監修者:

(プライベートクリニック高田馬場 院長)

尖圭コンジローマとは

尖圭コンジローマとは、膣や肛門の周辺に数mm〜数cm大のカリフラワー状、ニワトリのトサカ状の特徴的なイボを認める性病です。

「尖圭」の読み方は「せんけい」で、先が尖っているイボの特徴を表しています。

感染機会から数週間〜数ヶ月の潜伏期間を経て発症しますが、痛みやかゆみなどの随伴症状があまりないことから、しばらく放置されて症状が拡大してから受診されるケースが散見されます

尖圭コンジローマって何?

尖圭コンジローマを発症するウイルスは、発がん性リスクが低いウイルスです。

しかし、高リスクな悪性タイプウイルスと同時に感染した場合、子宮頸がんになる場合があります。

女性はこのような可能性も考えられるため、十分に気をつけましょう。

<参考>
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/428-condyloma-intro.html

当院撮影資料
尖圭コンジローマの特徴的なイボ

 

女性の尖圭コンジローマの症状

女性の尖圭コンジローマの症状

女性の尖圭コンジローマの症状は特徴的なイボが

  • 外陰部
  • 会陰

などを中心に発症し、徐々に範囲が拡大していきます。

口腔周囲、口腔内、肛門周囲や直腸内部に発症することもあります。

痛みやかゆみなどがなく、日常生活では見えにくい部分に発症することも多いです。
そのため、女性では範囲が拡大してから気づく事が多い傾向にあります

女性の尖圭コンジローマの症状写真

<参考>
https://www.verywellhealth.com/genital-warts-8605619

<参考>
https://step2.medbullets.com/infectious-dis/322161/condyloma-acuminata

尖圭コンジローマに感染すると子宮頸がんになってしまうの?

尖圭コンジローマに感染していることが直接的に子宮頸がん発症には繋がりません。

尖圭コンジローマに関わるHPVと子宮頸がんの発症に関わるHPVの型が異なるためです。

<参考>
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/cervical-cancer
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html

尖圭コンジローマの感染経路・原因

尖圭コンジローマの原因

尖圭コンジローマの感染経路は、セックス・オーラルセックス・アナルセックスなどあらゆる性行為で感染します。

また、非常に稀ですが、手指や病変部位に接触する物を経由した接触感染で感染することがあるので注意が必要です。

かゆみや痛みなどの随伴症状がないため放置されやすく、気付かずに感染してしまうことがあり得ます。

<参考>
https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/wart

また、尖圭コンジローマは、HPV(ヒトパピローマウイルス)6型と11型のウイルスが原因となる、ウイルス性の感染症です。
HPVには100種類以上の型があることが分かっており、低リスク型と高リスク型に分けられます。

尖圭コンジローマの場合は、低リスク型で発がん性が低く、いわゆる良性のイボとされています。

性行為によって感染する原因がほとんどで、日常生活での人や物との接触により感染することはほぼありません。

ただし、幼児が両親や医療従事者と接触したことにより感染し、尖圭コンジローマを発症した事例が過去に報告されています。
また、分娩時にお母さんから赤ちゃんへ感染したケースもあります。

