生理不順とは
生理不順とは、月経周期が一般的な周期から大きく外れたり、周期ごとに長さがばらつく状態です。
原因はホルモンバランスの乱れによるもので、ストレス・過度なダイエット・睡眠不足・慢性疲労・甲状腺機能異常・多嚢胞性卵巣症候群など多岐にわたります。
あなたの生理は大丈夫?生理不順のタイプとセルフチェック

「私のこの症状って、生理不順なのかな?」
まずは、ご自身の状態を客観的に知ることが第一歩です。
そもそも「正常な生理」って?
生理周期は、生理が始まった日を1日目として、次の生理が始まる前日までの日数で数えます。
以下の範囲に収まっていれば、基本的に「正常」と考えてよいでしょう。
- 生理周期:25日~38日のサイクル
- 周期の変動:前後のズレが6日以内
- 出血の持続日数:3日~7日間
- 経血量:多すぎる、少なすぎるなどの異常がない
毎月きっかり同じ日に来なくても、この範囲内であれば、過度に心配する必要はありませんよ。
「生理不順」と呼ばれるさまざまな症状
「生理不順」と一言でいっても、その現れ方は人それぞれです。
ご自身の状態がどれに近いか、少し振り返ってみてください。
周期が短い【頻発(ひんぱつ)月経】
頻発月経とは、生理周期が24日以内と短く、1ヶ月に2回以上生理が来るような状態です。
「また生理が来た…」と感じることが多いかもしれません。
排卵がうまくいかずに出血しているケースもあります。
周期が長い【稀発(きはつ)月経】
稀発月経とは、生理周期が39日以上と長く、忘れた頃にやってくる状態です。
年に数回しか生理が来ないこともあり、「いつ来るか分からない」という不安を抱えやすいタイプです。
生理が来ない【無月経】
無月経とは、妊娠の可能性がないにもかかわらず、3ヶ月(90日)以上、一度も生理が来ない状態です。
これは、体が排卵をストップさせているサインであり、放置せず必ず婦人科に相談してほしい状態です。
その他にも、出血が8日以上だらだらと続く「過長月経」、経血量が異常に多い「過多月経」、逆に出血が2日以内で終わってしまう「過短月経」や量が極端に少ない「過少月経」、生理期間以外に起こる「不正出血」も、注意すべきサインです。
なぜ生理不順になるの?考えられる主な原因

生理のリズムは、脳と卵巣が連携し、2つの女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の絶妙なバランスによって保たれています。
この繊細なバランスは、些細なきっかけで簡単に崩れてしまうのです。
心と体のストレス、生活習慣の乱れ
実は、生理不順の最も一般的な原因は、日々の生活の中に潜んでいます。
女性の体は正直です。仕事のプレッシャーや人間関係の悩みといった精神的なストレスがかかると、ホルモン分泌を司令している脳の機能が低下してしまいます。
脳が「今は妊娠・出産どころではない」と判断し、自ら排卵にブレーキをかけてしまうのです。
また、無理な食事制限による急激なダイエットも、体にとっては大きなストレスです。
体が「飢餓状態」と認識すると、生命維持を優先するため、生殖に関わる生理を止めてしまいます。
その他にも、慢性的な睡眠不足や昼夜逆転の生活、過度な運動なども、知らず知らずのうちにホルモンバランスを乱す原因となります。
年齢と共に訪れる、自然な体の変化
ライフステージによって、ホルモンバランスが揺らぎやすい時期があります。
例えば、初経を迎えてから数年間の思春期は、まだホルモン分泌のシステムが成熟しきっていないため、周期が不安定になるのはごく自然なことです。
また、産後はホルモンバランスが大きく変化する時期であり、特に母乳育児中は生理が再開しないことも珍しくありません。
そして更年期(40代以降)になると、閉経に向けて卵巣の機能が少しずつお休みモードに入っていくため、生理が乱れやすくなるのは自然な体の変化と言えます。
背景に隠れているかもしれない病気
生活習慣に特に心当たりがないのに、生理不順が長く続く…。
そんな時は、背景に何らかの病気が隠れている可能性も考える必要があります。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、排卵がスムーズに行われず、卵巣の中に小さな卵胞がたくさんできてしまう病気です。
稀発月経や無月経の原因として非常に多く、ニキビが増えたり、少し毛深くなったりといった症状を伴うこともあります。
また、のどにある甲状腺の病気によってホルモン分泌のバランスが崩れると、月経のリズムに影響が出ることがあります。
疲れやすさや体重の増減など、他の不調を伴うことも少なくありません。
生理痛がひどい、経血量が多いといった場合は、子宮筋腫や子宮内膜症といった病気の可能性も考えられます。
ご自身で原因を判断するのは難しいため、気になる症状があれば専門医に相談することが、安心への一番の近道です。
あなたの不調の原因、一緒に見つけませんか?
生理不順の背景には、さまざまな要因が考えられます。
プライベートクリニック高田馬場では、丁寧な問診と必要な検査を通じて原因を特定し、あなたに最適な治療法をご提案します。
生理不順、どうしたらいい?今日からできることと病院での治療

