低用量ピルの種類は2軸で分類できる!

低用量ピルの分類方法とあなたに合った選び方

低用量ピルの種類を詳しく見る前に、分類方法について見ていきましょう。

具体的には、低用量ピルは以下の2軸で分類することが可能です。

  1. プロゲステロンの含有の割合
  2. プロゲステロンの種類

それぞれ詳しく見ていきましょう。

プロゲステロンの含有の割合によって「1相性」「3相性」に分かれる

ピルにはエストロゲンプロゲステロンという2種類のホルモンが含まれています。

このうち、プロゲステロンの含有の割合によってピルは1相性3相性に分類されます。

1相性は全ての期間でプロゲステロンの含有量が同じで、3相性は段階的に量が増えていきます。

1相性はホルモン量が一定なため、生理日をコントロールすることに優れており、後述の超低用量ピルは生理周期を最大4ヶ月に1度まで延長することができます。

また、自然な生理周期では徐々にプロゲステロンが増えてくるので、3相性の方が体内の自然なホルモン動態に近く、不正出血が起きにくいといわれています

プロゲステロンの種類により第1世代~第4世代に分かれる

ピルに使用されるプロゲステロンは4種類あり、開発された順番に第1〜第4世代と呼ばれています。

  • 第1世代:NET(ノルエチステロン)
  • 第2世代:LNG(レボノルゲストレル)
  • 第3世代:DSG(デゾゲストレル)
  • 第4世代:DRSP(ドロスピレノン)

世代が新しくなるにつれて、特定の副作用を軽減するなどの改良が加えられていますが、「新しい世代ほど優れている」というわけではなく、それぞれに得意分野があります

低用量ピルの選び方

上記のようにピルは1相性と3相性、第1〜第4世代の2軸で分類できます。
それぞれピルによって得意不得意があるので、ご自身の目的に合わせて選ぶことが大切です。

避妊、生理痛の緩和、ニキビ改善など、ピルを服用する目的を医師にしっかり伝えることが、最適なピル選びの第一歩です。

また、合う合わないの個人差・相性もあるため、まずは気になったものを使用してみて他のも試して自分にとっての最良のピルを見つけていくという観点を持っていただくことも大切です。

低用量ピルの種類は大きく分けて5種類

低用量ピルの種類は大きく分けて5種類

ピルは、卵胞ホルモン(エストロゲン)黄体ホルモン(プロゲステロン)と呼ばれる2つの女性ホルモンが配合されている薬です。

エストロゲンが含まれる量によって中用量ピル、低用量ピル、超低用量ピルに分類されます。
それぞれの違いは以下の通りです。

  • 中用量ピル:生理予定日と用事が重ならないように一時的に生理日をコントロールできるお薬
  • 低用量ピル:避妊や月経痛/PMSの改善、美肌効果も期待できるお薬
  • 超低用量ピル:月経痛/PMSの改善や、生理回数を最大4ヶ月周期にすることができるお薬
  • ミニピル:低用量ピル、超低用量ピルが使用できない方にも使えるお薬

現在、副作用のリスクを抑えるためにエストロゲン含有量が少ない低用量ピルと超低用量ピルが処方の中心となっています。

上記の通り、低用量ピルは月経困難症の緩和や避妊を目的としたピルとして選ばれます。
その中でも、使用されている黄体ホルモン別に大きく以下の5種類に分けられます。

  • 第一世代(ノルエチステロン)
  • 第二世代(レボノルゲストレル)
  • 第三世代(デソゲストレル)
  • 第四世代(ドロスピレノン)
  • ミニピル

「低用量ピルの種類が多くて選べない」と思った方もいるかもしれません。
ですが、服用の目的に合わせて適したものを医師が処方するので、お気軽にご相談ください。

ここでは、黄体ホルモンの種類によって特徴や効果に違いがある世代の分類について、該当する薬品名と合わせて詳しく見ていきましょう。

第一世代(ノルエチステロン)

第一世代(ノルエチステロン)

第一世代ピルは、一番最初に製造承認されたピルで、ノルエチステロンと呼ばれる黄体ホルモンを使用しています。

経血量を減らす効果に特に優れ、月経困難症のコントロールにも優れていることが特徴です。

項目説明
代表的なピルシンフェーズ
フリウェルLD
ルナベルLD
特徴避妊(シンフェーズ)
生理痛の緩和に優れている
デメリット・副作用他の世代に比べて、使用中に吐き気や頭痛の副作用が出ることが少し多い
保険適応シンフェーズ:×
フリウェルLD:○
ルナベルLD:○

