よくある軽度なバイアグラの副作用

ここで紹介する症状は、バイアグラの有効成分が体内で正常に作用している証拠とも言える、一時的な体の反応です。
多くの場合、薬の効果が薄れていくと共に自然に消失するため、冷静に対処しましょう。
ほてり・顔の紅潮・目の充血
バイアグラを服用後、30分〜1時間ほどで顔や体がカッと熱くなるような「ほてり」や、鏡を見ると顔が赤くなっている「紅潮」は、最も多くの方が経験する副作用です。
これは、バイアグラの血管を拡張させる作用が、陰茎だけでなく全身に及ぶために起こります。
顔の皮膚に近い毛細血管の血流が良くなることで、熱っぽく感じたり、赤く見えたりするのです。
温泉に入った後に体がポカポカする感覚に似ています。
同時に目の血管も拡張し、白目が少し充血することもありますが、これらは健康を害するものではありません。
頭痛
ほてりと並んで頻度の高い副作用が頭痛です。
これも頭部の血管が拡張することが原因です。
普段は落ち着いている脳の血管が急に広がることで、周囲の神経が圧迫・刺激され、それが痛みとして認識されます。
ズキン、ズキンと心臓の拍動に合わせて痛む「拍動性頭痛」であることが多いですが、痛みの強さは「少しお酒を飲みすぎた翌日のような鈍い痛み」程度であることがほとんどです。
日常生活に支障が出るほどの激しい頭痛になることは稀です。
鼻づまり
鼻の内部は、無数の毛細血管が張り巡らされた粘膜で覆われています。
バイアグラの作用でこの部分の血管が拡張・充血すると、粘膜が一時的に腫れたような状態になり、鼻の通りが悪く感じられます。
風邪や花粉症の時のような鼻づまりに似ていますが、あくまで一過性の症状であり、薬の効果が切れれば自然に解消します。
消化不良・胃の不快感
人によっては、胃が少しムカムカする、胸やけがする、といった消化器系の症状を感じることがあります。
これは、バイアグラの有効成分「シルデナフィル」が、食道や胃の筋肉の働きにわずかな影響を与えることで起こると考えられています。
症状はごく軽いものがほとんどで、深刻な胃腸障害に発展することはありません。
バイアグラによる重篤な副作用

以下の副作用は、発生頻度としては極めて稀(数万〜数十万人に1人程度)ですが、万が一起こった場合はご自身の体に重大な影響を及ぼす可能性があるため、必ず知識として知っておいてください。
これらの症状を自覚した場合は、ためらわずに服用を中止し、直ちに医療機関を受診してください。
急激な血圧低下
バイアグラには全身の血管を広げ、血圧を穏やかに下げる作用があります。
しかし、特定の薬(特に後述する硝酸剤)と併用すると、この作用が危険なレベルまで増幅され、血圧が急降下してしまいます。
これにより、脳に十分な血液が送られなくなり、強いめまいや失神、場合によっては命に関わるショック状態を引き起こすことがあります。
持続勃起症(プリアピズム)
持続勃起症(プリアピズム)は、性的興奮や刺激が終わった後も勃起が全く治まらず、4時間以上にわたって痛みを伴う勃起が続いてしまう状態です。
これは、陰茎から血液が適切に排出されなくなったことで起こる、緊急性の高い病態です。
陰茎の組織内に閉じ込められた古い血液は酸素を失い、組織を傷つけ始めます。
6時間以上放置すると、陰茎の細胞が壊死し、永久に勃起できなくなる(器質性ED)という最悪の事態につながる恐れがあります。
視覚異常(NAIONなど)
視覚異常とは、視界が青っぽく見える「青視症」は一時的なものですが、それとは全く異なる危険な目の症状として「非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)」がごく稀に報告されています。
これは、目の奥にある視神経への血流が途絶え、神経細胞がダメージを受けることで起こります。
主な症状は「片方の目の急激な、痛みを伴わない視力低下」です。
突然、視界の中心が暗くなる、視野の一部が欠けるといった症状が現れた場合は、失明に至るリスクもあるため、直ちに眼科専門医を受診する必要があります。
胸痛・動悸などの心臓症状
バイアグラが直接心臓に悪影響を与えるわけではありません。
しかし、性行為そのものが、階段を駆け上がる程度の運動負荷を心臓に与えます。
もともと心臓に病気を抱えている方がバイアグラを用いて性行為を行うと、心臓がその負荷に耐えきれず、狭心症の発作(胸の痛み)や危険な不整脈を引き起こす可能性があります。
バイアグラの副作用と「アレルギー反応」は違う