「生理不順を改善するために、私に何ができるんだろう?」
ここでは、ご自身でできるセルフケアと、病院で受けられる専門的な治療についてお話しします。
心と体をいたわるセルフケア
治療の基本であり、最も大切なのは、ホルモンバランスを整えるための生活習慣です。
焦らず、できることから始めてみましょう。
まずは、バランスの良い食事です。
1日3食を基本に、タンパク質やビタミン、ミネラルをしっかり摂りましょう。
次に、質の良い睡眠を心がけること。
リラックスして深く眠るため、寝る前のスマホ操作を控えるなど工夫してみてください。
また、ストレスと上手に付き合うことも重要です。
趣味の時間を作るなど、心が「ほっとする」時間を見つけましょう。
体を温める習慣も効果的です。
血行不良はホルモンバランスに影響するため、お風呂にゆっくり浸かるなど意識してみてください。
そして、自分のリズムを知るために基礎体温を記録するのもおすすめです。
排卵の有無を推測でき、婦人科を受診する際にも、医師があなたの状態を把握するための貴重な情報となります。
婦人科での検査と治療
セルフケアを続けても改善が見られない場合や、何らかの病気が疑われる場合は、専門家の力を借りましょう。
治療法は、原因やあなたのライフプラン(妊娠を希望するかどうかなど)に合わせて、最適なものを一緒に考えていきます。
ホルモン剤で周期を整える「ホルモン療法」を第一選択としてご提案いたします。
低用量ピルという選択肢。生理不順の頼れる味方

「生活習慣は気をつけているけど、やっぱり周期が安定しない…」
「毎月、生理が来るかどうかの不安から解放されたい!」
そんな方にとって、低用量ピルは、生理不順の悩みを解決するための非常に有効な治療法の一つです。
ピルは「避妊薬」というイメージが強いかもしれませんが、生理不順やPMS、生理痛の「治療薬」として、ごく当たり前に使われています。
ピルは、なぜ生理不順に効くの?
低用量ピルには、女性ホルモンがごく少量含まれています。
毎日決まった時間に1錠飲むことで、体内のホルモンバランスを一定に保ち、排卵を一時的にお休みさせます。
そして、薬を飲み終えて休薬期間に入ると、生理と同じような出血(消退出血)が起こります。
これが毎月きっかり28日周期で起こるため、生理のリズムが整うのです。
生理周期だけじゃない!ピルがもたらす嬉しい効果
ピルには、生理不順を改善する以外にも、女性にとって嬉しいメリット(副効用)がたくさんあります。
まず、生理周期がコントロールできるようになります。
「いつ来るか分からない」というストレスから解放され、旅行などの計画も安心して立てられるようになります。
次に、辛い生理痛やPMSが楽になることも大きなメリットです。
排卵に伴うホルモンの大きな波がなくなるため、生理前のイライラや気分の落ち込み、腹痛、頭痛といった不快な症状が劇的に軽くなる方が多いです。
さらに、経血量が減り、貧血も改善します。子宮内膜が厚くならないため出血量が大幅に減少し、生理中の不快感が減るだけでなく、貧血気味だった方の症状改善にも繋がります。
その他にも、ホルモンバランスが整うことでニキビや肌荒れが改善したり、長期間の服用で将来の婦人科系のがんリスクを低減したりする効果も分かっています。
副作用は?安全性は?ピルへの不安にお答えします
現在の低用量ピルはホルモン量が少なく、非常に安全性の高い薬です。
飲み始めは体が薬に慣れるまで、軽い吐き気や頭痛などの「マイナートラブル」が起こることがありますが、多くは続けるうちに自然に消えていきます。
最も注意が必要な副作用として「血栓症(血の塊ができる病気)」がありますが、そのリスクは極めて稀です。
ただし、35歳以上でタバコを吸う方や、重い持病をお持ちの方など、リスクが高い方には処方できません。
私たちは、処方前に必ず丁寧な問診を行い、医師があなたの健康状態をしっかりと確認した上で、安全に服用できると判断した場合にのみ処方しています。
よくある「ピルを飲むと太る」「将来妊娠できなくなる」といった話は、医学的には根拠のない誤解です。
ピルで太ることはなく、服用をやめれば体は元の状態に戻り、妊娠機能に影響することもありません。
ピル処方もオンラインで。もっと身近な選択肢へ
プライベートクリニック高田馬場では、お忙しい方や遠方にお住まいの方でも気軽に相談できるよう、オンライン診療を導入しています。
ピルの処方も可能ですので、「ちょっと話を聞いてみたい」という方も、ぜひお気軽にご利用ください。
あなたの体を大切に。一人で悩まず、いつでもご相談ください

この記事でお伝えした大切なポイントを、最後に振り返ります。
生理不順は、周期・期間・量の乱れなど、人によって症状はさまざまです。
原因はストレスや生活習慣だけでなく、病気が隠れていることもあります。
3ヶ月以上生理が来ていない場合は、決して放置せず、医師にご相談ください。
治療法として、ホルモンバランスを整える低用量ピルは非常に有効です。
生理は、毎月訪れる少し憂鬱なものかもしれません。
しかし、それはあなたの健康状態を教えてくれる、体からの大切なお便りでもあります。
そのお便りが不規則になったとき、「これくらい大丈夫」と見過ごさないでください。
「病院に行くのは少し恥ずかしい…」と感じる必要も全くありません。
私たちプライベートクリニック高田馬場は、すべての女性が安心して自分の体のことを相談できる、温かい場所でありたいと願っています。
あなたの不安に、専門家として、そして一人の人間として、親身に寄り添います。
どんな些細なことでも構いません。
どうぞお気軽に、あなたの声を聞かせてください。