低用量ピルの基本的な使い方と効果

低用量ピルの基本的な使い方と効果

まずは、低用量ピルの基本的な使い方と効果について見ていきましょう。

低用量ピルの内服方法

低用量ピルは種類によって多少使用方法は異なりますが、基本的には1日1錠出来るだけ決まったタイミングで内服していただきます。

時間差があっても問題ありませんが、出来るだけ揃えてもらった方が効果を安定させ、飲み忘れを防ぐ上でも望ましいです。

就寝前や朝食後など、ご自身の生活リズムの中で忘れにくい時間を決め、スマートフォンのアラーム機能などを活用するのもおすすめです。

また、ピルには21錠タイプと28錠タイプの2種類があります。
28錠タイプは、21錠の有効成分が入った実薬と7錠の有効成分が入っていない偽薬(プラセボ)で構成されており、毎日飲む習慣を途切れさせないための工夫がされています。

飲み始めのタイミングについては、目的や考え方によっていくつかの選択肢があります。
避妊目的で使用される場合は、生理初日(1日目)から内服すると、その日から避妊効果が得られます
それ以外の日からスタートした場合は、8日目から避妊効果が得られるとお考えください。

「私の場合はいつから?」「この理解で合ってる?」など、飲み始める前は何かと不安がつきものです。
そんな時は、ご自宅からスマートフォン一つで専門医に相談できるオンライン診療をご利用ください。
あなたのライフスタイルに合わせた最適な開始時期を一緒に考え、安心してピルを始められるようサポートします。

院長からのアドバイス

低用量ピル内服の開始直後は不正出血を起こしやすく、出血も遷延しやすい傾向にあります。
出血が続くことを避けるには生理が終わったタイミングから内服し始めて、8日間は別の方法で避妊するという開始方法を推奨します。

低用量ピルを飲むとどうなるの?

低用量ピルを飲むとどうなるの?

低用量ピルを内服すると排卵が抑制され卵巣が休眠状態になります。

これに伴い、生理周期は低用量ピルから摂取される女性ホルモンでコントロールされるようになります。

低用量ピルを使用している間も休薬期間または偽薬期間で出血が起きます。

低用量ピル使用中の出血のことを自然な生理と区別するために「消退出血」と呼びます。
この消退出血は、通常の生理と比べて出血量が少なく、痛みも軽くなることが多いのが特徴です。

避妊だけじゃない!低用量ピルの嬉しい副効用

低用量ピルには、避妊以外にも女性にとって嬉しい様々な副効用(メリット)があります。

  • 月経困難症・PMS(月経前症候群)の改善:排卵が止まり、ホルモンバランスが安定するため、生理痛やPMSによるイライラ、頭痛などの症状が和らぎます
  • 経血量の減少:子宮内膜が厚くなるのを抑えるため、出血量が減り、貧血の改善にも繋がります
  • 月経周期の安定:ピルの周期に合わせて生理が来るようになるため、予定が立てやすくなります
  • ニキビ・肌荒れの改善:男性ホルモンの働きを抑える作用により、ニキビや多毛症の改善効果が期待できる種類のピルもあります
  • 特定のがんリスクの低下:長期的な服用により、卵巣がんや子宮体がんの発症リスクを低下させるという報告もあります

低用量ピルについてよくある質問

続いて、低用量ピルについてよくある質問に回答させていただきます。

  • 低用量ピルを飲み忘れたらどうしたらいいの?

    うっかり飲み忘れてしまった場合の対処法です。慌てずに対応しましょう。

    ミニピルなどの一部の例外を除いて、1錠(24時間以内)の飲み忘れであれば、気づいたタイミングですぐに飲み忘れた分を内服し、その日の分も通常通り飲めば問題ありません。

    2錠以上(24時間以上)連続で飲み忘れてしまった場合は避妊効果は一旦消失したものと考え、一度内服を中断し、次の出血を待って再開するのが教科書的な使用方法です。

    この間は、必ずコンドームなど他の避妊法を併用してください。もし避妊に失敗した可能性がある場合は、アフターピル(緊急避妊薬)の服用も検討が必要です。

    アフターピルとは

    また、ピル服用後2〜3時間以内に激しい嘔吐や下痢をしてしまった場合も、成分が吸収されていない可能性があるため、飲み忘れと同様の対応が必要になります。

    以下の図解も参考にしてみてください。

  • 副作用が心配です。どんな症状がありますか?

