まず知っておきたいバイアグラの基本

まず知っておきたいバイアグラの基本

バイアグラ(有効成分:シルデナフィル)は、世界で初めて開発されたED治療薬で、日本でも長年にわたり多くの治療実績がある、信頼性の高いお薬です。

ここでは、服用前に必ず知っておいていただきたい基本的な知識を、一つひとつ丁寧に解説します。

バイアグラはどのように作用するのか

バイアグラは、「PDE5阻害薬」という種類に分類されるお薬です。

まず、勃起のメカニズムからご説明します。
性的興奮を感じると、脳から信号が送られ、「cGMP」という物質が血管内で産生されます。

このcGMPが陰茎の血管を拡張させ、大量の血液が流れ込むことで、勃起という現象が起こります。

一方で、体内には「PDE5」という、このcGMPを分解して勃起を鎮める働きを持つ酵素が存在します。
EDの症状がある方は、このPDE5の働きが過剰であったり、cGMPの産生が不足していたりすることで、勃起が起こりにくい、または維持できない状態にあるのです。

バイアグラは、このPDE5の働きを一時的にブロックする役割を果たします。

PDE5の働きが弱まることで、性的興奮があった際にcGMPが分解されにくくなり、陰茎への血流がスムーズに増加します。
結果として、力強く、そして持続的な勃起をサポートするのです。

服用には医師の処方が必須

バイアグラは、必ず医師の診察と処方が必要なお薬です。

ドラッグストアなどでバイアグラの市販はされていません。
これは、後述する併用してはいけない薬や、服用が危険な持病があるなど、安全に使用できるかどうかの医学的な判断が不可欠だからです。

また、バイアグラは保険適用外(自由診療)のため、費用は全額自己負担となります。

バイアグラの用法・用量について

バイアグラの用法・用量について

バイアグラの基本的な使い方についてです。医師の指示を必ず守って服用してください。

  • 飲むタイミング:服用するタイミングは、性行為の約1時間前が基本です
  • 飲む量:飲む量は、通常25mgまたは50mgを1回1錠です
  • 服用間隔:服用は1日1回までとし、次に飲むまでは必ず24時間以上の間隔を空けてください

効果を高めたいからといって、複数錠を一度に飲んだり、短時間のうちに連続で服用したりすることは、副作用のリスクを増大させるだけであり、絶対におやめください。

効果の持続時間は3〜5時間ほどですが、これは勃起しっぱなしになるわけではありません。

あくまで性的刺激があった時に、勃起しやすくなる状態が続く、とお考え下さい。

錠剤を割って飲むのはNG?

費用を抑えるために50mg錠をピルカッターで半分にして飲もうと考える方もいらっしゃいますが、自己判断で割るのは推奨しません。

錠剤は成分が均一に分布するように作られておらず、また表面のコーティングが剥がれることで体内での吸収のされ方が変わってしまう可能性があります。

結果として、期待した効果が得られなかったり、副作用が強く出てしまったりするリスクがあります。
用量の調整は、必ず医師にご相談ください。

バイアグラの効果を最大化する「正しい飲み方」

効果を最大化する「正しい飲み方」

ここがこの記事で最も重要なポイントです。

バイアグラの効果をしっかりと引き出すために、以下の3つのコツを必ず守ってください。

タイミングは「性行為の1時間前」「空腹時」が鉄則!

バイアグラは、服用してから有効成分が体内に吸収され、血液中の濃度がピークに達したときに最も効果を発揮します。

そのピークが、服用後およそ1時間です。
そのため、性行為の1時間前に飲むのが、効果発揮のベストタイミングとなります。

早すぎても遅すぎても、いざという時に十分な効果が得られない可能性があります。

そして、それ以上に重要なのが「空腹時に飲む」ということです。

バイアグラの有効成分「シルデナフィル」は、主に小腸から吸収されます。

しかし、胃の中に食べ物、特に油分が残っていると、食べ物が小腸へ送られるのが遅くなり、薬の吸収を物理的に妨げてしまいます。

また、脂肪分が小腸の粘膜に膜を張ることで、成分の吸収効率そのものが著しく低下します。

結果として、血中濃度の上昇が遅れ、ピーク時の濃度も低くなり、「飲んだのに全然効かなかった…」という最も避けたい事態につながるのです。

食事の内容に注意!あっさりした和食がおすすめ

理想は空腹時の服用ですが、デートなどでどうしても食事を摂る場合は、内容とタイミングに細心の注意を払いましょう。

まず、食事を摂った場合は、最低でも2時間、できれば3時間以上は時間を空けて、胃の中が空になってから服用してください。

そして、食べるメニュー選びも極めて重要です。
ポイントは「脂質」を徹底的に避けることです。

脂質が多い食事は消化に時間がかかり、長時間胃の中に留まるため、バイアグラの吸収を大きく阻害します。

当院で患者様にお伝えしている、具体的な食事メニューの選び方をご紹介します。

おすすめのメニュー(脂質が少ない)避けるべきメニュー(脂質が多い)
お蕎麦、うどん、お寿司焼肉、ステーキ、天ぷら
サラダ、お茶漬け、そうめんラーメン、中華料理、フライドフード
焼き魚や煮物など、脂質の少ない和定食クリーム系のパスタ、ハンバーガー、ピザ

