監修者:

(プライベートクリニック高田馬場 院長)

20~50代の男性で増え続けている梅毒

コロナ禍の2021年以降から感染者数は増加傾向で、男性では20~50代の感染者が増えて来ています

女性の梅毒感染は、妊娠・出産における母子感染についても注意が必要です。

<参考>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/syphilis.html

男性の梅毒になったときの症状(写真・画像)

梅毒は、主に4つの段階(第一期、第二期、潜伏梅毒、晩期顕症梅毒)を経て進行します

それぞれの段階に特徴的な症状が現れますが、特に第一期は自然に改善してしまうため、気づかないまま病気が進行することがあります。

第一期(初期症状)

初期硬結・硬性下疳

<参考>
Journal of Medical Case Reports
https://jmedicalcasereports.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13256-020-02547-x

男性陰部

<参考>
July 2022Anais Brasileiros de Dermatologia 97(5)
DOI:10.1016/j.abd.2022.01.004
LicenseCC BY 4.0
Genital ulcers caused by sexually transmitted agents

陰嚢・鼠蹊部

<参考>
July 2022Anais Brasileiros de Dermatologia 97(5)
DOI:10.1016/j.abd.2022.01.004
LicenseCC BY 4.0
Genital ulcers caused by sexually transmitted agents

肛門

<参考>
July 2022Anais Brasileiros de Dermatologia 97(5)
DOI:10.1016/j.abd.2022.01.004
LicenseCC BY 4.0
Genital ulcers caused by sexually transmitted agents

第二期(バラ疹)

バラ疹

<参考>
https://www.mdsaude.com/en/infectious-disease/syphilis-pics/

<参考>
Multiple skin ulcers from malignant syphilis – The Lancet 
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2815%2960157-X/fulltext

<参考>
https://www3.nhk.or.jp/news/special/lifechat/post_174.html

<参考>
https://www.mdsaude.com/en/infectious-disease/syphilis-pics

<参考>
https://www.mdsaude.com/en/infectious-disease/syphilis-pics/

当院撮影資料

当院撮影資料

晩期顕症梅毒

ゴム腫

<参考>
https://www.mdsaude.com/en/infectious-disease/syphilis-pics

A man suffering from syphilis, displaying pustular syphiloderm lesions on his scalp and torso. Process print after a photograph, ca. 1905.

<参考>
https://www.mdsaude.com/en/infectious-disease/syphilis-pics

<参考>
Face of a woman with a typical ‘syphilitic nose’. Picture: St Bartholomew’s Hospital Archives & Museum.

梅毒の症状

梅毒の症状(男性)

梅毒は感染すると、感染した器官によって症状の出る部位や内容が変わります。
また、自然に症状が消えることもあるため、感染したまま放置されてしまうことも多い病気です。

第一期(初期症状)

感染後約1ヶ月ほどで感染した部位かにしこり・潰瘍が出来ます
また、鼠蹊部や頸部のリンパ節が痛みを伴わずに硬く腫れることもあります

多くの場合は治療しなくても自然に症状が一旦消失しますが、梅毒への感染がなくなったわけではありません

見た目よりも痛みが少ないことも特徴で、痛みが少なく、自然に症状が消失してしまうため医療機関を受診されずに放置されてしまうケースが多くあります。

第二期(バラ疹)

感染後3ヶ月ほどで手のひらや足の裏などに全身に発疹・湿疹ができます
その他、丘疹性梅毒疹、粘膜疹、扁平コンジローマなども第二期に特徴的な症状です。

発熱や倦怠感、全身性リンパ節腫脹に加え、消化器系、泌尿器系、筋骨格系の症状など多様な症状を認めます。

第一期同様にこれらは自然に消失しますが、治癒しているわけではないので注意が必要です。

潜伏梅毒

血液検査では梅毒陽性反応を示すものの、症状がない状態を潜伏梅毒と呼びます
感染後1年以内を早期潜伏梅毒、1年以降を晩期潜伏梅毒とさらに大別します

早期潜伏梅毒では再度第一期、第二期の症状が出現(移行)することから感染性があるといわれており、一方後期潜伏梅毒では性交渉による感染性はほぼないといわれています。

晩期顕症梅毒

感染後数年から数十年するとゴム腫、大動脈瘤や大動脈弁逆流症などの心血管梅毒、脊髄癆や進行性麻痺などの致死的な病気を引き起こします

現代日本では梅毒がここまで進行することは極めて稀でほとんど遭遇することはありません。

<参考>
国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/465-syphilis-info.html

男性から梅毒に関してよくある質問

  • 男性が梅毒に感染する確率はどれくらいですか?

    梅毒の感染力は強く、1回の性行為で15~30%の確率で感染すると言われています。
    実際に診療していると「ピンサロ」で感染してしまうことが思いの外多い印象です。

  • 梅毒は男性器にどのような症状が出ますか?

    感染してから3週間くらいで特徴的な痛みが少ない「しこり」を認めることが多いですが、不顕性感染と言って症状が見られないこともあります。
    症状で判断せず、心当たりがある方はまず専門機関を受診されるようにしましょう。

  • 心当たりがないのに梅毒に男性がなることはありますか?

    可能性はゼロではありません。
    文献レベルですが、病原体が付着している容器などからの感染も報告されています。

  • 梅毒は治りますか?

    梅毒は主に陰部や皮膚に症状を認めることが多く、感染期間によって様々な症状を呈します。
    近年感染数が急激に増加しており、社会問題となっています。 かつては不治の病として恐れられていましたが、現在は早期治療で完治します。

  • しこりやニキビと梅毒の見分け方は?

    痛みを伴わない特徴的な「しこり」は診療経験が豊富な医師であればニキビとの区別はつきやすいと言えます。
    ただし、性器ヘルペスや他の病気と区別がつきにくいことも多く、最終的には検査を行うことで確定します。