中用量ピルは、低用量ピルよりもホルモンによる作用が強いため効果が早く現れます。一方で、副作用によるリスクが気になる方もいるでしょう。
ここでは中用量ピルの効果や副作用、正しい飲み方、費用まで、皆さまの気になる点を医師が解説します。
中用量ピルとは?低用量ピルの違いは

中用量ピルとは、女性ホルモンである「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類が配合されたお薬です。
低用量ピルにも同じホルモンが含まれていますが、両者の最も大きな違いはエストロゲンの配合量にあります。
- 中用量ピル:エストロゲン量が1錠あたり0.05mg以上
- 低用量ピル:エストロゲン量が1錠あたり0.05mg未満
エストロゲンの量が多い中用量ピルは、低用量ピルよりもホルモンによる作用が強力で、効果が速く現れるという特徴があります。
その反面、中用量ピルは副作用がやや出やすい傾向にあるため、現在は使用される目的が限定されています。
日本で現在処方されている中用量ピルは「プラノバール」というお薬が主流です。
- 一般名:ノルゲストレル・エチニルエストラジオール配合錠
- 販売名:プラノバール配合錠
中用量ピルをお探しの方は、オンラインで全国どこへでも最短で配送しますので、当院にご相談ください。
中用量ピルの主な効果と用途

中用量ピルは、その強力なホルモン作用を活かして、主に以下のような目的で使用されます。
月経日の移動
旅行や試験、結婚式といった大切な予定に生理が重なってしまう際に、生理日を意図的に早めたり、遅らせたりするために使用します。
当院では主に、このような一時的な生理日時の調整をご希望される際に処方しております。
- 生理を早める場合:生理5日目から10日間服用します。服用を終えてから2〜5日程度で生理がきます
- 生理を遅らせる場合:次の生理予定日の5日前から服用を開始し、生理を避けたい日まで毎日服用を続けます
月経困難症や過多月経など月経トラブルの治療
ホルモンバランスの乱れによって起こる、以下のような症状の治療に用いられます。低用量ピルでは効果が不十分な場合に選択されることがあります。
- 月経困難症(重い生理痛)
- 過多月経(経血量が非常に多い)
- 子宮内膜症
- 機能性子宮出血(ホルモン異常による不正出血)
- 月経周期異常(稀発月経・頻発月経)
- 卵巣機能不全
緊急避妊(アフターピルとして)
かつては、避妊に失敗した際の緊急避妊薬(アフターピル)としても使用されていました(ヤッペ法)。性交後72時間以内に所定の錠数を服用する方法です。
しかし、この方法は吐き気などの副作用が強く、また、専用のアフターピルに比べて避妊効果が低い(約77%)ことから、現在では第一選択とはなりません。
緊急避妊をご希望の場合は、より身体への負担が少なく避妊効果の高い、レボノルゲストレルやウリプリスタル酢酸エステルを主成分とする専用のアフターピルを服用することが推奨されています。
継続的な避妊
毎日正しく服用を続ければ、低用量ピルと同様に99%以上という非常に高い避妊効果が期待できます。
ただし、飲み始めの1週間は避妊効果が不安定なため、コンドームなど他の避妊法を併用する必要があります。
また、後述するように副作用が低用量ピルより出やすいため、長期的な避妊目的の場合は、まず低用量ピルの服用から検討するのが一般的です。
中用量ピルの副作用と注意点

中用量ピルはエストロゲン量が多いため、低用量ピルよりも副作用が強く出ることがあります。
主な副作用は以下の通りです。
中用量ピルの主な副作用
- 吐き気・嘔吐、頭痛:最も起こりやすい副作用です。特に飲み始めの数日間に感じることが多いですが、通常は1〜2週間で身体が慣れて軽快します。症状が強い場合は、吐き気止めを一緒に処方することも可能ですので、我慢せずに医師にご相談ください
- 不正出血:ホルモンバランスが安定するまでの間に、少量の出血が見られることがあります
- 乳房の張りや痛み
- 気分の変動、生理前のイライラのような症状
- むくみ:「ピルを飲むと太る」と心配される方がいますが、これはホルモンの影響による一時的な水分貯留(むくみ)が主な原因であり、脂肪が増えるわけではありません
重大な副作用:血栓症
頻度は0.1〜0.2%未満と稀ですが、最も注意すべき重大な副作用が「血栓症」です。
血栓症とは、血管の中で血の塊(血栓)ができて詰まってしまう病気です。
次のような症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、救急医療機関を受診してください。
- 急な足の痛み・腫れ、むくみ
- 突然の息切れ、胸の痛み
- 激しい頭痛、めまい、失神
- 舌のもつれ、うまく話せない
- 急な視力障害(目のかすみ、見えにくいなど)
特に以下に該当する方は血栓症のリスクが高まるため、中用量ピルの服用ができない、あるいは慎重な判断が必要となります。
- 35歳以上で1日15本以上喫煙する方
- 血栓症(家族歴含む)、血栓性静脈炎、肺塞栓症の既往歴がある方
- 乳がん、子宮内膜がんの疑いがある方、または既往歴のある方
- 重篤な肝障害、肝腫瘍のある方
- 高血圧、糖尿病、脂質代謝異常などの持病がある方
- 妊娠中、授乳中、またはその可能性がある方
- 診断が確定していない異常性器出血がある方
安全に服用するためにも、必ず医師による問診・診察を受けてください。
【目的別】中用量ピルの正しい服用方法