デートの食事では、なるべく「あっさりした和食」を選ぶことが、その後の成功の秘訣と言えるでしょう。

「水」か「ぬるま湯」で飲むのが基本

バイアグラは、コップ1杯程度の水、またはぬるま湯で服用するのが基本です。

他の飲み物で代用すると、思わぬ影響が出ることがあります。

特にグレープフルーツジュースは絶対に避けてください。

グレープフルーツに含まれる「フラノクマリン類」という成分が、肝臓や小腸にある薬物代謝酵素「CYP3A4」の働きを阻害します。
この酵素はバイアグラの成分を分解する役割を担っているため、その働きが弱まると、薬の成分が分解されずに血中濃度が異常に高くなってしまいます。
結果、効果や副作用が強く出過ぎてしまい、大変危険です。

牛乳やお茶、コーヒーなども、成分の吸収に僅かながら影響を与える可能性がゼロではないため、最も確実で安全な「水」で服用することを強く推奨します。

バイアグラとお酒(アルコール)の上手な付き合い方

効果を最大化する「正しい飲み方」

「お酒を飲んだ勢いで…」というシチュエーションは多いと思いますが、アルコールとバイアグラの関係は正しく理解しておく必要があります。

結論からいうと、「少量ならOK、多量はNG」です。

少量の飲酒がもたらすメリット

適量のアルコールには、血管を拡張させ血行を良くする作用や、中枢神経の働きを抑制してリラックスさせる効果があります。

EDの原因の一つに精神的な緊張や不安(パフォーマンス不安)がある場合、ビールやワインを1〜2杯程度嗜むことで気持ちがほぐれ、バイアグラの効果をむしろ引き出しやすくなるケースもあります。

大量の飲酒がもたらすデメリット

しかし、深酒は完全に逆効果です。

アルコールを大量に摂取すると、神経の伝達機能が鈍くなり、性的興奮が脳から陰茎へうまく伝わらなくなります。
これにより、勃起そのものがしづらくなり、せっかくバイアグラを飲んでも効果が全く感じられない原因になります。

さらに、バイアグラにもアルコールにも血管を拡張させる作用があります。

この二つを同時に大量に摂取すると、作用が重なり合って血圧が下がりすぎてしまう危険性があります。
強いめまいや立ちくらみを起こしたり、場合によっては意識を失ったりすることもあり、非常に危険です。

お酒はあくまで「ほろ酔い」程度に留めておくのが、安全かつ効果的にバイアグラを活用するコツです。

副作用と禁忌(飲めない人)について

副作用と禁忌(飲めない人)について

バイアグラは安全性の高い薬ですが、全ての人に使えるわけではありません。

副作用や、服用してはいけないケースについて、必ず理解しておきましょう。

主な副作用とその理由

バイアグラの血管を広げる作用により、陰茎以外の場所でも血管が拡張し、以下のような副作用が出ることがあります。

これらは薬が効いている証拠とも言え、多くは一時的なものです。

  • 顔のほてり・目の充血:顔や目の周りの血管が拡張することで起こります
  • 頭痛:頭部の血管が拡張し、ズキズキとした痛みを感じることがあります
  • 鼻づまり:鼻の粘膜にある血管が拡張(充血)することで起こります
  • 動悸:全身の血行が良くなることで、心臓の拍動を一時的に強く感じることがあります

これらの症状は、薬の効果が切れると共に自然に治まることがほとんどです。

しかし、万が一症状が非常に重い、または数時間経っても治まらない場合は、医師に相談してください。
より詳しくは下記のページでも解説しています。

絶対に併用してはいけない薬(併用禁忌)

以下の薬を服用中の方は、バイアグラを絶対に服用できません。

特に、狭心症の治療薬である硝酸剤(ニトログリセリンなど)は、バイアグラと併用すると、体内のcGMPが過剰に増加し、血圧が危険なレベルまで急激に低下し、命に関わる事態を招きます。

  • 硝酸剤(ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、亜硝酸アミルなど)
  • NO供与剤(ニコランジルなど)
  • sGC刺激剤(アデムパス錠など)
  • 抗不整脈薬(アミオダロン塩酸塩)