生理痛が重い方で保険適応でピルを使用したい方におすすめです。

第二世代(レボノルゲストレル)

第二世代(レボノルゲストレル)

第二世代のピルは、レボノルゲストレルと呼ばれる黄体ホルモンを使用しています。
不正出血が起こりにくく、安定した周期を作りやすいことが特徴です。

項目説明
代表的なピルトリキュラー
ラベルフィーユ
メリット・効果避妊
不正出血しにくい
長年にわたり使用実績が豊富で、安定性が高い
デメリット・副作用他の世代に比べると、ニキビなど男性ホルモンの影響による副作用がわずかに見られることがあります。
保険適応×

安定した効果で避妊をしたい方や、不正出血が心配な方におすすめです。

第三世代(デソゲストレル)

第三世代(デソゲストレル)

第三世代のピルは、デソゲストレルと呼ばれる黄体ホルモンを使用しています。
男性ホルモン(アンドロゲン)の作用を抑える効果が高く、ニキビ治療や多毛症の改善に特に期待が持てることが特徴です。

項目説明
代表的なピルマーベロン
ファボワール
メリット・効果避妊
ニキビ治療や多毛症の改善
生理周期のコントロールがしやすい
デメリット・副作用生理痛を抑える効果は第1・2世代に比べるとややマイルドな傾向にあります。
保険適応×

ニキビや肌荒れが気になる、避妊目的で使用されたい方におすすめです。

第四世代(ドロスピレノン)

第四世代(ドロスピレノン)

第四世代のピルは、「超低用量ピル」とも呼ばれています。

ドロスピレノンと呼ばれる黄体ホルモンを使用しており、超低用量化されているので副作用が起こりにくいことが特徴です。

ニキビやむくみが少なく、月経困難症や子宮内膜症の治療薬として使用されています。

項目説明
代表的なピルヤーズ
ヤーズフレックス
ドロエチ
メリット・効果PMS(月経前症候群)の精神的な症状(イライラ、気分の落ち込みなど)に対して特に効果的
生理回数を減らせる
浮腫みにくいと言われている
デメリット・副作用避妊目的に使えない
保険適応月経困難症の方は保険適応あり

PMSの症状が強い方、出来るだけ生理が来て欲しくない方におすすめです。

ミニピル

ミニピル

低用量ピル/超低用量ピルは、エストロゲン=卵胞ホルモンとプロゲステロン=⻩体ホルモンが含まれています。
それに対し、ミニピルはプロゲステロンのみなので、エストロゲンによる副作用がありません

また大きな違いとして、以下のような飲み方(服用方法)の違いがあります。

  • 低用量ピル:21錠のホルモン剤を服用後、7日の休薬期間(偽薬期間)を設ける
  • ミニピル:28日1シートのホルモン剤を飲み続け、休薬期間がない

さらに、低用量ピルは毎日1錠ずつほぼ一定の時間に服用すれば問題ありませんが、ミニピルの場合は毎日決まった時間に服用する必要があります。

項目説明
代表的なピルノリディ
アザリア
メリット・効果血栓症リスクの高い方や授乳中の方など、低用量ピル・超低用量ピルが使用できない方でも使用できる
生理回数を減らせる
デメリット・副作用服用時間を厳密に守る必要があります。
不正出血しやすい
保険適応なし(自費診療のみ)

ミニピルは、以下のように低用量ピル・超低用量ピルが使用できない方におすすめです。

  • 40才以上の方
  • 35才以上で1日15本以上の喫煙者の方
  • BMIが30以上の方
  • 血栓症リスクがある方
  • 授乳中の方など

実際どのお薬が合っているか人によって異なる場合もあります。
どのお薬が合っているかは、クリニックで受診することをおすすめします。

プライベートクリニックが扱っているピルについて

プライベートクリニックのピルラインナップ

プライベートクリニックでは、以下の低用量ピル・超低用量ピル・ミニピルを扱っています。

低用量ピル

  • トリキュラー
  • ラベルフィーユ
  • マーベロン
  • ファボワール

超低用量ピル

  • ヤーズ、ヤーズフレックス
  • ドロエチ

ミニピル

  • ノリディ
  • アザリア(セラゼッタのジェネリック)

