ポゼットとは?早漏治療に用いられる薬の基本

ポゼット(Poxet)は、早漏(PE:Premature Ejaculation)を治療するための飲み薬です。
ポゼットには、ダポキセチンという早漏に効く成分が入っています。
ダポキセチンは、世界中の研究で「ちゃんと効く」「安全に使える」と認められている成分です。
ポゼットは、「プリリジー」というお薬と同じ成分を使った、後から作られたお薬(ジェネリック医薬品)にあたります。
ポゼットの基本情報
- 効き目のある成分:ダポキセチン(Dapoxetine)
- お薬の種類:SSRI(セロトニンの働きを調整するお薬)
- お薬の形:飲み薬のタブレット(30mgと60mgがあります)
- 飲み方:性行為の前に必要に応じて飲むタイプ(毎日飲むわけではありません)
- 手に入れる方法:医師の処方が必要です
早漏について
早漏は性行為において自分でコントロールできずに、思ったより早く射精してしまう状態を指します。
一般的に、以下のような場合に早漏と診断されることがあります。
- 挿入してから、だいたい1分以内に射精してしまう(生まれつきの早漏)
- 昔は大丈夫だったのに、最近射精までの時間が短くなった(後からなった早漏)
- 射精を我慢したり、タイミングを調整したりするのが難しい
- これらの状態により、ご自身やパートナーがつらい気持ちになっている
これらの目安に当てはまらなくても、自分で「射精をうまくコントロールできない」「満足できない」と感じるなら、治療を考えてみるのも良いでしょう。
早漏は、自分に自信がなくなったり、不安になったり、パートナーとの関係がギクシャクしたりと、心にも影響が出ることがあります。
ポゼットの主成分「ダポキセチン」の役割

ポゼットに含まれる有効成分ダポキセチン。
これはSSRIという種類のお薬に分類されます。
SSRIは通常、うつ病治療などに用いられます。
しかし、ダポキセチンは早漏のために特化して作られており、比較的即効性があり、作用時間が短いという特徴を持っています。
ダポキセチンが主に働くのは、脳内の「セロトニン」を増やす部分。
セロトニンは気分を安定させる働きを持つ脳内物質で、ダポキセチンはこれが神経細胞に再吸収されるのを防ぎ、脳内のセロトニン量を増加させます。
セロトニンが増えることで、気分が落ち着き、射精に関わる神経の興奮も穏やかになる傾向があります。
これにより、射精の「スイッチ」は入りにくくなるでしょう。
脳からの射精指令の伝達が緩やかになり、射精反射をコントロールしやすくなる、というわけです。
最終的に、射精までの時間が伸び、射精のコントロールがしやすくなる。
これがポゼットに期待される効果となります。
ポゼットが早漏に効くメカニズム
ポゼット(ダポキセチン)は、脳の中のセロトニンを増やすことで、射精に関わる神経が過剰に興奮するのを抑え、自分で射精のタイミングをコントロールしやすくします。
昔は、早漏の原因はペニスの感覚が敏感すぎることなどが主だと考えられていましたが、今では脳の中のセロトニンの働きが大きく関係していることがわかってきました。
そのため、ダポキセチンのようなお薬で脳に働きかける治療が効果的だとされています。
研究によると、ダポキセチンを飲むことで、射精までの時間(挿入してから射精するまでの時間)が平均で約3~4倍長くなったという結果が出ています。
例えば、挿入後1分で射精していた方が、3~4分程度持続できるようになったというイメージです。
これによって、「もうすぐ射精してしまいそう」という焦る気持ちが和らぎ、性行為の満足度向上も期待できます。
ポゼットはどのような方におすすめか?
早漏で困っている方
- 射精までの時間が極端に短い
- 自分の意思で射精をコントロールできない
- 性交のたびに焦りやストレスを感じる
- パートナーとの性生活に不満がある
- 以前は問題なかったが、突然早漏になった(後天性早漏)
このような症状がある場合、ポゼットなどの治療薬を検討することで、射精のコントロール力を向上させることが可能です。
ご自身でできる早漏のチェック方法

