監修者:

(プライベートクリニック高田馬場 院長)

早漏とは?

早漏の医学的な定義と基準

早漏(そうろう)とは、性交時に本人の意図よりも著しく早く射精に至ってしまう状態を指し、男性の性機能障害の中でも一般的なものです。

パートナーとの関係や自信にも影響するため、正しい知識を持つことが大切です。

早漏の医学的な定義と基準

国際性機能学会(ISSM)などの基準では、早漏はいくつかの要素を満たす場合に診断されることがあります。 

まず時間について、これは、国際性医学会(ISSM)が定める診断基準では膣挿入前または挿入後約1分以内にほぼ毎回射精してしまう場合(特に生涯を通じて早漏である「原発性早漏」の場合)が目安とされます。
以前は問題なかったのに急に射精までの時間がとても短くなった場合(例えば3分以内など)も、早漏と考えられます。

次にコントロールの面では、射精を自分でコントロールできない、遅らせることができない状態を指します。 

そして、その結果として、ご本人がとても辛く感じたり、悩んだり、イライラしたり、あるいは性行為を避けたくなるなど、精神的に良くない影響が出ていることも重要な判断材料になります。

重要なのは、「時間」だけが絶対的な基準ではないということです。
たとえ射精までの時間が医学的な基準より長くても、ご自身やパートナーが「早い」と感じ、それが悩みになっているのであれば、それは対処すべき早漏といえます。

あなたが悩んでいれば、まずは専門医に相談することを検討しましょう。

早漏はどれくらいの人が悩んでいる?

早漏は決して珍しい悩みではありません。

調査によっては、18歳~59歳の男性の約5人に1人(約20%)が早漏の経験がある、あるいは悩んでいると報告されています。

日本国内でも多くの方が悩みを抱えており、ED(勃起不全)と並んで身近な性的問題の一つです。

早漏の種類

早漏は、発症のタイミングや原因によっていくつかのタイプに分類されます。 

一つは生涯早漏(原発性早漏)で、これは初めての性体験の頃から一貫して射精時間が短いタイプです。
生まれつきの体質や神経系の特性が関与していると考えられています。 

もう一つは後天性早漏(続発性早漏)で、以前は問題なかったのに、途中から射精が早くなったタイプです。
心理的要因、加齢、ED、前立腺炎などが原因となることがあります。

早漏の原因とは?

早漏の原因とは?

早漏は単なる体質だけでなく、様々な要因が複合的に関わって起こると考えられています。

心理的要因(ストレス・不安・パフォーマンス不安)

心の状態は、射精を我慢する力に大きく影響します。

例えば、パートナーとの関係や、性行為の状況による強い緊張や興奮が挙げられます。

また、「また早く射精してしまうのでは」「相手を満足させられないかも」といったプレッシャーや、過去の失敗による不安(これをパフォーマンス不安と呼びます)も原因になります。

仕事や人間関係、生活上のストレスが、体の調子を整える自律神経のバランスを崩して、射精をコントロールする脳の働きが不安定になることもあります。

さらに、勃起が続くか不安で焦ってしまい、無意識のうちに早く射精してしまうこと(ED(勃起不全)が原因の場合もあります)も考えられます。

身体的(生物学的・生理的)要因

体に関わる原因もあります。
ペニスの先端(亀頭など)がとても敏感で、少しの刺激でもすぐに射精してしまうような、神経の過敏さです。
これには、脳の中で情報を伝える物質(セロトニンなど)の働きが関係しているといわれています。

甲状腺の病気などが原因の、ホルモンバランスの乱れや、前立腺や尿道の炎症(腫れや痛み)が刺激になって早漏が起こる病気も原因となります。

加えて、早漏になりやすい体質が遺伝することもあります。

加齢や生活習慣の影響

年齢生活習慣の乱れも早漏の原因になることがあります。

年を取ると勃起する力が弱まり、少しの刺激で射精しやすくなること(これを衰弱性早漏と呼ぶこともあります)。
また、お尻のあたりにある、射精を我慢するときに使う筋肉(骨盤底筋)が弱ることも関係します。

