緊急避妊法は2つある
緊急避妊法には、ヤッペ法とレボノルゲストレル法の大きく2種類があり、現在は「アフターピル」として一般に知られるレボノルゲストレル法の方が一般的です。
それぞれの特徴や避妊率をまとめた表がこちらです。

レボノルゲストレル法
このレボノルゲストレル法は、2011年に日本で承認された、現在主流となっている緊急避妊の方法です。
一番のメリットは、副作用がほとんどなく、1回1錠飲むだけで完了する手軽さにあります。
価格はクリニックによって幅がありますが、8,000円〜20,000円が一般的な相場です。
また、避妊効果が非常に高いのも特徴で、服用が早ければ早いほど確実です。
具体的には、性交後24時間以内に服用すれば99%、48時間以内なら98%、72時間以内でも97%の高い確率で妊娠を防ぐことができます。
ヤッペ法
ヤッペ法は1970年代から行われている、昔ながらの緊急避妊法です。
ただし、副作用が強く、避妊効果も現在の主流な方法と比べて低いです。
服用した人の約半数に吐き気などの症状が出るといわれており、体への負担が課題です。
また、お薬を合計4錠、12時間あけて2回に分けて服用する必要があり、飲み忘れにも注意が必要です。
避妊率は24時間以内の服用で77%ですが、48時間後には36%、72時間後には31%と、時間が経つにつれて効果が大きく下がってしまいます。
価格は5,000円〜10,000円程度と安価ですが、これらの理由から、現在ではあまり推奨されていません。
アフターピルの価格一覧
ここからは、アフターピルの価格をチェックしていきましょう。
今回はプラノバール(ヤッペ法)、ノルレボ、レボノルゲストレル(ノルレボのジェネリック薬)の価格帯をご紹介します。
病院で処方される薬には「先発医薬品(新薬)」と「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」の2種類があります。
後発医薬品は先発医薬品の再審査期間や特許期間(20〜25年間)の終了後に発売されるものです。
※「レボノルゲストレル」は「ノルレボ」の特許が切れた後に開発・発売されたジェネリック品です。いずれも同じ成分で同じ効き目ですが、レボノルゲストレルはノルレボよりも安く購入することができます。
プラノバール(ヤッペ法)の価格

まずはプラノバールから見ていきましょう。中用量ピルを2錠内服、12時間後にさらに2錠内服しますが、吐き気がある場合は吐き気止めも服用します。
プラノバールの価格
プラノバールの相場は4,000円〜8,000円ほどです。副作用が出やすいため、吐き気止めも一緒に処方してくれるところもあります。
プラノバールの特徴
プラノバールは月経困難症や過多月経など様々な目的で処方される中用量ピルです。
もともと緊急避妊を目的とした薬剤ではなく、黄体ホルモンと卵胞ホルモンを補うことでホルモンバランスを整え、月経周期および量の異常、月経時の諸症状などを改善するために使用されていました。
主に、機能性子宮出血、月経困難症、月経周期異常(稀発月経、頻発月経)、過多月経、子宮内膜症、卵巣機能不全の治療に用いられる薬で、自費診療としてアフターピルの目的でも処方されます。
緊急避妊薬として処方される場合は72時間以内に計4錠を服用することになり、2回目の服用を忘れると避妊効果が落ちてしまうので飲み忘れに気をつけなければなりません。
プラノバールの副作用
繰り返しになりますが、プラノバールは副作用が出やすいです。
約半数の人に副作用が現れるとされており、主な副作用は吐き気、嘔吐、食欲不振、不正出血、頭痛、めまい、乳房の張りです。
吐き気が出現する可能性が高いですが、嘔吐しないように吐き気止めなどを飲むなどして工夫しましょう。
内服後2時間以内に嘔吐したら初めからやり直しとなります。
成分が体内に吸収されるまでに2時間ほどかかるため、2時間以内に嘔吐してしまうと避妊効果を得られないことがあるのです。
ノルレボの価格

先発医薬品(新薬)「ノルレボ」。
先発医薬品は長い研究期間をかけて新しい成分の有効性・安全性が確認されたあと、国の承認を受けて発売されます。
ノルレボの価格
ノルレボの相場は15,000円〜20,000円ほどです。
卸価格でも10,000円ほどなので、15,000円前後で提供しているところが多いです。
価格は医療機関によって異なり、休日診療費が加算された場合は2万円ほどになる場合もあります。
特徴
ノルレボは72時間以内に1回1.5mgを服用するだけなので、プラノバールのように飲み忘れがありません。