ご自身が早漏かもしれないと感じているなら、いくつか確認していただきたい点があります。
一つ目は、射精までの時間についてです。
パートナーとの性行為で、挿入してから射精するまでの時間は平均してどのくらいでしょうか。
(国際的な目安として、常に1分未満である場合は早漏の可能性が考えられます)。
二つ目は、射精のコントロールが可能かどうかです。
射精しそうになったとき、ご自身で我慢したり、タイミングを意図的に遅らせたりすることはできますか?
三つ目は、早漏があなたの気持ちにどのような影響を与えているかです。
早漏のことで悩んだり不安になったりして、性行為への意欲が低下したり、パートナーとの関係に影響が出たりしてはいないでしょうか。
これらの点を確認し、「自分は早漏かもしれない」と感じ、改善したいと願うのであれば、ポゼットのような治療薬が役立つことがあります。
ポゼットが適している早漏のタイプ
ポゼットは、特に、初めての性体験の頃からずっと射精までの時間が短い「生まれつきの早漏(生涯性早漏)」の方や、以前は問題なかったもののストレスや体調の変化などが原因で早漏になった「後からなった早漏(後天性早漏)」の方に効果が期待できます。
また、勃起自体には問題がないけれど射精だけが早い、というタイプの早漏にも適しています。
ED(勃起不全)を併発している場合の注意点
早漏だけでなく、ED(勃ちにくい、中折れするなど)にも同時にお悩みの方もいらっしゃいます。
「ED治療薬を使っているけれど、勃起はしてもすぐに射精してしまう」というお声も聞かれます。
ポゼットは、バイアグラ、レビトラ、シアリス、アバナフィルといったED治療薬と一緒に使うことが可能です 。
併用することで、勃起をサポートしつつ射精までの時間を延ばす、という両面からの効果が期待できるのです。
ただし、併用にあたっては注意点もありますので、必ず医師にご相談いただき、その指示に従ってください。
ポゼットの正しい服用方法とタイミング

ポゼットの効果を最大限に引き出し、安全にお使いいただくためには、正しい飲み方を守ることが大切です。
ポゼットはいつ飲むのがベストか? 服用タイミングについて
飲むタイミングとしては、性行為の1時間から3時間前が推奨されています 。
服用後、約1時間で効き始め、1~2時間後に効果がピークに達することが多いです。
効果の持続時間は、個人差もありますが、おおよそ2~5時間程度とされています 。
性行為のタイミングに合わせて、服用時間を調整すると良いでしょう。
効果を最大限に引き出す飲み方のコツ
ポゼットを飲む際は、コップ1杯程度の水かぬるま湯で服用してください。
服用量については、初めての場合は必ず医師の指示に従いましょう。
通常は30mgから開始し、効果が不十分だと感じた場合に、医師との相談の上で60mgへの増量を検討します 。
ご自身の判断で勝手に量を増やすことは避けてください。
食事の影響は比較的小さいとされていますが、空腹時に服用した方が、吸収がやや早い可能性があります 。
また、アルコール(お酒)との併用は絶対に避けてください。
めまいや眠気といった副作用が強く現れる危険性があります 。
服用間隔と1日の最大服用量
ポゼットは、毎日服用するタイプのお薬ではなく、性行為の予定がある時にだけ服用するものです。
一度服用したら、次に服用するまでは最低でも24時間の間隔を空けるようにしてください 。
医師からの特別な指示がない限り、1日に服用できる最大量は60mgまでです。
24時間以内に2回以上服用することはできません。
ポゼットの副作用と安全性について

ポゼットは比較的安全性が高いお薬と考えられていますが、副作用が起こる可能性もゼロではありません。
一般的な副作用
比較的よく報告される副作用には、次のようなものがあります 。
これらの多くは一時的なもので、症状も軽い場合がほとんどです。
- 吐き気
- 頭痛
- めまい
- 下痢
- 眠気
- 口の渇き
特に吐き気を感じる方がやや多い傾向にありますが、服用を続けるうちに体が慣れてくることもあります。
注意すべき副作用:起立性低血圧
頻度は高くありませんが、注意が必要な副作用として「起立性低血圧」、いわゆる立ちくらみがあります。
急に立ち上がった際に、めまいやふらつきを感じたり、まれに失神したりすることが報告されています。
服用後は、急な体勢の変化を避け、もしめまいなどを感じた場合は、すぐに座るか横になるようにしてください。
重大な副作用の可能性
非常にまれではありますが、次のような重い副作用が起こる可能性も否定できません。
万が一、このような症状が現れた場合は、直ちにポゼットの服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。
- 失神(気を失う)
- けいれん
- 重度のめまい、ふらつき
- 動悸、胸の痛み
- 強い気分の落ち込み、死にたいと考えてしまう
- 重篤なアレルギー症状(じんましん、呼吸困難、顔やまぶたの腫れなど)
副作用が出た場合の対処法