副作用と混同されがちですが、全く異なるものに「アレルギー反応」があります。
- 副作用:薬の本来の作用が、目的以外の場所に現れること。ある程度の発生が予測される。
- アレルギー反応:体の免疫システムが薬を「異物」と誤認して過剰に攻撃してしまう反応。発生は予測不能。
バイアグラに対する重篤なアレルギー反応は非常に稀ですが、万が一、服用後に蕁麻疹(じんましん)、皮膚の激しいかゆみ、顔・唇・舌の腫れ、呼吸困難といった症状が現れた場合は、アナフィラキシーショックの可能性があります。
これは副作用ではなく、一刻を争う緊急事態ですので、直ちに救急車を要請してください。
バイアグラの副作用の「確率」と「持続時間」
副作用はどのくらいの確率で起こるのか?
国内外の臨床試験では、ほてりや頭痛といった軽度な副作用は、服用者の約10%〜15%に認められています。
これは「10人に1人か、それ以上」という計算になり、決して無視できる数字ではありません。
しかし、これは裏を返せば、約85%〜90%の人は特に気になる副作用を経験しない、ということでもあります。
また、副作用が出たとしても、そのほとんどが我慢できる範囲の軽い症状です。
副作用はいつまで続くのか?
副作用の持続時間は、バイアグラが体内で作用している時間とほぼ同じです。バイアグラの血中濃度は、服用後およそ3〜5時間で半減します。
これに伴い、副作用も通常は服用から4〜6時間もすれば、自然に消失していきます。
ほてりや頭痛が翌日まで残る、ということは基本的にありません。
なぜバイアグラによる副作用は起こるのか?
主な原因は「血管拡張作用」
副作用の根本的な原因は、バイアグラの主作用である「血管を広げる力(血管拡張作用)」にあります。
この作用が、目的の場所である陰茎だけでなく、全身の様々な場所で同時に起こるため、意図しない症状、つまり副作用として現れるのです。
これは薬が正常に効いている証拠であり、ある意味で避けられない体の反応といえます。
服用量や体質、体調による影響
服用するバイアグラの量が多いほど、血中濃度が高くなり、副作用は出やすくなります。
また、薬を分解する肝臓の能力には個人差があるため、同じ量を飲んでも、薬が効きやすい人(副作用が出やすい人)と、そうでない人がいます。
その日の体調、特に疲労や睡眠不足の状態も、副作用の感じ方に大きく影響します。
特に副作用が出やすい人の4つの特徴

以下に該当する方は、そうでない方に比べて副作用が強く現れる可能性があるため、より慎重な服用が求められます。
高齢者(65歳以上)の方
年齢を重ねると、薬を分解する肝臓や、体外へ排出する腎臓の働きが自然と低下してきます。
これにより、服用した薬の成分が体内に長く、そして濃く留まりやすくなるため、若い人と同じ量でも効果や副作用が強く出てしまう傾向があります。
肝臓や腎臓の機能が低下している方
肝硬変や慢性腎臓病など、肝臓や腎臓に持病がある方は、薬の分解・排泄能力が著しく低下しています。
そのため、ごく少量の服用でも血中濃度が想定以上に上昇し、重い副作用につながるリスクが高まります。
心血管系の持病がある方
高血圧、狭心症、心不全、不整脈といった心臓や血管の病気をお持ちの方は、バイアグラによる血圧の変動が、心臓に過度な負担をかけてしまう可能性があります。
病状を悪化させる危険があるため、服用には医師による慎重な判断が必要です。
他の薬を服用中の方
現在服用している薬によっては、バイアグラの代謝を妨げたり、作用を強めたりする可能性があります。
特に注意が必要な薬については、次の項目で詳しく解説します。
バイアグラと絶対に併用してはいけない薬について
安全なED治療において、最も重要なのが「飲み合わせ」の知識です。
中には、命に関わる組み合わせも存在します。
絶対に併用してはいけない薬(併用禁忌薬)としては、以下のようなものがあります。
硝酸剤及びNO供与剤
狭心症の発作治療などに使われるニトログリセリン(ニトロペン、ミオコールスプレー等)や、硝酸イソソルビド(ニトロール、フランドルテープ等)といった薬との併用は絶対におやめください。
これらの薬とバイアグラを併用すると、血圧が危険なレベルまで急降下し、命を落とす危険性があります。
アミオダロン塩酸塩
重篤な不整脈の治療に使われる抗不整脈薬アミオダロン(アンカロン錠)を服用中の方も、バイアグラは使用できません。
心臓の電気信号に影響を与え、致死性の不整脈を誘発する恐れがあります。
sGC刺激剤
肺高血圧症の治療薬であるリオシグアト(アデムパス)と併用すると、相乗効果で血圧が下がり過ぎてしまうため、併用は禁忌とされています。
バイアグラ使用に伴う、その他の注意点
グレープフルーツ(ジュースを含む)と一緒にバイアグラを服用することは避けてください。
グレープフルーツに含まれる成分が、肝臓でのバイアグラの分解を阻害してしまいます。
その結果、薬の血中濃度が異常に高まり、副作用が強く出たり、長時間作用が抜けなくなったりする可能性があります。
副作用を最小限に抑える、バイアグラの安全な使い方