女性に生じる尖圭コンジローマに似た症状の病気

尖圭コンジローマに似た症状の性病

膣周辺にブツブツが見られる病気

膣の周辺にブツブツが見られる病気としては

  • 梅毒
  • 性器ヘルペス
  • 尖圭コンジローマ

といった性病があります。

梅毒やヘルペスとははブツブツの形状が異なり、見た目で判別可能なので、診断に迷うことはあまり多くありません。

尖形コンジローマと似ているブツブツ

尖形コンジローマと似ているブツブツ(性器周辺にブツブツが見られる生理現象)としては、以下のものが考えられます。

  • フォアダイス
  • 膣前庭乳頭腫症

これらは尖圭コンジローマと異なり、無害な生理現象です。

専門の医師が診察すれば一目瞭然ですが、判断つかない場合は医療機関を受診しましょう。

膣の周りに皮疹症状を引き起こすブツブツの比較

女性のフォアダイス

<参考>
https://en.wikipedia.org/wiki/Fordyce_spots

女性 膣前庭乳頭腫症

<参考>
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm076056

尖圭コンジローマを放置するとどうなるか

尖圭コンジローマを放置するとどうなる

尖圭コンジローマは20-30%の確率で自然治癒することもありますが、70-80%は治療を行わなければ徐々に範囲とイボの大きさが拡大し、治療が困難になります

放置すると悪化し、パートナーへの感染リスクがあるほか、女性の場合は不妊症の原因になる可能性もあります。

かゆみや痛みなどがあまりないため気付きにくい病気ですが、疑わしいイボを見つけたら医療機関を受診するようにしましょう

巨大化した尖圭コンジローマの事例

<参考>
https://www.sciencedirect.com/topics/medicine-and-dentistry/giant-condyloma-acuminatum

尖圭コンジローマの潜伏期間

尖圭コンジローマの潜伏期間

尖圭コンジローマの潜伏期間としては、数週〜数ヶ月の潜伏期間(平均2.8ヶ月)を経て発症するといわれています。

尖圭コンジローマの検査について

尖圭コンジローマの検査について

基本的にはイボの見た目(視診)で診断します。
悪性腫瘍との判別が難しい時などには病理検査を行います。

※病理検査を希望される場合は比較的大きな医療機関を受診してください。

皮膚や粘膜から直接検体を採取してHPV 6,11型を検出する検査も存在しますが、推奨はしていません。
感染していても必ず尖圭コンジローマを発症するわけではなく、自然免疫で消失することも多くあります。

発症していた場合は検査結果に関わらず視診で診断をつけて治療を進めるため、有用性が低いと言えます。
また尖圭コンジローマと診断された際はHIVなどの他の性病に感染していないか検査を行うことを推奨します。
(HIV陽性者では特に尖圭コンジローマの発症率が高いといわれています)

<参考>
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/428-condyloma-intro.html

尖圭コンジローマの治療方法・お薬について

尖圭コンジローマの治療方法にはいくつか選択肢があります。

  • 外用薬(イミキモドクリーム:ベセルナクリーム)
  • 液体窒素による凍結療法
  • 電気メスなどで切除する電気焼灼法

などが一般的です。

初回診察時のイボの大きさ、個数、範囲などで最善策は変わりますが、外用薬でカバーできる範囲であれば外用薬でまずは治療を開始します。

外用薬は1日おきに寝る前に使用して朝起きた時にシャワーで洗い流します。

治療中は塗布した部位が赤くなることがありますが、それ自体は問題ありません。

※当院では凍結療法・電気焼灼法は対応しておりません。

ご注意

尖圭コンジローマのお薬は、市販されていません。
尖圭コンジローマの治療で使われるお薬の処方は、医師の判断が必要です。

インターネットの通販で、「尖圭コンジローマの治療薬」としてお薬が販売される様子が散見されますが、お身体への安全性が不明であったり、治りきらないままになってしまう、ということも考えられます。自己判断での服用はお控えください。

<参考>
https://jssti.jp/pdf/guideline2008/02-5.pdf

尖圭コンジローマの薬は何日で効くか

治療効果にはかなり個人差があり、比較的すぐ良くなることもあれば難渋することも多く様々です。

また、尖圭コンジローマは再発することも比較的多いといえます。

尖圭コンジローマの治療中に性行為はできるか

尖圭コンジローマの治療中は他人に感染させてしまう可能性があるので、性行為は控えてください

症状が改善してから再開するようにしてください。


治療後の検査

尖圭コンジローマは治療後に検査をする必要はありません。症状で治療の効果判定を行います。

尖圭コンジローマの予防方法

尖圭コンジローマを予防するためのポイント

尖圭コンジローマは、コンドームを使用していても完全に予防することは困難です。

症状が出ているときは性交渉を控えるようにしてください。

女性はHPVワクチンで尖圭コンジローマは予防できる?

性行為を経験する前であればワクチンで尖圭コンジローマを予防する事ができます。

また、近年では過去に尖圭コンジローマに感染してしまった方でもワクチンの予防効果が証明されました。

※ただし、当院ではHPVのワクチン接種は取り扱っておりません。

<参考>
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kansen/hpvdansei.html
http://jsv.umin.jp/journal/v62-1pdf/virus62-1_79-86.pdf

尖圭コンジローマに関するよくある質問