運動不足、バランスの悪い食事、睡眠不足、お酒の飲みすぎ、タバコといった生活習慣は、神経やホルモンのバランス、血の巡りに悪影響を与え、早漏になりやすくする場合があります。

早漏とED(勃起不全)の関係性

早漏とED(勃起不全)の関係性

早漏とED(勃起不全)は違う症状ですが、深い関係があり、同時に起こることもよくあります。
EDの人の約30~60%が早漏の悩みも持っているというデータもあります。

具体的には、EDが早漏を引き起こすケースがあります。
これは、勃ち続けることに不安があると、「早くしないと中折れしてしまうかも」と焦ってしまい、結果的に早く射精してしまうことがあるからです。

逆に、早漏がEDを引き起こすケースもあります。
早漏が原因で性行為に自信がなくなり、「またダメかもしれない」という不安(パフォーマンス不安)が強くなると、その精神的なプレッシャーで勃起しにくくなる(これを心因性EDと呼びます)ことがあるからです。

このように、早漏とEDはお互いに悪い影響を与え合い、悪循環になってしまうことがあります。
どちらか一方の症状がある場合でも、もう一方の状態にも注意が必要です。

もし両方の症状がある場合は、同時に治療を考えることが効果的な場合があります。

早漏は治る?改善方法と治療について

早漏は治る?改善方法と治療について

早漏は、原因や状態に合った方法をとれば、多くの場合、改善が期待できます。
「治らない」と諦める必要はありません。

自然に改善する可能性はある? 

一時的なストレスや、性行為の経験が少ないことが原因なら、状況が変わったり経験を積んだりすることで自然に良くなることもあります。
生活習慣を見直す(十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙など)だけでも、症状が和らぐ可能性があります。

しかし、生涯早漏の場合や、長い間症状が続いている後天性早漏、原因がはっきりしない場合などは、自分でできるケアだけでは改善が難しいことも多いです。

改善が見られない、あるいは悩みが深い場合は、病院やクリニックでの治療を検討しましょう。

セルフケア・行動療法

ご自身で試せる改善方法もあります。

例えば、ストップ&スタート法は、射精しそうになったら一度動きを止め、射精したい気持ちが落ち着くのを待ってから、また再開します。

これを繰り返して、自分でコントロールする感覚を掴む練習です。
スクイーズ法では、射精しそうな感じが強くなってきたら、自分で(またはパートナーに)ペニスの根元か、亀頭のすぐ下あたりを数秒間、キュッと握って射精感を抑えます。

また、おしっこを我慢する時などに使う、お尻の穴や尿道の周りの筋肉を、意識して締めたり緩めたりする骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)は、射精をコントロールする筋肉を鍛えます。

医療機関での治療

医療機関での治療

セルフケアで改善しない場合や、より確実な効果を求める場合は、医療機関での治療が推奨されます。

特に薬物療法は早漏治療の有効な選択肢です。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)は、もともと抗うつ薬として開発された薬ですが、脳の中で情報を伝える「セロトニン」という物質の量を調整することで、射精の命令を出す部分の興奮を抑え、射精までの時間を長くする効果が期待できるお薬の種類です。

ダポキセチン(商品名:ポゼット、プリリジーなど)は、早漏治療のために作られたお薬(SSRI)で、世界中で使われています。性行為の1~3時間前に飲むことで、射精までの時間を平均で3~4倍くらい長くする効果があるといわれています。必要な時だけ飲むタイプ(頓服薬)です。

局所麻酔薬(スプレー・クリーム)

局所麻酔薬は、ペニスの先端(亀頭)に塗ることで感覚を少し鈍くして、射精までの時間を長くするスプレーやクリームです。リドカインなどの麻酔成分が入っています。

性行為の5~15分前に使います。手軽に使えますが、効きすぎて快感が減ってしまったり、お相手の感覚にも影響が出たりすることがあります。

ED治療薬の活用

前にお話ししたように、ED(特に勃起する力の衰え)が早漏の原因(衰弱性早漏)になっている場合、バイアグラ(シルデナフィル)、レビトラ(バルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)などのED治療薬で勃起する力を改善させることが、結果的に早漏の改善につながる場合があります。