副作用が現れた場合の一般的な対処法についてご説明します。
もし吐き気を感じる場合は、軽いようでしたら少し様子を見ても良いでしょう。
次回からは、服用前に軽く何かを食べておくと症状が和らぐことがあります。
症状が続くようであれば医師にご相談ください。市販の胃薬を使用する際は、必ず医師か薬剤師に相談することが大切です。
下痢の症状が出た場合は、水分補給をしっかり行い、症状が続くようであれば医師に相談してください。
自己判断で下痢止めを使用するのは、原因によっては適切でない場合もあるため注意が必要です。
めまいや眠気を感じている間は、自動車の運転や危険を伴う機械の操作、高所での作業は絶対に避けてください。
ポゼットを服用できない方(禁忌)

次に該当する方は、安全上の理由からポゼットを服用することができません(禁忌といいます) 。
ご自身の判断で使用せず、必ず医師に確認してください。
- ポゼットの有効成分(ダポキセチン)に対してアレルギー反応を起こした経験のある方
- 重い心臓の病気(心不全、一部の不整脈、狭心症・心筋梗塞、弁膜症など)をお持ちの方
- 過去に失神(気を失ったこと)の経験がある方
- 肝臓の機能が中程度以上に低下している方
- 腎臓の機能が著しく低下している方
- うつ病や躁うつ病(双極性障害)などの精神疾患で治療中、または過去に治療歴のある方
- 特定の薬剤(MAO阻害薬、SSRI、SNRI、三環系抗うつ薬など)を服用中、または中止後14日以内の方
- 特定の薬剤(併用に注意が必要な強力な薬剤:例としてケトコナゾール、リトナビルなど)を服用中の方
上記以外にも、現在治療中の病気や服用中の薬がある場合は、必ず事前に医師に伝えるようにしてください。
ポゼットとアルコールの併用リスクについて
すでにご説明した通り、ポゼットとアルコール(お酒)を一緒に摂取することは推奨されません。
アルコールには脳の働きを抑制する作用があり、ポゼットの副作用であるめまい、眠気、判断力の低下、失神などのリスクを増強させてしまう恐れがあります 。
ポゼットを服用する際は、飲酒を控えるか、飲むとしてもごく少量にとどめるようにしてください。
ポゼットとED治療薬は併用できるのか? 効果とリスクを解説

ポゼットとED治療薬(バイアグラ、シアリス等)を併用できるのか、というご質問をいただくことがあります。
結論としては、医師の適切な判断と指示のもとであれば、併用は可能です 。
これらのお薬は作用機序が異なるため、うまく組み合わせることで、勃起の問題と早漏の問題、両方の改善が期待できます。
併用が効果的なケース
特に、ED(勃起困難・中折れ)と早漏の両方にお悩みの場合や、ED治療薬で勃起は改善したものの射精が早くて満足できないと感じている場合、また性行為に対する不安が強く、勃起と射精の両方に自信が持てない場合に、併用が検討されることがあります。
いくつかの研究では、ED治療薬とダポキセチン(ポゼットの有効成分)を併用することで、射精までの時間が有意に延長し、安全性にも大きな問題はなかったと報告されています 。
特にバイアグラは、ポゼットと効果が現れ始めるタイミングが近いため、併用しやすい薬剤の一つとされています 。
併用時の注意点
ただし、注意点もあります。
ED治療薬もポゼットも血管拡張作用や血圧への影響を持つことがあるため、併用によって、めまい、ふらつき、過度な血圧低下といったリスクが、それぞれ単独で使用する場合よりも高まる可能性があります。
したがって、併用を希望される場合は、必ず医師に相談し、処方された用法・用量を厳守してください。自己判断での併用は絶対に避けるべきです。
ポゼットに依存性はある? 長期使用の影響について
ポゼット(有効成分:ダポキセチン)はSSRIという種類に分類されるお薬ですが、早漏治療に特化して開発された、作用時間の短いタイプです。
そのため、一般的に「クセになる」といった依存性の心配は少ないと考えられています。
適切な用法・用量を守っている限り、習慣化したり、効果が徐々に薄れてきたりする(耐性)リスクは低いとされています。
また、服用を中止した際に、強い離脱症状が起こる可能性も低いと考えられています。
とはいえ、どのようなお薬であっても、長期間使用する場合は、定期的に医師の診察を受け、治療の必要性やご自身の体の状態について確認してもらうことが望ましいでしょう。
ポゼットの入手方法とオンライン診療の活用