    どんなお薬にも副作用の可能性はありますが、低用量ピルの副作用の多くは飲み始めの時期に見られる一時的なものです。

    飲み始めの主な副作用:吐き気、頭痛、乳房の張り、むくみ、不正出血(生理以外の出血)など。これらは体がホルモン状態に慣れるまでの1〜3ヶ月でおさまることがほとんどです

    注意すべき重篤な副作用(血栓症):ごく稀ですが、血の塊が血管を詰まらせる「血栓症」のリスクがわずかに高まります。特に、ふくらはぎの急な痛みや腫れ、激しい頭痛、息切れ、胸の痛みなどの症状は血栓症のサインかもしれません。万が一、このような症状が現れた場合は、直ちに服用を中止して医療機関を受診してください

  • ピルを飲めない人(禁忌)はいますか?

    はい、安全のため、以下に該当する方は原則として低用量ピルを服用できません。

    ・35歳以上で1日15本以上タバコを吸う方
    ・高血圧の方(コントロール不良の場合)
    ・前兆(キラキラした光が見えるなど)を伴う片頭痛がある方
    ・過去に血栓症(心筋梗塞、脳梗塞など)になったことがある方
    ・乳がんや子宮体がんの既往歴、または疑いがある方
    ・妊娠中またはその可能性がある方、授乳中の方(ミニピルを除く)

    この他にも持病や服用中のお薬がある場合は、処方前に必ず医師に伝えることが重要です。

  • 低用量ピルを飲むと不妊症になる?妊娠しにくくなる?

    低用量ピルを内服しても将来の妊娠には影響ありません。

    低用量ピルの内服を中断すると3ヶ月以内に排卵が再開します。

    妊娠を希望されるタイミングで低用量ピルを中断してください。また、妊娠中は使用しないでください。

  • 低用量ピルの選び方は?

    低用量ピルは種類が豊富でそれぞれ特徴があります。まずは目的に合わせて選んでいただいた上で、実際に使っていて相性を確かめる必要があります。

    良い悪いではなく、どうしても個人差での相性があるため、使ってみての判断になることも多いです。低用量ピルにどのような種類があるかは、以下の記事を参考にしてみてください。

    低用量ピルの種類は全部で5つ!それぞれの違いや特徴は?

  • 授乳中にピルは使えますか?

    エストロゲンを含む低用量ピル、超低用量ピルは授乳中に使用できませんが、黄体ホルモンのみで作られたミニピルは授乳中に使用することができます。

    ミニピルの詳細は以下の記事を参考にしてみてください。

    ミニピル

  • 低用量ピル使用中にお酒を飲んでもいいですか?

    飲酒が低用量ピルの効果に影響を与えることはほとんどありません。

    しかし、飲みすぎて吐き戻してしまったり、過度な飲酒が原因で肝機能に影響を与えると、ピルの内服ができなくなることも考えられるので注意しましょう。

  • 低用量ピルと一緒に飲んではいけないお薬はありますか?

    低用量ピル個別に併用注意や併用禁忌のお薬があるので、都度医師または薬剤師にご相談ください。

    特に、C型肝炎の治療薬(ヴィキラックスなど)は併用禁忌とされています。また、一部の抗てんかん薬や、サプリメントのセントジョーンズワート(西洋オトギリソウ)はピルの効果を弱めることがあるため注意が必要です。

    ※簡易的には使用されているお薬の名前をネット検索していただくと「添付文書」が上位表示されるので、「相互作用」の欄をご確認いただけると併用ができないお薬の一覧がご覧になれます。

  • ピルで生理日をずらすことはできますか?

    はい、可能です。低用量ピルを服用している場合、休薬(偽薬)のタイミングを調整することで、生理(消退出血)の時期をずらすことができます。

    旅行や試験など、大切な予定に合わせて生理を調整したい場合は、自己判断で行わず、必ず事前に医師に相談してください。

    中用量ピル

プライベートクリニック高田馬場のオンライン診療なら、わざわざご来院いただかなくても、専門医があなたの予定に合わせた最適なピルの服用プランをご提案します。

安全かつ計画的に生理日をコントロールし、大切な日を心から楽しめるようお手伝いさせてください。

著者・監修者:

(プライベートクリニック高田馬場 院長)

順天堂大→東京医療センター→大手美容外科を経て独立。2017年プライベートクリニック高田馬場を開院。全国対応のオンライン診療(ピル・性感染症・ED/AGA)を軸に、美容皮膚科・医療脱毛を中心とした美容医療にも注力。公式LINE登録者40万人超。「より良い医療を、もっと身近に」が信条。日本遠隔医療学会・日本美容皮膚科学会所属。

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