避妊効果が高く、副作用が少ないのが特徴で、WHOによる緊急避妊のエッセンシャルドラッグとしても指定されています。
1999年にフランスで承認されて以降、今では世界50カ国以上で販売されています。
従来の方法に比べて避妊効果が高く副作用が少ないことから世界で広く普及しているのですね。
副作用
ノルレボは副作用がほとんどないとはいえ、眠気、下痢、出血、吐き気、めまいといった症状が出る場合もあります。
副作用が現れても、基本的には24時間以内に回復し通常通りに過ごせるようになります。
急激なホルモンバランスの変化によってお腹がゆるくなる可能性もありますが、下痢をしてもアフターピルは胃や小腸から吸収されるので問題ありません。
嘔吐しない限り避妊効果は十分に期待できるので、嘔吐にはとくに注意してください。
レボノルゲストレル(ノルレボのジェネリック薬)の価格

後発医薬品(ジェネリック医薬品)「レボノルゲストレル」。
レボノルゲストレルはノルレボと同じ成分、同じ効き目の薬で、安心して使用できます。
レボノルゲストレルの価格
レボノルゲストレル(ノルレボのジェネリック薬)の相場は8,000円〜11,000円ほどです。
当院では8,690円と安心価格でご提供しています。
ジェネリック医薬品が安いのは粗悪品だからではありません。
後発医薬品は研究開発費が少なくてすむため、安い価格で提供できるのです。
先ほどご紹介したノルレボは新薬。新薬を開発した製薬企業には発売後も有効性・安全性を確認することが義務付けられています。
審査期間が終了&先発医薬品の特許権存続期間が満了後、先発医薬品と同じ有効成分の医薬品を「後発医薬品」として他の製薬企業が製造・販売できるようになります。
つまり、後発医薬品のレボノルゲストレルはノルレボと同じ成分・効果がありますが、研究開発にコストがかかっていない分安く提供できるわけです。
レボノルゲストレルの特徴
ノルレボと同じ成分、同じ効き目の薬で、薬効は保証されています。
子宮内膜の増殖を抑える働きがあるため受精卵の着床を妨いだり、排卵を抑制することで妊娠の成立を防ぎます。
服用後、早い人で3~4日、遅くとも2週間〜3週間以内にピルによる消退出血がくるのですが、これが避妊できたサインです。
消退出血ではなく単なる不正出血の可能性もあるので、確実に避妊に成功したといえるのは次の月経が来てから、ということも頭に入れておきましょう。
レボノルゲストレルの副作用
レボノルゲストレル(ノルレボのジェネリック薬)はノルレボと同じ成分、同じ効き目の薬なので、効果も副作用も先ほどお伝えした通りです。
副作用はほとんどありませんが、万が一副作用が現れてつらい場合は無理せず病院を受診しましょう。
頭痛薬・解熱剤・胃腸薬などと併用しても問題ないので、症状によって対処薬を飲むのも一つの手です。
ただ、病院からの処方薬については注意が必要です。効果を弱めてしまう物質が入っている可能性があるため、この場合は担当医師に確認してください。
72時間を過ぎてしまった場合の選択肢「エラワン」
万が一、避妊の失敗から3日(72時間)以上が経過してしまった場合でも、諦める必要はありません。
「ウリプリスタル酢酸(商品名:エラワン)」というアフターピルがあり、これは性交後120時間(5日)以内の服用で高い避妊効果が得られます。
欧米では主流の緊急避妊薬となっており、時間経過による効果の低下が少ないのが大きな特徴です。
日本ではまだ承認されていませんが、医師が輸入する形で処方することが可能です。
当院でもご希望の方にはエラワンをご用意しておりますので、72時間を過ぎてしまった場合でも、まずはご相談ください。
おすすめなのはレボノルゲストレル
プラノバール(ヤッペ法)、ノルレボ、レボノルゲストレル(ノルレボのジェネリック薬)のうちおすすめなのは「ノルレボ」と「レボノルゲストレル」です。
特にノルレボのジェネリック医薬品である「レボノルゲストレル」は、価格を抑えられるというメリットがあります。
おすすめの理由は、ノルレボよりも安く、それでいてノルレボと同じ成分で同じ効き目であることです。
さらに避妊効果が高く、副作用が少ないことも挙げられます。
アフターピルは費用がかかりますし、決して安いものではありません。
ジェネリック医薬品でも効き目や安全性は先発医薬品と同等であることが証明されているので、少しでも費用を抑えたい人は「レボノルゲストレル」を選ぶといいでしょう。
厚生労働省が定めた基準で先発医薬品と同等であることが確認されているので、安心して使用できますよ。
アフターピルが必要になったらオンライン診療へ!
