監修者:

(プライベートクリニック高田馬場 院長)

低用量ピルとは

低用量ピルとは

低⽤量ピルとは、⼥性ホルモンが含まれているお薬です。

使用することでホルモンバランスを調整し、子宮内膜が一定の状態に保たれることによって、排卵や受精が起こりにくくなるため、生理痛軽減や避妊などの効果が生まれます。

1⽇1錠毎日服⽤することで、⼥性の体にとって多くのメリットをもたらしてくれるお薬です。

  • 「毎月の生理がつらい」
  • 「できるだけ確実な避妊がしたい」
  • 「生理前の肌荒れやPMSを改善したい」

このような思いをもつ方がご使用されることにより、女性特有の苦しみや悩みを解消してくれます。

低用量ピルの使用方法

低用量ピルの使用方法

低用量ピルは、1日1回同じ時間に内服するだけ。

食前、食後、眠前、起床時などの縛りはなく、ご自身が内服しやすいタイミングで内服いただければ大丈夫です。

毎日同じ時間帯に内服することで血中ホルモン濃度が安定し、より確実な避妊効果や安定した生理周期コントロールが期待できます。

低用量ピルを飲み忘れたら

低用量ピルを飲み忘れたら

低用量ピルを飲み忘れた場合、24時間以内は気づいた時に内服すれば大丈夫です。

それ以上飲み忘れてしまった場合は一度内服を中断して、次の出血のタイミングから内服を再開してください。

なお、ミニピル*については、3時間以上の飲み忘れがあった場合避妊効果は一度消失したとお考えください。

※ミニピルとは:低用量ピルとは異なり、黄体ホルモンのみを含有しているホルモン剤です。
低用量ピルが使用できない方に使われます。

低用量ピル内服時の生理(消退出血)

低用量ピル内服時の生理(消退出血)

低用量ピルを内服している時の生理を通常の生理と区別するために、医学的には「消退出血」と呼びます。

消退出血は通常の生理に比べて出血量が少なく、痛みや不快感も軽減されることが多い点が特徴です。

ピルを内服していると生理が来ないと思われている方も多いようですが、ご使用するピルによって変わります。

スタンダードな低用量ピルは生理周期を28日間隔で整えることができ、超低用量ピルやミニピルはより長い間隔での生理周期に調整することができます

また、ミニピルは内服中に生理を来させなくする ことも可能です。

低用量ピルで生理日をずらす方法

低用量ピルで生理日をずらす方法

スタンダードな低用量ピルでは、28日周期で規則正しく生理(消退出血)がきます。

旅行などの日程と生理が重なってしまう場合は、偽薬に移行せずに実薬を内服し続けることで、一時的に生理日を後ろ倒しにすることが可能です。

低用量ピルをやめる、または再開のタイミングについて

低用量ピルは任意のタイミングでいつでもやめたり再開できます

やめると3ヶ月以内に99%以上の確率で排卵が再開するので、妊娠を希望されるタイミングの調整が可能です。

出産後は授乳中であればミニピルを、低用量ピルと超低用量ピルは授乳が終わってから再開しましょう。

低用量ピルのメリット・避妊効果

低用量ピルのメリット・避妊効果

低用量ピルには女性に嬉しいメリットがたくさんあります。
避妊効果や生理痛・生理不順・PMSの改善、ニキビや肌荒れなどにも効果があります

まず避妊効果は、生理初日から内服を開始すればその日から避妊効果は得られ、飲み忘れが無い限りほぼ100%の避妊効果が得られます

生理初日以外の内服の場合は、内服8日目から避妊効果が得られるとお考えください。

低用量ピルを開始すると、直後から副作用として軽い吐き気を感じられる方が1割程度いらっしゃいます。
服用開始後の1~2週間以内に吐き気や軽い不快感として現れやすいですが、ほとんどの方は1~2か月ほどで自然に落ち着きます

使用を継続することで慣れることがほとんどですが、合わないようであればピルの種類を変更することで改善する場合もあります。

その他ピルを飲むと眠気・腹痛・下痢・太る・むくみなどの非典型的な症状を感じられる方が稀にいらっしゃいますが、吐き気同様に使用を継続する中で自然と改善することがほとんどです。

低用量ピルのデメリット・副作用について

また、ピルを使用する上で忘れてはいけないのは「血栓症」という病気です。

血栓症は血管の中で血の塊ができて血管を詰まらせてしまう病気の総称です。

症状は血栓ができる血管によって変わりますが、「突然」「急に」発症することが特徴です。

血栓症は非常に稀な副作用ではありますが、「急に」「身体に違和感や痛み、息苦しさ」などを感じた場合は使用を中断して医療機関を受診しましょう。

低用量用ピルの禁忌

低用量ピルの禁忌

低用量ピルは種類によって使用できない方がいます。
低用量ピル・超低用量ピルでは、血栓症リスクから40歳以上の方、肥満指数(BMI)が30以上の方などが使用できません

ミニピルは上記のような血栓症リスクのある方でも使用ができるお薬ですが、低用量ピルと超低用量ピルに比べると使用開始直後に不正出血を認めやすい特徴があります。

また、過去に上記を使用してアレルギー症状が認められた方はご使用できません。

いくつか併用注意のお薬もございますが、特に「セント・ジョーンズ・ワートという成分が含まれているサプリメントは、成分を把握されずにサプリとして摂取していることがあります。
大きなトラブルになることは少ないものの、ピルの作用が減弱することがあるので、サプリを日常的に使用されている方は注意してください。

低用量ピルの処方までの流れ

低用量ピルの処方までの流れ

ピルを処方するにあたって、大切なことは詳細な問診(過去の既往歴や内服歴の確認)と使用方法や注意点を理解していただくことです。

オンラインでも対面診療でもしっかりと確認させていただいておりますのでご安心ください。

低用量ピルはドラッグストアで購入できるの?

