緊急避妊法は2種類ある

避妊に失敗した時に妊娠の確率を下げる緊急避妊法には、「ヤッペ法」と「レボノルゲストレル法」の2種類の方法があります。
これまで中用量ピルを代用した緊急避妊法(ヤッペ法)が一般的でしたが、現在は1回服用するだけで済む「アフターピル」(レボノルゲストレル法)による避妊方法が主流となっています。
ヤッペ法
ヤッペ法とは、中用量ピルを性交渉から72時間以内に2錠内服して、12時間後にさらに2錠内服する方法です。
妊娠阻止率は約57%であり、内服が早ければ早いほど避妊効果は高くなります。
副作用として吐き気や嘔吐、不正出血や頭痛などが一時的に現れる場合がありますが、24時間以内に消失することがほとんどです。
吐き気の程度には個人差がありますが、嘔吐する不安がある方は吐き気を抑える薬も合わせて処方してもらうことをおすすめします。
※補足情報:ヤッペ法は、効果がレボノルゲストレル法より劣り、約半数の方に吐き気が見られるなど副作用も強いため、現在では特別な事情がない限り推奨されません。
レボノルゲストレル法
レボノルゲストレル法とは、レボノルゲストレルと呼ばれる緊急避妊専用の薬を性交後72時間以内に1錠服用する方法です。
性交後72時間以内に服用することで、妊娠阻止率は約95%になります。
より詳細なデータでは、性交後24時間以内の服用で約99%、48時間以内で約98%と、服用が早ければ早いほど効果は高まります。
ヤッペ法と比べると副作用の吐き気などの頻度も少なく、1回の服用で十分な避妊効果が得られることが特徴です。
緊急避妊薬(アフターピル)として日本で認可を得ており、「ノルレボ」の総称名で記載されることも多いです。
補足:120時間以内有効なアフターピル「エラワン」
産婦人科クリニックによっては、日本ではまだ認可されていない海外で主流になっている「エラワン」と呼ばれるアフターピルもあります。
エラワンは性交後120時間(5日)以内の内服でも約98%の確率で避妊できるアフターピルで、ノルレボなどよりも高い避妊効果が期待できます。
72時間を過ぎてしまった場合や、より確実性を求める場合の有力な選択肢となります。
当院ではエラワンの取り扱いも行っておりますので、避妊に失敗してアフターピルの服用を急いでいる方は、お気軽に当院へご相談ください。
アフターピルの効果は?

アフターピル(緊急避妊ピル)は、性行為の後でも避妊効果を得ることができます。
アフターピルによって排卵を抑制して子宮内膜の増殖を防ぐ効果が得られるため、妊娠を防ぐ効果が期待できるのです。
一般的には排卵前になるとホルモンが一時的に多量に分泌されるLHサージという現象が起こり、その後排卵されます。
排卵前にアフターピルを内服することでLHサージを遅延させたり、抑制させたりするため、排卵が阻害されて避妊ができるというわけです。
また、もう一つの効果として子宮内膜の増殖を抑制します。
アフターピルを服用すると子宮内膜を増殖させるホルモンの分泌が減少し、子宮内膜が増殖しにくい状態になります。
すでに排卵が起こって受精した状態になっていたとしても、子宮内膜が薄いため、受精卵が着床せず妊娠が成立しなくなるのです。
排卵を抑制して子宮内膜の増殖を抑える効果が得られるため、排卵後に服用しても一定の避妊効果が期待できます。
アフターピルの副作用とは?

ヤッペ法よりは頻度は少ないですが、アフターピルにも主に以下のような副作用があります。
- 消退出血
- 不正子宮出血
- 頭痛・悪心・倦怠感
ここからは、それぞれの副作用についてご紹介します。
消退出血
アフターピルを服用して1週間程度経過してから、生理による出血(消退出血)が起こることがあります。
期間に関しては個人差があり、服用後2〜3日で起こる方もいます。
通常の生理の時よりも少量で、色が茶色っぽい特徴がありますが、必ず起こるものではありません。
また、「服用後1週間程度経っても消退出血が来ない=妊娠した」ということではないので、消退出血の有無には個人差があることを知っておきましょう。
※補足データ:ノルレボの臨床試験では、46.2%に消退出血が発生したとの報告があります。
不正子宮出血
不正子宮出血とは、生理期間以外で出血が見られた状態のことであり、「不正出血」と表記されることもあります。
※臨床試験では13.8%の方に不正子宮出血が起こったと報告されています。
アフターピルにはホルモンが含まれているため、ホルモンの乱れにより不正出血が起こることも少なくありません。
ただし、妊娠初期の出血の可能性もあるので、不正出血が見られた場合は医療機関を受診して検査を受けましょう。
頭痛・悪心・倦怠感
頭痛が12.3%、悪心が9.2%、倦怠感が7.7%の方に発生したとの報告もあります。
これらの症状もアフターピルに含まれるホルモンによって引き起こされるものです。
悪心の副作用は報告されていますが、ヤッペ法ほど嘔吐を引き起こすケースは多くありません。
アフターピルを服用した全ての方に症状が現れるわけではありませんが、頭痛が辛い時は市販薬を併用しても問題ありません。
吐き気や頭痛などの症状が心配な方は、ピルを処方してもらう時に、吐き気止めと頭痛薬を一緒に処方してもらうと安心でしょう。
アフターピルの価格は?