しっかり勃起することで心に余裕ができ、刺激に対して少し鈍感になったり、射精を我慢しやすくなったりするためです。

早漏治療薬とED治療薬の併用

早漏とEDの両方の症状がある場合、ダポキセチン(早漏治療薬)とED治療薬を一緒に使う治療法も有効です。

勃起する力を助けながら、射精までの時間も長くすることで、性行為全体の満足度アップが期待できます。
当クリニックでは、患者さんの状態に合わせて最適な組み合わせをご提案します。

その他の治療法

ストレスや不安など、心の問題が大きい場合は、専門家との話し合い(カウンセリング)や心理療法が効果的なことがあります。
考え方や行動パターンを変えていく方法(認知行動療法など)があります。

また、手術(包茎手術や、亀頭にヒアルロン酸を入れるなど)が早漏治療として行われることもありますが、本当に効果があるかは医学的にはっきりしておらず、治療の指針(ガイドライン)では勧められていません。

リスクもあるため、当クリニックではまずED治療薬の利用をおすすめしています。

早漏治療はオンライン診療で相談できます

早漏の悩みは非常にデリケートで、誰かに相談しにくいと感じる方も多いでしょう。
しかし、放置していても改善は難しく、自信喪失やパートナーとの関係悪化につながる可能性もあります。
「病院に行くのは恥ずかしい」「忙しくて時間がない」そんな方におすすめなのが、オンライン診療です。

オンライン診療には、プライバシーの確保(自宅など好きな場所からスマホやPCで受診でき、誰にも知られずに相談・治療が可能)、手軽さ(病院への移動時間や待ち時間が不要で、予約もオンラインで完結)、そしてどこにお住まいでも専門医へのアクセスが可能というメリットがあります。

当院「プライベートクリニック高田馬場」では、EDだけでなく早漏に関するお悩みもオンラインでご相談いただけます。
経験豊富な医師が、あなたの症状やライフスタイルに合わせた最適な治療法をご提案し、必要なお薬をご自宅などご指定の場所へ配送します。 

悩みを一人で抱え込まず、まずはオンライン診療で気軽に相談してみませんか?

早漏に関するよくある質問(Q&A)

  • 早漏の基準は何分ですか?

    一般的には挿入後約1分以内が目安とされますが、絶対的な基準ではありません。

    ご自身やパートナーが「早い」と感じ、それが悩みであれば、時間に関わらず早漏と考え、相談を検討しましょう。

  • 早漏とEDはどう違うのですか?

    早漏は「勃起はできるけれど射精が早すぎる」状態、EDは「十分に勃起できない、または勃起を維持できない」状態です。

    射精が早いか、勃起が難しいかの違いですが、両方が一緒に起こることもよくあります。

  • 早漏にバイアグラなどのED治療薬は効きますか?

    勃起する力の衰えが原因で早漏になっている場合(衰弱性早漏など)は、ED治療薬で勃起を助けることで、早漏も良くなることがあります。

    ですが、勃起には問題がない早漏の場合、直接的な効果はあまり期待できません。医師の診察を受けて、適切に判断してもらう必要があります。

  • 早漏治療薬(ダポキセチン/ポゼット)とED治療薬は一緒に使えますか? 

    はい、一緒に使うことは可能です。

    早漏とEDの両方に悩んでいる場合に有効な治療の選択肢となります。
    ただし、どちらのお薬も医師の処方が必要です。
    自分で判断せず、必ず医師に相談してください。

  • 早漏を予防する方法はありますか?

    生活習慣(睡眠、食事、運動、禁煙)の見直し、ストレスをためない工夫、骨盤底筋トレーニング、ストップ&スタート法などのセルフケアが、予防や改善につながる可能性があります。

  • どの薬が一番効果がありますか?

    早漏治療のお薬として効果が認められているのは、ダポキセチン(ポゼット/プリリジー)です。
    射精までの時間を長くする効果が、多くの研究で示されています。

    ただし、効果には個人差があり、原因によって合う治療法も違うので、医師にご相談ください。

  • 早漏は遺伝しますか?

    遺伝が関係することもありますが、ストレスや環境、生活習慣の影響も大きいので、遺伝だけで決まるわけではありません。

  • パートナーとの関係で早漏を克服する方法は? 