次に各ピルの特徴を見ていきましょう。

低用量ピル①トリキュラー

低用量ピル①トリキュラー

トリキュラーは、第二世代のレボノルゲストレルという黄体ホルモンを使用したお薬です。

項目説明
メーカーバイエル薬品株式会社
効果避妊、生理痛/PMSの改善
メリット副作用が少ない、不正出血少ない
デメリット・副作用まれに使用開始直後に軽い吐き気
保険適応×
併用に注意が必要なものセントジョーンズワート(サプリメント)

ホルモンの配合量が異なる3種類の薬が入っている3相性と呼ばれています。
第一世代よりも副作用が軽減されているのが特徴です。

また、ホルモンの配合量が3段階に分かれているので、自然なホルモンバランスに近く、より高い避妊効果が期待できるでしょう。
女性ホルモンのバランスが整うことで、PMS(月経前症候群)の改善にも効果があります。

ただし、他の低用量ピルと同様に頭痛や悪心、吐き気、血栓症などの症状が見られることがあります。

低用量ピル②ラベルフィーユ

低用量ピル②ラベルフィーユ

ラベルフィーユはトリキュラーの後発品(ジェネリック医薬品)です。
同様の効果でコストを抑えて使用することが可能です。

項目説明
メーカー富士製薬工業株式会社
効果避妊、生理痛/PMSの改善
メリット副作用が少ない、不正出血少ない
デメリット・副作用まれに使用開始直後に軽い吐き気
保険適応×
併用に注意が必要なものセントジョーンズワート(サプリメント)

低用量ピル③マーベロン

低用量ピル③マーベロン

マーベロンは、第三世代のデソゲストレルと呼ばれる黄体ホルモンを使用したお薬です。
21錠全てに含まれるホルモンの配合量が同じで、1相性に分類されます。

項目説明
メーカーオルガノン株式会社
効果避妊
生理痛/PMSの改善
ニキビ肌荒れの改善
メリット生理日時の調整がしやすい
デメリット・副作用3相性に比べると不正出血が少しだけ多い
保険適応×
併用に注意が必要なものセントジョーンズワート(サプリメント)

トリキュラー/ラベルフィーユとは異なり、ホルモンの成分が一定になります。
そのため、生理日時のコントロールがしやすいことが特徴です。

また、男性ホルモンの作用が少ないため、子宮内膜症や月経困難症など月経トラブルの解決だけでなく、ニキビに対しても効果が実感できると言われています。

低用量ピル④ファボワール

低用量ピル④ファボワール

ファボワールはマーベロンの後発品(ジェネリック)です。
同様の効果でコストを抑えて使用することが可能です。

項目説明
メーカー富士製薬工業株式会社
効果避妊
生理痛/PMSの改善
ニキビ肌荒れの改善
メリット生理日時の調整がしやすい
デメリット・副作用3相性に比べると不正出血が少しだけ多い
保険適応×
併用に注意が必要なものセントジョーンズワート(サプリメント)

マーベロンと同様に高い避妊効果とPMSの改善、ニキビの改善効果などが期待できます。
比較的副作用の少ないピルといわれていますが、頭痛や吐き気、血栓症など、他のピルと同様の副作用が起こる可能性があります。

超低用量ピル①ヤーズ、ヤーズフレックス

超低用量ピル①ヤーズ、ヤーズフレックス

超低用量ピルは、月経困難症や子宮内膜症の治療を目的として使われることが一般的です。
月経困難症とは、月経痛がひどかったり、吐き気や頭痛、食欲不振やイライラなどの症状が出たりするものをいいます。

エストロゲン量が極めて少ないため、吐き気や下痢、頭痛などの副作用が出にくいことが特徴です。

項目説明
メーカーバイエル薬品株式会社
効果生理回数を減らせる、PMS改善に最も効果がある
メリット副作用が少ない
デメリット・副作用避妊目的では使用できない
保険適応月経困難症に対して保険適用あり
併用に注意が必要なものセントジョーンズワート(サプリメント)

最大120日間の⻑期投与ができ、生理を4ヶ月に1回に調整することも可能です。

PMDD(月経前不快気分障害)の治療薬としても承認されています。
しかし、避妊効果に関する試験が行われていないため、避妊目的には使えません。

超低用量ピル②ドロエチ

超低用量ピル②ドロエチ

ドロエチはヤーズの後発品(ジェネリック)です。
同様の効果でコストを抑えて使用することが可能です。

項目説明
メーカーあすか製薬株式会社
効果生理回数を減らせる、PMS改善に最も効果がある
メリット副作用が少ない
デメリット・副作用避妊目的では使用できない
保険適応月経困難症に対して保険適用あり
併用に注意が必要なものセントジョーンズワート(サプリメント)