鉄則は「空腹時」の服用
バイアグラの効果を最大限に引き出し、副作用を安定させるためには、胃が空っぽの状態で服用することが最も重要です。
食後に服用すると、食事の脂肪分が薬の吸収を邪魔してしまい、効果が弱まったり、効き始める時間が予測できなくなったりします。
食事を摂る場合は、食事の2時間後を目安にしてください。
使用のタイミングと間隔を厳守する
バイアグラは、性行為の約1時間前に服用するのが基本です。
また、服用は1日1回限りとし、次の服用までは必ず24時間以上の間隔を空けてください。
焦って追加服用すると、過量投与となり非常に危険です。
自分に合った用量を見つける
初めての方や副作用が心配な方は、医師に相談の上、最も少ない用量(国内では25mg)から始めるのが賢明です。
少量で十分な効果が得られれば、副作用のリスクも低く抑えられます。
自己判断での増量は絶対におやめください。
副作用への「心の準備」をしておく
「副作用が起きるかも」と過度に不安になっていると、その不安自体が動悸や頭痛を引き起こすことがあります。
事前に「軽いほてりや頭痛は、薬が効いているサイン」と理解しておくだけで、気持ちは楽になります。
念のため、枕元に水と、いざという時のための市販の頭痛薬を置いておくと、さらに安心して臨むことができるでしょう。
もしバイアグラの副作用が出たときの対処法
頭痛がする場合
我慢する必要はありません。
ロキソニンSやイブ、タイレノールといった市販の鎮痛剤を服用して大丈夫です。
バイアグラとこれらの薬との間に、危険な相互作用はありません。
薬を飲むと共に、少し部屋を暗くしてリラックスすると、より早く痛みが和らぎます。
顔がほてって熱い場合
これは血行が良くなっている証拠なので、心配はいりません。
冷たいタオルで首筋や額を冷やしたり、少し薄着になったりすると、不快感が和らぎます。
ゆっくりとコップ一杯の水を飲むのもおすすめです。
鼻づまりが気になる場合
一時的な症状なので、基本的には様子見で問題ありません。
どうしても気になる場合は、メントール系のリップクリームを鼻の下に塗ったり、加湿器を使ったりすると、少し楽になることがあります。
胃がムカムカする場合
コップ一杯の水を飲むか、市販の胃薬(特に胃酸を抑えるタイプの制酸剤)を服用すれば、ほとんどの場合は改善します。
バイアグラの副作用に関するよくある質問
-
副作用は使い続けるうちに慣れますか?
はい、その可能性はあります。
全ての人に当てはまるわけではありませんが、バイアグラを何度か使用していくうちに、体が薬の作用に慣れ、初回に感じたほどのほてりや頭痛を感じなくなる方は少なくありません。
-
バイアグラ以外のED治療薬なら副作用は出ませんか?
いいえ、他のED治療薬にも、それぞれ異なる特徴の副作用が存在します。
例えば、長時間作用型のシアリスは、ほてりや頭痛はマイルドな一方、体質によっては筋肉痛や腰痛が出ることがあります。即効性の高いレビトラは、鼻づまりが比較的出やすいとされています。
重要なのは、一つの薬が合わなくても、他の薬に変えることで、副作用の問題が解決できる場合が非常に多いということです。自己判断で諦めず、医師に相談することが大切です。 詳しくは下記ページもご覧ください。
不安の解消は正しい知識から
バイアグラの副作用は、その正体と対処法を知り、医師の指導のもとで正しく使用すれば、決して怖いものではありません。
最も危険なのは、誤った知識や自己判断で、安全でないルートから入手した薬を使用してしまうことです。
インターネットで販売されている安価な海外製の薬は、偽造品や不純物が混入した粗悪品である可能性が極めて高く、予測不能な健康被害を招く温床となっています。
あなたの健康と安全を守るため、そしてED治療で確かな効果を得るために、必ず信頼できる医療機関で診察を受け、正規品を処方してもらってください。
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