アフターピルの価格は、
- プラノバール(ヤッペ法):4,000〜8,000円
- ノルレボ:15,000〜20,000円
- レボノルゲストレル:8,000〜11,000円
が相場になっています。
プラノバールを用いたヤッペ法が一番安く、アフターピルの先発品である「ノルレボ」が一番高額です。
レボノルゲストレルは、ノルレボの後発品(ジェネリック)であり、効果は同じものですが、値段が少し安いことが特徴です。
なお、緊急避妊に用いるアフターピルは、保険適用外の扱いなので自費で購入しなければなりません。
またクリニックによって取り扱いのあるピルの種類や値段も変わるので、相場金額にも幅があります。
当院のアフターピルは9,900円(税込)で処方しておりますので、お気軽にご相談ください。
アフターピルに関してよくある質問
アフターピルの使用を考えている方に向けて、よくある質問についてQ&A方式で答えていきます。
-
どうすれば処方して貰える?
緊急避妊薬であるアフターピルは、クリニックなどを受診して処方してもらう必要があります。
医師の処方が必要な薬なので、診察や服用の説明を受けることで購入が可能です。2019年に厚生労働省によってオンライン処方が解禁されたので、来院しなくてもオンライン診療を受けることでアフターピルを購入することができます。
仕事や家庭の事情で来院することができない方は、スマホ診察と薬を郵送で受け取れるスマホ診療サービスをご利用ください。 -
いつまでに飲まないとだめ?
性行為(セックス)後から72時間以内に服用することで、高い避妊効果が得られます。
アフターピルの服用は早ければ早いほど妊娠率は下がります。
例えば、月曜日に性行為があり避妊に失敗した場合は、95%以上の避妊効果が得られる期間は水曜日がリミットです。
避妊効果を確実に得るためにも、避妊に失敗してからできるだけ早く受診&相談してください。 -
副作用がひどい場合はどうすればいい?
副作用の出現には個人差がありますが、副作用がない方もいます。
ヤッペ法では嘔吐などの副作用の頻度が高いですが、アフターピルの副作用の頻度は少ないです。アフターピルの場合は、ピルを服用してから数時間で副作用の症状が出現し、そして通常は1日以内に治ります。
嘔気や嘔吐の副作用が心配な方やアフターピルを服用して嘔吐した経験がある方は、吐き気を抑える薬も合わせて処方してもらいましょう。また、アフターピルを服用後2時間以内に嘔吐してしまった場合は、再度同じ薬を服用する必要があります。
嘔吐してしまった場合は再び購入して服用する必要があるので、嘔吐が心配な方は医師に相談してください。
クリニックによっては希望すれば2回分を処方してもらえる場合もあるので、不安な方は事前に相談されることをおすすめします。アフターピルを服用後、2時間以上経過した後に吐いてしまった場合は、薬の効果は継続しているので再び服用する必要はありません。
-
通販でも買えるの?
アフターピルは通販でも販売されており、個人で購入することも可能になっています。
通販でも販売されていますが、アフターピルが本物ではない可能性や、日本で流通している薬の成分が異なるなどの危険性もあります。
特に日本で認可されているアフターピル以外を購入する場合は、海外経由での購入となり、安全性が保証されていないので自己判断して購入するのは危険です。
アフターピルを販売している通販サイトでは、医療機関で購入するよりも安い値段で売られていることもありますが、偽物である可能性も高いため注意が必要になります。
実際に、通販で購入したアフターピルを服用して効果が得られず妊娠してしまったり、副作用が強く出てしまったりなどの報告もあるようです。また、通販で購入したアフターピルを服用して起こった体調不良などに関しては、どんな成分が含まれているか分からないという観点から医療機関で診察を断られることもあります。
病院で購入できるアフターピルは自費なので費用も安くありませんが、安全と安心を考えると通販サイトは利用しない方が良いでしょう。 -
いつから低用量ピルを飲んで良い?
低用量ピルの服用を再開するのは、アフターピルを服用した翌日から可能です。
ただし、アフターピルを服用後に低用量ピルの服用を再開する際には以下の注意点があります。・避妊効果が得られるのは内服8日目以降
・念のため、アフターピル内服3週間後に妊娠検査を行う
・今回の生理周期の途中で不正出血を認める可能性がある低用量ピルを再開して避妊効果が得られるのは内服して8日目以降ですので、7日間はコンドームを使用した避妊が必要です。
稀に避妊に失敗して妊娠している可能性もありますので、低用量ピルの服用を再開して3週間後に念のため妊娠検査を行ってください。
万が一、妊娠反応が陽性の場合は内服を中断しなければいけません。また、アフターピル内服によって不正出血を認める可能性もありますが、病的な意義ではありませんのでご安心ください。
アフターピルが必要になったらすぐにオンライン診療へ!
アフターピルの避妊効果が得られるのは、性行為(セックス)後から72時間以内です。
コンドームが破れてしまっていたり、男性に避妊を協力してもらえなかったり、アフターピルが必要になる事情は様々でしょう。
避妊に失敗した時点ですぐにアフターピルを服用すれば、妊娠を阻止する可能性が高くなるので、精神的にも身体的にも負担が軽くなります。
当院ではアフターピルの処方もオンライン診療で対応しているので、予約いただくことで待ち時間なく自宅ですぐに受診していただけます。
お薬は郵送で最短翌日の午前中着でお届けしますので、オンライン診療を受診してから最短で翌日にはアフターピルを服用することが可能です。
オンライン診療の場合は、アフターピルが手元に届くまでに時間が必要になるので、できるだけ早くオンライン診療を受けていただくことをおすすめしています。
オンライン診療の予約は、公式LINEを友達追加してチャット上のやり取りで予約が可能です。