「アフターピルをもらいに行くのが恥ずかしい」「近くにアフターピルを処方してくれるような病院がない」という場合でもご安心ください。
直接クリニックや病院に行かなくても、アフターピルを手に入れることができます。その方法が「オンライン診療」です。
オンライン診療ではスマホやPCを通じて医師とやり取りができ、アフターピルを処方してもらえます。
オンライン診療でアフターピルを処方できるのは「産婦人科医と厚労省が指定する研修を受けた医師のみ」と限定されており、最短翌日にはアフターピルが届くようになっています。
当院では8,690円と安心価格でご提供しています。
アフターピルは3日以内に服用する必要がありますが、万が一の際でもオンライン診療なら迅速に対応することができますよ。
また、ご希望の方にはエラワンという5日以内に内服すれば避妊ができるお薬もご用意しております。
アフターピルに関するその他の情報
ここでは、アフターピルの入手方法や、よくある質問について補足します。
薬局での購入について
2023年より、全国の一部の薬局で、医師の処方箋なしにアフターピルを購入できる試験的な事業が始まっています。
薬剤師の指導のもと、その場で服用することが条件となります。
しかし、実施している薬局はまだ非常に限られているため、お住まいの地域で利用できるかは事前の確認が必要です。
確実かつ迅速な入手を考えるなら、やはり医療機関での処方が基本となります。
個人輸入や通販サイトでの購入は絶対に避けてください
海外の個人輸入代行サイトなどで、非常に安価なアフターピルが見つかることがあります。
しかし、これらの非正規ルートで流通している医薬品には、有効成分が入っていない偽物や、有害な物質が混入した粗悪品が紛れている危険性が極めて高いです。
避妊に失敗するだけでなく、深刻な健康被害につながる恐れもあるため、絶対に利用しないでください。
よくある質問
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未成年でもアフターピルをもらえますか?親に知られませんか?
はい、未成年の方でも処方可能です。日本では年齢制限なく緊急避妊薬を入手できます。
医療機関側もプライバシーに配慮しており、基本的に親の同意は不要です。
また、保険診療ではないため保護者に連絡が行くこともありません。 -
アフターピルを何度も使うのは良くないですか?
緊急避妊薬はあくまで非常手段とお考えください。
体への大きな負担は少ないものの、ホルモン剤を高用量服用するため頻繁な使用は望ましくありません。繰り返し使うくらいなら、早めに低用量ピルなど日常的な避妊法を取り入れることを強くおすすめします。
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アフターピル服用後の生理はどうなりますか?
アフターピル服用後は、多くの場合1週間~3週間後に消退出血と呼ばれる出血があります。
これが避妊に成功したサインとも言えますが、確実ではありません。通常の生理予定日にはズレが生じることが多く、次回の月経が来て初めて避妊成功を確定できると考えてください。
月経が予定より1週間以上遅れる場合は妊娠の可能性も考慮し、産婦人科を受診しましょう。
まとめ
ヤッペ法だと4,000円〜8,000円ほどでアフターピルを処方してもらえますが、副作用が起きる可能性が高く、避妊率も現在のものと比較すると低いことがわかっているのであまりおすすめできません。
おすすめのアフターピルは「ノルレボ」と「レボノルゲストレル(ノルレボのジェネリック薬)」です。
とくにレボノルゲストレルはジェネリック医薬品でノルレボよりも安く購入できるので、迷ったらこちらにしてみてはいかがでしょうか。
現在は「オンライン診療」という便利なシステムがあるので、何かあればうまく利用してみてくださいね。