これら以外にも、高血圧や前立腺肥大症の治療薬、一部の抗生物質や抗真菌薬などを服用中の方は、慎重な判断が必要です。

バイアグラの服用は、必ず医師の診断のもとで

持病や服用中の薬がある方は、ご自身の判断で服用せず、必ず診察時に医師へ正確に申告してください。

安全に服用できるかを専門家が判断することが、何よりも大切です。

また、インターネット上で処方箋なしで販売されている製品には、偽造品や不純物が混入しているリスクが非常に高く危険です。
健康被害を避けるためにも、必ず国内の医療機関で処方された正規品を使用してください。

当院では、患者様一人ひとりのお話を丁寧にお伺いし、健康状態をしっかりと確認した上で、安全に治療を進められるようサポートいたします。
ご不安な点があれば、お気軽にご相談ください。

「バイアグラが効かない…」と感じた時に確認すべきこと

バイアグラが効かない時の確認ポイント

「指示通りに飲んだはずなのに、効果がなかった」という場合、いくつかの原因が考えられます。一つずつ確認してみましょう。

食後の服用ではありませんでしたか?

最もよくある原因が、食事の影響です。

たとえあっさりした食事でも、食後すぐの服用は吸収を妨げます。
服用前の2〜3時間は、胃を空っぽにする意識を徹底してみてください。

お酒を飲み過ぎていませんでしたか?

ほろ酔いを通り越して、泥酔状態になっていませんでしたか。

アルコールの影響で神経が鈍り、性的興奮そのものが起こりにくくなっている可能性があります。

十分な性的興奮はありましたか?

バイアグラは媚薬や性欲増進剤ではありません。

服用しただけで自動的に勃起するわけではなく、あくまで性的興奮や刺激があって初めて、勃起を「助ける」お薬です。

焦りやプレッシャーを感じていると、興奮が妨げられて効果が出ないことがあります。
まずはリラックスして、パートナーとのスキンシップを大切にしてください。

ストレスや疲れが溜まっていませんか?

仕事の疲れや睡眠不足、精神的なストレスは、EDの大きな要因です。

バイアグラは身体的な血流を改善する薬ですが、心身のコンディションが悪すぎると、その効果を上回って勃起不全が起きてしまうことがあります。
まずは十分な休息をとることも重要です。

処方された用量は適切でしたか?

EDの重症度や体格には個人差があるため、25mgでは効果が不十分な方もいらっしゃいます
その場合、50mgに増量することで十分な効果が得られるケースは少なくありません。

自己判断で2錠飲んだりせず、必ず医師に相談して用量を調整してもらいましょう。

もし50mgでも複数回試して効果が実感できない場合は、バイアグラが体質に合っていない可能性も考えられます。
その際は、レビトラ(バルデナフィル)やシアリス(タダラフィル)、アバナ(アバナフィル)など、作用の仕方や特徴が異なる他のED治療薬を試すことで、ご自身に合った治療法が見つかることが多々あります。

諦めずに専門医にご相談ください。

正しい知識でバイアグラを最大限に活用しよう

バイアグラは、正しい知識を持って服用すれば、非常に有効かつ安全なED治療薬です。

最後に、最も重要なポイントを改めてまとめます。

  • 服用は性行為の1時間前、かつ胃が空っぽの状態が理想です
  • 食事は脂質を避け、服用まで最低2時間以上空けてください
  • お酒は適量に留め、深酒は絶対に避けるべきです
  • 服用時は必ず水かぬるま湯を使用してください
  • 安全のため、必ず医師の診察を受け、処方された正規品を服用してください

EDは非常にデリケートな悩みですが、今や効果的な治療法が確立されています。
もし自己流で試してうまくいかなかった経験がある方も、決して一人で悩まないでください。

プライベートクリニック高田馬場では、ED治療の豊富な経験を持つ医師が、あなたの悩みに真摯に寄り添い、最適な治療プランをご提案します。
EDだけでなく、早漏といった男性特有の悩みにも対応しており、必要に応じて早漏治療薬(ポゼット)の処方も可能です。

バイアグラの処方をご希望の方、EDについて専門医に相談してみたい方は、ぜひお気軽に当院のオンライン予約、またはお電話にてご相談ください。
プロの力を借りて、自信を取り戻すための一歩を踏み出しましょう。

著者・監修者:

(プライベートクリニック高田馬場 院長)

順天堂大→東京医療センター→大手美容外科を経て独立。2017年プライベートクリニック高田馬場を開院。全国対応のオンライン診療(ピル・性感染症・ED/AGA)を軸に、美容皮膚科・医療脱毛を中心とした美容医療にも注力。公式LINE登録者40万人超。「より良い医療を、もっと身近に」が信条。日本遠隔医療学会・日本美容皮膚科学会所属。

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