ミニピル①ノリディ

ミニピル①ノリディ
項目説明
メーカーPfizer Limited
効果避妊
生理の回数を減らせる
生理痛/月経過多の改善
メリット低用量ピル/超低用量ピルが使用できない方でも使用ができる
デメリット・副作用必ず同時刻に内服の必要あり
不正出血をしやすい
保険適応×
併用に注意が必要なものセントジョーンズワート(サプリメント)

ミニピルの避妊効果は正しく服用した場合、99%以上に達します。
ただし、3時間以上の飲み忘れ、下痢や嘔吐などがあった場合は、93%ほどになってしまいます。

そのため、確実に避妊効果を求めるのであれば低用量ピルのご使用がオススメです。

しかし、副作用についてもしっかり理解しておかなければなりません。ミニピルの副作用は、不正出血が比較的起きやすいことです。

これは、ミニピルの成分には、子宮内膜を薄く保つ効果があり、子宮内膜が容易に剥がれやすくなるためです。

ただし、ミニピルの飲み始めには20〜30%ほどの方が、不正出血を起こすとされています。決して珍しい副作用ではないので、ご安心ください。

ミニピル②アザリア

ミニピル②アザリア

ノリディ同様の効果が得られます。効果の優劣はなく、人によって相性があります。

どちらかで不正出血が気になる場合は切り替えてお使いください。

項目説明
メーカーGedeon Richter Polska Sp. z o.o.
効果避妊
生理の回数を減らせる
生理痛/月経過多の改善
メリット低用量ピル/超低用量ピルが使用できない方でも使用ができる
デメリット・副作用必ず同時刻に内服の必要あり
不正出血をしやすい
保険適応×
併用に注意が必要なものセントジョーンズワート(サプリメント)

目的別おすすめな低用量ピルの種類

目的別おすすめな低用量ピルの種類

続いて、目的に合わせたおすすめな低用量ピルを紹介します。
診察の上で最適なピルを処方させていただきますが、参考にされてみてください。

避妊におすすめな低用量ピル

トリキュラー・ラベルフィーユ・マーベロン・ファボワール・ミニピルは避妊目的で使用できる低用量ピルです。
飲み忘れがない限り基本的に避妊することが可能です。

また、避妊効果のみならず、

  • 生理痛/PMSの改善
  • 生理周期のコントロールなど

ピルを内服していると避妊効果以外にも女性にとって嬉しい効果が他にも得られます。

生理痛を緩和したい方におすすめな低用量ピル

基本的に、以下全ての低用量ピル・超低用量ピル・ミニピルが生理痛の緩和が期待できます。

  • シンフェーズ
  • ルナベル
  • フリウェル
  • トリキュラー
  • ラベルフィーユ
  • マーベロン
  • ファボワール
  • ヤーズ
  • ヤーズフレックス
  • ドロエチなど

特に症状が重い月経困難症の方には、保険適用となるルナベル、フリウェル、ヤーズなどが選択肢になります。

合う合わないの個人差もあるので、使い始めについては色々なピルを試してみることもおすすめしています。

ニキビ改善におすすめな低用量ピル

以下がニキビ改善や美肌効果が特に期待できる低用量ピル・超低用量ピルです。

  • マーベロン
  • ファボワール
  • ヤーズ
  • ヤーズフレックス
  • ドロエチ

これらは男性ホルモンの働きを抑える作用が強いため、皮脂の分泌を抑え、根本からニキビを改善する効果が期待できます。

避妊効果や生理でのお困りごとがなくても、美容目的で使用する方もいらっしゃるケースもあります。
内側から美しくなるためにピルを使用されることも検討されてみてください。

PMS治療におすすめな低用量ピル

基本的に、以下全ての低用量ピル・超低用量ピル・ミニピルがPMSの緩和が期待できます

  • シンフェーズ
  • ルナベル
  • フリウェル
  • トリキュラー
  • ラベルフィーユ
  • マーベロン
  • ファボワール
  • ヤーズ
  • ヤーズフレックス
  • ドロエチなど