低用量ピルの処方は医療機関でのみ可能です。
ドラッグストアなどでは購入できないので気をつけてください。

受診の際は、過去の病歴や現在内服中のお薬、生活習慣(喫煙や肥満度)などを正確にお伝えいただくことで、より適切なピルの選択が可能となります。

低用量ピルを使うのに検査は必要?

低用量ピルを使用するには、一般的な健康診断を受診していれば医療機関で別途検査をする必要は基本的にありません(乳房検査・内診・血液検査は産婦人科学会のガイドラインでもルーチンで行うことを推奨していません。)

学校や会社などの健康診断を受診されてない場合は、各医療機関で各種検査を行なってから使用を始めることを推奨します。

低用量ピルを処方してもらうのに大切なことは?

当院ではご使用に際して詳細な問診項目に回答いただくことで、ピルを使用いただけるか否か判断させていただいております。

大きな既往歴や内服歴などがなければご使用いただけますが、ご不明点などあればカウンセリング時にお気軽にご相談ください。

<参考>
日本産婦人科学会 低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン
https://www.jsog.or.jp/news/pdf/CQ30-31.pdf

低用量ピルの種類

低用量ピルの種類

低用量ピルにはさまざまな種類があります

生理痛改善などの基本的な効果は同様ですが、ピルによって特徴と相性があり、いくつか試してみるとあなたにぴったりのピルが見つかるはずです。

当院において、低用量ピルは

  • トリキュラー
  • ラベルフィーユ
  • マーベロン・ファボワール

超低用量ピルは

  • ヤーズ
  • ヤーズフレックス
  • ドロエチ

ミニピルは

  • アザリア
  • ノリディ

を取り扱っております。

低用量ピルの料金・値段

低用量ピルの料金・値段
  • 低用量ピルは1シート 900円(税込990円)〜
  • 超低用量ピルは1シート 2970円(税込3267円)〜
  • ミニピルは1シート・・・1320円(税込1452円)〜

で処方しております。

低用量ピルのよくある質問

低用量ピルの専門知識

ピルの普及状況

ピルの普及状況

2019年に国連人口部が発表した統計によると、日本における婚姻または同棲中の女性のピル服用率は0.9%に留まっています。
一方で、カナダは43.7%、ドイツは42.3%、アメリカは11.4%と、これらの先進国の平均服用率は24.6%に達しています。

さらに、途上国の平均服用率も11.2%であり、日本はこれを大きく下回っています。
このデータから、日本は先進国の中でも特にピルの普及が遅れている国と言えるでしょう。

<参考>
United Nations, World Contraceptive Use 2019

低用量ピルの定義と効果

1錠あたりのエストロゲン含有量が0.05mg未満の経口避妊薬(oral contraceptive)を低用量ピルと呼び、排卵抑制・精子進入防止・着床難化などの作用で高い避妊効果が得られるお薬です。

低用量ピルの歴史

低用量ピルの歴史

ピルは1960年代にアメリカで開発され、広く普及しました。
欧米諸国では女性の1/3が低用量ピルを使用しているといわれています。

日本でのピルの承認は1999年と国連加盟国の中で最も遅く、結果として日本でのピル使用率は諸外国よりも少ない0.9%に留まっています。

さらに、日本家族計画協会の調査によると、「ピルを使いたくない」と回答した女性は70%以上に及び、「ピルのことをよく知っている」と回答した女性は10%弱とピルの普及が進んでいない現状です。

<参照元>United Nations, World Contraceptive Use 
https://www.un.org/en/development/desa/population/publications/dataset/contraception/wcu

国連ホームページより
https://www.un.org/development/desa/pd/sites/www.un.org.development.desa.pd/files/files/documents/2020/Jan/un_2019_contraceptiveusebymethod_databooklet.pdf

富士製薬工業株式会社ホームページ
https://www.fujipharma.jp

低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン
https://www.jsog.or.jp/news/pdf/CQ30-31.pdf

ピル服用と婦人科系がんリスクの関係

低用量ピル使用に伴うリスク

ピルの服用でリスクの下がるがん

卵巣がん・子宮体がん・大腸がんは、低用量ピルの使用でリスクが下がるといわれています。

ピルの服用と関連がある可能性のあるがん

乳がん・子宮頸がんはピルの内服でリスクが上がる、上がらないというどちらの報告もあり、現状は結論づけられていません。

少なくとも乳がん・子宮頸がんに罹患している方の使用は避けるべきですが、過度にリスクを不安視する必要はないと考えます。

<参考>
United Nations, World Contraceptive Use 2019
https://www.un.org/en/development/desa/population/publications/dataset/contraception/wcu2019.asp

内閣府男女共同参画局, 平成30年版男女共同参画白書(PDF版)
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h30/zentai/html/honpen/b1_s00.html