ポゼットは市販の薬局やドラッグストアで購入できる?
ポゼットは、医師の処方が必要な「医療用医薬品」であり、現在のところ日本では未承認の薬剤です。また、街の薬局やドラッグストアで購入することはできません。
インターネット上の個人輸入代行サイトなどで見かけることがあるかもしれませんが、これらには偽造品や品質の劣る製品が紛れている可能性が非常に高く、健康被害のリスクが伴います。
厚生労働省も注意喚起を行っている通り、個人輸入は大変危険です。
安全かつ確実にポゼットを入手するためには、必ず医療機関を受診するようにしてください。
ポゼットを処方してもらう方法
ポゼットの処方を受けるには、主に二つの方法があります。
一つは、泌尿器科や男性専門クリニックなどで直接医師の診察を受ける方法です。
診察の結果、ポゼットによる治療が適切と判断されれば処方されます。
もう一つは、オンライン診療を利用する方法です。
スマートフォンやパソコンを通じて医師の診察を受け、お薬は後日、ご自宅などに配送されます。
オンライン診療なら、ご自宅で相談・処方が可能です
「早漏の悩みを対面で相談するのは気が引ける」「忙しくてなかなか病院に行く時間がない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そのような方にとって、オンライン診療は非常に便利な選択肢です。
ご自宅にいながら、スマートフォンやパソコンを使って診察を受けることができ、処方されたお薬も郵送で受け取れます。
プライバシーにも配慮されているため、周囲に知られることなく、相談からお薬の受け取りまで完結できます。
早漏は決して珍しい悩みではありません。
一人で抱え込まず、まずは専門家へ気軽に相談してみることが、解決への大切な一歩となります。
まとめ
ポゼット(有効成分:ダポキセチン)は、早漏に悩む多くの男性にとって、有効な治療の選択肢となり得ます。
脳内の神経伝達物質セロトニンに作用することで、射精に至るまでの時間を延長させる効果が期待されています。
具体的には、射精までの時間を平均で3~4倍程度延ばし、射精のコントロール感を高めるとの報告があります。
服用方法としては、性行為の1~3時間前に1錠を水で服用するのが基本です。
1日に服用できるのは1回までとし、次の服用までは最低24時間の間隔を空ける必要があります。
副作用としては、吐き気、めまい、頭痛などが報告されていますが、多くの場合、症状は軽く一時的なものです。
ただし、立ちくらみ(起立性低血圧)には注意が必要です。
他の薬剤との関係では、ED治療薬との併用は医師の判断のもとで可能ですが、アルコールとの同時摂取は避けるべきです。
ポゼットは医師の処方が必要な薬剤であり、薬局などでの市販はされていません。
個人輸入による入手は危険性が高いため、必ず医療機関を受診するか、利便性の高いオンライン診療を活用しましょう。
ポゼットは日本ではまだ承認されていませんが、医師の適切な診断と処方に基づき、正しく使用すれば、早漏の悩みを軽減し、より満足度の高い性生活を送るための一助となる可能性があります。
ご自身の判断で安易に使用せず、必ず医師に相談し、正しい知識を持って治療に取り組むことが重要です。
<参考>
Dapoxetine for premature ejaculation: a review of the literature. (PMC – NCBI)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7851349/
Dapoxetine: an evidence-based review. (PubMed)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20687942/
Priligy 30 mg film-coated tablets – Patient Information Leaflet (PIL) – (emc)
https://www.medicines.org.uk/emc/product/5345/pil
国際性医学会(ISSM)早漏の定義
https://www.issm.info/
医薬品等を海外から購入しようとされる方へ (厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html