    パートナーに正直に悩みを話し、理解してもらうことが大切です。

    ストップ&スタート法などのトレーニングを一緒に試したり、「早くしなきゃ」と焦らないような雰囲気を作ってもらったりすると良いでしょう。
    必要であれば、カップルでカウンセリングを受けることも有効です。

  • 筋トレで早漏は改善しますか?

    体全体の筋トレが直接早漏を良くするわけではありませんが、お尻のあたりの筋肉(骨盤底筋)を鍛えるケーゲル体操は、射精を我慢する力をつけるのに役立つことがあります。

  • 禁欲すると早漏は悪化しますか?

    長い間、性行為や自慰行為をしないでいると、かえって刺激に敏感になり、射精が早くなってしまうことがあります。

    適度な回数の射精(自分で慰めることも含む)が、コントロールを保つのに役立つこともあります。

  • お酒やタバコは早漏に影響しますか?

    お酒を飲みすぎると、一時的に射精が遅くなることがあっても、長い目で見ると神経の働きに悪影響があります。

    タバコは血の巡りを悪くして、EDや早漏になりやすくする可能性があります。控えることが望ましいです。

  • 病院に行くべきタイミングは?

    早漏のせいで悩んでいる、性生活に満足できない、パートナーとの関係に良くない影響がある、と感じたら、専門の医師に相談することをおすすめします。

    特に自分でできるケアを試しても改善しない場合は、早めに受診を検討しましょう。

  • 早漏治療薬に副作用はありますか? 

    ダポキセチン(ポゼット)のようなお薬(SSRI)では、吐き気、めまい、頭痛、下痢、だるさなどの副作用が出ることがありますが、ほとんどは軽いもので、一時的なことが多いです。

    塗り薬タイプ(局所麻酔薬)は、塗りすぎると感覚が鈍くなりすぎることがあります。医師の指示通りに使うことが重要です。

  • 早漏は完全に治りますか?

    原因にもよりますが、適切な治療やトレーニングによって射精をコントロールできるようになり、悩みを解消することは十分に可能です。

    「完全に治る」というよりは、症状をうまくコントロールして、満足できる性生活を送れるようになることを目指します。

  • オンライン診療で早漏の薬を処方してもらえますか?

    はい、当院(プライベートクリニック高田馬場)では、オンライン診療で医師が診察を行い、必要だと判断すれば早漏治療薬(ダポキセチン/ポゼットなど)やED治療薬を処方し、ご自宅などへお送りします。

    プライバシーを守りながら治療を始められます。

まとめ

早漏は多くの男性が経験するかもしれない悩みですが、決して良くならないものではありません。
原因は人によって違い、心の問題から体のこと、生活習慣までいろいろです。
EDと関係している場合も少なくありません。

自分でできるケアやトレーニングで改善することもありますが、悩みが深い場合や長く続く場合は、病院やクリニックで相談することが解決への近道です。
今では、ダポキセチン(ポゼット)のような効果が期待できる飲み薬もあり、ED治療薬と一緒に使うこともできます。

当院「プライベートクリニック高田馬場」では、オンライン診療を通じて、ご自宅にいながら専門医の診察と薬の処方を受けることができます。
一人で悩まず、まずは気軽にご相談ください。
あなたに合った治療で自信を取り戻し、もっと満足できる性生活を目指しましょう。

<参考>
ED治療ガイドライン(日本性機能学会)
https://jssm.info/guidelines/ED_3rd.pdf
(ED診療に関するガイドラインで、早漏の定義や関連する治療方法について記載)
Priligy(ダポキセチン)の添付文書
https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/priligy-epar-product-information_en.pdf
(早漏治療薬ダポキセチンの公式情報、適応症としての早漏に関する記載)
国際性医学会(ISSM)の早漏診断基準
https://www.issm.info/sexual-health-qa/what-is-premature-ejaculation
(国際的な早漏の診断基準に関する解説)
日本泌尿器科学会のED・早漏に関する情報
https://www.urol.or.jp/public/urodisease/ED.html
(日本泌尿器科学会が提供する勃起不全・射精障害に関する情報)