中用量ピルは、目的によって飲み方が異なります。
必ず医師の指示に従って正しく服用してください。
基本的なルールは「1日1錠を、毎日なるべく同じ時間に飲む」ことです。
避妊や月経困難症の治療で服用する場合
月経開始から5日目までに服用を開始します。
1日1錠を21日間連続で服用し、その後7日間は服用を休みます(休薬期間)。
この休薬期間中に生理のような出血が起こります。7日間の休薬期間が終わったら、翌日から新しいシートの服用を再開し、この28日周期を繰り返します。
月経日を移動させる場合
- 月経を早めたいとき:前回の月経が始まってから5日以内に服用を開始し、最低10日間連続で服用します。服用を中止すると、2〜5日ほどで月経が始まります
- 月経を遅らせたいとき:次の月経予定日の約5日前から服用を開始します。月経を避けたい期間が終わるまで、毎日服用を続けます。服用を中止すると、2〜5日ほどで月経が始まります
どちらの場合も、服用期間が短すぎるとうまく調整できない可能性があります。
月経移動をご希望の場合は、スケジュールに余裕を持って早めにクリニックへご相談ください。
もしピルを飲み忘れてしまった場合は、気づいた時点ですぐに1錠服用し、その日の分も通常通りの時間に服用してください。
ただし、飲み忘れへの対処法は状況によって異なるため、自己判断せず、処方を受けたクリニックに確認することをおすすめします。
中用量ピルの費用と保険適用について

中用量ピルの処方にかかる費用は、目的によって異なります。
- 保険適用になるケース(3割負担):月経困難症、子宮内膜症、過多月経など、病気の「治療」を目的とする場合に健康保険が適用されます
- 自費診療になるケース(全額自己負担):避妊や月経日の移動など、治療目的ではない場合は自費診療となります。費用はクリニックによって異なり、1シートあたり4,000円〜8,000円程度が相場です
ご自身の症状が保険適用の対象となるかどうかわからない場合も、まずは医師にご相談ください。
中用量ピルの安全な入手方法

中用量ピルは、ドラッグストアなどでは市販されていません。
必ず医師の診察と処方が必要な「処方箋医薬品」です。
最近では、海外から医薬品を個人輸入する通販サイトも見られますが、これらの利用は非常に危険です。
- 偽造薬や粗悪品のリスク:有効成分が含まれていなかったり、不純物が混入していたりする可能性があります
- 健康被害の恐れ:正しい成分量でない場合、予期せぬ副作用や健康被害につながる恐れがあります
- 適切な診察がない:本来ピルを服用してはいけない方が誤って使用してしまうリスクがあります
値段が安いという理由だけで安易に個人輸入に頼ることは絶対に避けてください。
安全かつ効果的に使用するためには、必ず医療機関を受診し、ご自身の健康状態に合ったピルを処方してもらうことが不可欠です。
当院では、お忙しい方や遠方にお住まいの方でも受診しやすいよう、スマートフォンやPCを使ったオンライン診療にも対応しております。
診察後、お薬をご自宅まで郵送するため、来院の必要はございません。
中用量ピルのことは専門医にご相談ください
中用量ピルは、月経日の調整や月経トラブルの改善に非常に有効なお薬です。
しかし、低用量ピルと比較してホルモン量が多いため、副作用や禁忌事項について正しく理解し、医師の管理のもとで服用することが何よりも重要です。
プライベートクリニック高田馬場では、婦人科専門医が患者様一人ひとりのお悩みやご希望を丁寧にお伺いし、最適なピルの種類や服用方法をご提案いたします。
中用量ピルに関する疑問や、ピルを服用してみたいという方は、ぜひ当院へお気軽にご相談ください。