特にイライラや気分の落ち込みといった精神症状が強い方には、ヤーズ・ヤーズフレックス・ドロエチなどの超低用量ピルがおすすめです。

保険適用で低価格で買える低用量ピル

以下は月経困難症治療として保険適応されるお薬です。

  • ルナベル
  • フリウェル
  • ヤーズ
  • ヤーズフレックス

検査や毎回の診察が必要になります。

また、ピル処方は保険診療と自費診療では総額で必要となる費用がさほど変わらない、または自費診療の方が安いことも多いです。
保険診療だから安いということもない点を覚えておいてください。

低用量ピル・超低用量ピルが使用できない方にオススメなピル

日本では発売されていませんが、欧米では第一選択として、低用量ピル・超低用量が使用できない

  • 40才以上の方
  • 35才以上かつ1日15本以上の喫煙者の方
  • 血栓症リスクのある方(肥満や高血圧など)

に対してはエストロゲンが含有されていないミニピル(ノリディ・アザリア)が避妊目的・生理痛改善目的で使用可能です。
取り扱いのない医療機関も多いので、予め確認してから受診するようにしましょう。

低用量ピルに関するよくある質問

低用量ピルは生理痛の緩和や避妊ができるなどのメリットもあり、服用を止めることで妊娠も可能です。

避妊や生理不順の解消などの効果以外にも不正出血などの副作用もあるので、リスクについても知っておきましょう。

ここでは、低用量ピルに関するよくある質問についてご紹介していきます。

妊娠への影響はある?

低用量ピルの服用歴があっても妊娠のしやすさに影響することはありません

低用量ピルを飲んでいる間はピルに含まれる卵胞ホルモンと黄体ホルモンの作用により、排卵が起こらない状態になります。

また、以下の作用により、避妊効果が得られるわけです。

  • 排卵を抑えるだけでなく子宮内膜を変化させることで受精卵の着床を防ぐ
  • 子宮頸管の粘液を変化させて精子が子宮内に入りにくくする

低用量ピルを内服している間は排卵が抑制されていますが、内服をやめると排卵が始まり妊娠できる状態になります。
ピルの服用中止後、多くの方は3ヶ月以内に自然な排卵が戻ります。

ピルに含まれる成分が体内に蓄積することもなく、服用を中止してすぐに妊娠した場合でも赤ちゃんへの影響はないと言われています。

止めたら生理はいつからくる?

低用量ピルの服用を中止してから生理が回復するまでの期間は、3〜4ヶ月といわれています。

生理が再開するまでには個人差があり、服用中止後1ヶ月で再開する方や3ヶ月ほどかかる方もいます。

もし低用量ピルを中止しても生理がこない場合は、下記の原因が考えられます。

  • 生理不順
  • 妊娠

低用量ピルを内服する前から生理不順があった方は、服用中止後も生理が遅れることがあります。
生理予定日を過ぎても2週間以上遅れている場合は、医師の診断を受けましょう。

また、低用量ピルの内服中止後に排卵が起こるので、性行為があると妊娠による原因も考えられます。
体温が高い状態が続いたり、眠くなったり、倦怠感があったりなどの症状が続く場合は妊娠の可能性が高いです。

生理予定日の1週間前後を目安に妊娠検査薬で妊娠検査を実施しましょう。

主な副作用は?

