸増幅法のデメリットとしては、結果判定まで1~2営業日かかる点があります。
部位別の検体採取の方法
【男性】
(核酸増幅法)尿を採取して検査を行います
【女性】
膣内に細長い綿棒を挿入して膣内を擦って検体を採取します。
トリコモナスの治療方法・お薬について

トリコモナスは薬で治療できる
トリコモナスは、薬での治療ができます。
主にフラジール(成分名:メトロニダゾール)という内服薬で治療を行っています。
フラジール(メトロニダゾール)は膣錠の規格もありますが、尿路など膣以外へも感染している可能性があるので原則内服加療が必要です。
ご注意
トリコモナスのお薬は、市販されていません。
トリコモナスの治療で使われる「フラジール(成分名:メトロニダゾール)」の処方は、医師の判断が必要です。
インターネットの通販で、「トリコモナスの治療薬」として抗菌薬が販売される様子が散見されますが、お身体への安全性が不明であったり、治りきらないままになってしまう、ということも考えられます。自己判断での服用はお控えください。
トリコモナスの薬は何日で効くか
薬を服用してから1週間程度で症状は改善します。
トリコモナス治療中に性行為はできるか
治療中の性行為は厳禁です。
性行為再開は原則的に再検査で陰性が確認できてからとなります。
治療後の検査
お薬を内服終了後、1週間以上経過してから治療の効果判定の検査を推奨しています。
2週間以内に検査するとトリコモナスの死骸に反応することで「偽陽性」となってしまうことがあります。
トリコモナスの予防方法
淋病を予防するためのポイント
淋病にかからないための予防方法として、
- コンドームを使用すること
- 定期的に検査を受けること
- 不特定多数との性行為を避けること
が挙げられます。
トリコモナスに関するよくある質問
-
自然に治ることはないのでしょうか?
お薬を使用しない限り治癒することはありません。
-
治療期間はどのくらいですか?
膣剤または内服のお薬を10日間程度使用します。また、トリコモナスは女性男性同時治療が原則で、パートナーの男性の方も必ず治療を行う必要があります。
-
治療中に性交渉しても大丈夫ですか?
治療中の性交渉は避けてください。
-
トリコモナスはキスやオーラルセックスでもうつりますか?
キスやオーラルセックスの感染リスクは低いといわれていますが、感染する可能性があります。
-
妊娠中にトリコモナスを発症した場合、治療は受けられますか?
妊娠中でもトリコモナスの治療を受けることは可能です。
妊娠3ヶ月以内の方は、飲み薬ではなく膣錠飲みで治療を行います。
-
検査結果を知るために再度来院する必要はありますか?
Webから検査結果が確認できるので、ご来院していただく必要はございません。
-
パートナーが感染していたためお薬の処方だけしてほしいのですが可能ですか?
医師が問診させていただいた上で問題なければお薬のみ処方することも可能です。