低用量ピルの副作用には、下記のようなものがあります。

  • 頭痛
  • 胸の張り
  • むくみ
  • 嘔吐
  • 不正出血
  • 血栓症

低用量ピルを飲み始めてから1〜2ヶ月ほどは、吐き気や頭痛などの生理前に感じる不快感がありますが、飲み続けるうちに症状は治ってきます。

また、不正出血や経血量の変化などがみられることがありますが、2ヶ月ほどで症状が落ち着くことがほとんどです。

低用量ピルを飲み始めてから頭痛や嘔吐、不正出血などの症状がひどい場合や長く続く時は医師に相談してください。

血栓症に注意が必要

頻度は少ないものの命に関わる重大な副作用として「血栓症(血管の中で血液が固まりができて血管をつまらせる病気)」があります。
血栓症の発症確率は以下の通りです。

血栓症発症リスク

  • ピルを内服されていない方:1万人に1人程度
  • ピルを内服されている方:1万人に2-3人程度

リスクが上昇すると言っても、実際に発症するリスクは限りなく低く、特に「血栓症で死亡する確率」となると「交通事故で死亡する確率」の方が高いくらいです。

上記の様にリスクは非常に低く、過度に心配する必要はありませんが、万が一以下のような症状が出現するようであればすぐに病院を受診してください。

  • 突然の手足のしびれや痛み、腫れ、まひ
  • 突然の息切れや胸が押し潰されるような痛み
  • 激しい頭痛
  • 舌がもつれて喋りにくい

なお、血栓症を引き起こすほかの主な原因として、以下があります。

  • タバコ
  • 肥満
  • 手術
  • 長期間の安静
  • 脱水
  • 高血圧
  • 糖尿病

特にタバコはリスクが10倍以上にも上がるため注意が必要です。

35歳以上で1日15本以上のタバコを吸う方は、血栓症のリスクが高まるため低用量ピルの服用ができません。

低用量ピルを飲むと太るのは本当?

「低用量ピル=太る」と感じている方もいるかもしれません。
しかし、低用量ピルが直接影響して太ることはありません

低用量ピルを服用することで太ると言われる理由は、むくみと食欲増進です。

低用量ピルの副作用の一つに「むくみ」があり、むくみによって体重が増加したと感じることがあります。
また、黄体ホルモンの作用の食欲増進により、食べ過ぎてしまうことで体重が増加することも考えられます。

これらの症状は飲み続けるうちに体が慣れて落ち着くことがほとんどです。

低用量ピルは飲み始めてどれくらいで避妊できる?

生理が始まった1日目から飲み始めた場合は、その日から避妊効果が期待できます。
それ以降に飲み始めた場合は、服用開始から8日以降です。

内服を始めて7日間はコンドームを併用するなど、別の避妊方法も併用して避妊してください。
正しく服用していれば、2シート目以降は1日目から避妊効果があります。

ただし、ピルの避妊率は99%であり100%ではありません。
飲み忘れがない場合も妊娠する確率は0.3%といわれており、飲み忘れを含めた場合の妊娠率は9%です。

飲み忘れの頻度が多くなると妊娠の確率も高くなります。

また、低用量ピルの服用で避妊できる確率は上がりますが、性感染症は予防できません。
性感染症を予防するためにもコンドームを使用することが大切です。

低用量ピルは通販でも買える?

低用量ピルは通販サイトでも販売されています。

通販サイトで販売されている低用量ピルは、個人輸入されたものが販売されているケースが多いです。
そのため、安全性は保証されていません。

有効成分が含まれていない偽造品や、不純物が混入した粗悪品の可能性があり、深刻な健康被害につながる恐れがあります。
個人輸入の薬品の成分が分からない場合、副作用に対して正しい判断を下すことが困難な場合もあるため、医療機関の診察を断られることも少なくありません。

低用量ピルを服用できる条件やリスクを知らずに、値段の安さだけで通販サイトを利用するのはやめましょう。

低用量ピルはどこで購入できる?

低用量ピルは、当院のようなオンライン診療を行っているクリニックか産婦人科から処方を受けることで購入が可能です。

低用量ピルはオンライン診療で気軽に続けられる手段

低用量ピルを服用することで生理不順の解消や生理痛の緩和、避妊効果などを得ることができます。
生理をコントロールできるだけでなく、ニキビや肌荒れが改善される効果も期待できるので、女性にとって嬉しい効果もあるのです。

ピルには多くの種類があり、それぞれに得意なことや特徴があります。
大切なのは、医師と相談しながら、ご自身の目的や体質に最も合ったピルを見つけることです。

ただし、血栓症などの命に関わる副作用もあるため、副作用の症状や知識を身につけておく必要があります。
当院ではオンライン診療で低用量ピルの処方を行なっておりますので、忙しくてクリニックに行けない方もお気軽にご利用ください。

オンライン診療で処方されたお薬は自宅まで郵送でお届けしますので、取りに行く手間もかかりません。
オンライン診療の予約は公式LINEを友達追加して、ご都合の良い日時でご予約をお取りください。

著者・監修者:

(プライベートクリニック高田馬場 院長)

順天堂大→東京医療センター→大手美容外科を経て独立。2017年プライベートクリニック高田馬場を開院。全国対応のオンライン診療(ピル・性感染症・ED/AGA)を軸に、美容皮膚科・医療脱毛を中心とした美容医療にも注力。公式LINE登録者40万人超。「より良い医療を、もっと身近に」が信条。日本遠隔医療学会・日本美容皮膚科学会所属。

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