低用量ピルの役割

低用量ピル(Oral Contraceptives, OC)とは、女性ホルモンである「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲスチン(黄体ホルモン)」という2種類のホルモンを少量ずつ配合したお薬です。
毎日1錠を正しく服用することで、体内のホルモンバランスをコントロールし、排卵を抑制することで、極めて高い避妊効果を発揮します。
日本では、低用量ピルは使用目的によって2種類に大別されます。
- OC(Oral Contraceptives:経口避妊薬)
- 目的: 避妊
- 費用: 保険適用外(自由診療)
- LEP(Low dose Estrogen-Progestin:低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)
- 目的: 月経困難症や子宮内膜症などの治療
- 費用: 保険適用
成分は同じものですが、処方の目的によって名称や費用が異なります。この記事では、両方を総称して「低用量ピル」として解説していきます。
避妊だけじゃない、低用量ピルの主な効果

低用量ピルには、避妊以外にも女性の心と体をサポートする多くのメリットがあります。
ここでは代表的な9つの効果をご紹介します。
確実性の高い避妊効果
低用量ピルが最もよく知られている効果は、やはり避妊です。
主に以下の3つの作用によって妊娠を防ぎます。
- 排卵の抑制: 脳に「体内に十分ホルモンがある」と錯覚させ、卵巣からの排卵をストップさせます。
- 子宮頸管粘液の変化: 子宮の入口の粘液を変化させ、精子が子宮内へ侵入しにくくします。
- 子宮内膜の増殖抑制: 子宮内膜が厚くなるのを防ぎ、万が一排卵しても受精卵が着床しにくい状態にします。
これらの作用により、正しく服用した場合の避妊成功率は99.7%と、非常に高い効果が報告されています。
(※飲み忘れなどを含む一般的な使用での成功率は93%程度です)
アフターピル(緊急避妊薬)の仕組みとの違いも知っておくと、より理解が深まります。
つらい生理痛(月経困難症)の緩和
多くの女性を悩ませる生理痛は、子宮内膜から分泌される「プロスタグランジン」という痛み物質が原因です。
低用量ピルは子宮内膜が厚くなるのを抑えるため、プロスタグランジンの産生が減少し、子宮の過度な収縮が抑えられ、痛みが大幅に緩和されます。
この効果は月経困難症の治療として保険診療でも認められており、多くの方がつらい痛みから解放されています。
生理痛による経済損失は年間5,700億円!?
実は、生理痛などの女性特有の健康課題による経済損失は、日本全体で年間5,700億円にも上ると試算されています(経済産業省調べ)。
これは個人の問題だけでなく、社会全体にとっても大きな課題です。
最近では、福利厚生として低用量ピルの服用をサポートする企業も増えてきています。
我慢せずに、医療の力を借りることは決して特別なことではありません。
つらい生理痛でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
当院では、お忙しい方でも受診しやすいオンライン診療にも対応しております。
生理不順の改善と周期の安定化
「次の生理がいつ来るか分からなくて、予定が立てられない…」という生理不順の悩みも、低用量ピルで解決できます。
ピルを服用すると、ホルモンバランスが整い、28日周期で安定的に出血が起こるようになります。
これにより、旅行や試験、大切なイベントなどの予定も格段に立てやすくなります。
また、医師の指導のもとで服用スケジュールを調整すれば、生理日を意図的にずらす(生理移動)ことも可能です。
経血量の減少による貧血の改善
低用量ピルは子宮内膜を薄い状態に保つため、生理時の経血量が減少します。
出血量が多いために起こる鉄欠乏性貧血に悩んでいる方にとって、これは大きなメリットです。
PMS(月経前症候群)の症状軽減
生理前になるとイライラしたり、気分が落ち込んだり、頭痛がしたりなど。
こうしたPMSの症状は、排卵後に起こる急激なホルモン変動が原因です。低用量ピルは排卵を止め、ホルモン変動をなだらかにするため、生理前のイライラやメンタルの不調を和らげる効果が期待できます。
ニキビ・肌荒れの改善
生理前に繰り返すニキビや肌荒れも、ホルモンバランスの乱れが原因の一つです。
特に、皮脂の分泌を促進する男性ホルモン(アンドロゲン)の影響が知られています。
低用量ピルには、この男性ホルモンの働きを抑える作用があるため、皮脂の過剰分泌を防ぎ、ニキビや肌荒れの改善につながります。
美容目的のピルは、もう恥ずかしくない
「避妊目的でもないのにピルを飲むのは、少し恥ずかしい…」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、その認識はもう時代遅れです。
欧米諸国では女性の20%以上がライフスタイル向上のためにピルを服用しており、ニキビ治療薬として承認されている国もあります。
肌のコンディションを整えるためにピルを飲むことは、自分を大切にするヘルスケアの一つです。
子宮内膜症の予防・改善
子宮内膜症は、本来子宮の内側にあるはずの内膜組織が、他の場所(卵巣や腹膜など)で増殖してしまう病気です。
低用量ピルは排卵を止め、子宮内膜の増殖を抑えるため、子宮内膜症の発症や進行を抑制し、痛みを和らげる効果があります。
将来の特定のがんリスクを低減
低用量ピルの長期服用は、実は一部のがんのリスクを減らすことが多くの研究でわかっています。
特に、卵巣がんと子宮体がん(子宮内膜がん)の発症リスクを大幅に低下させることが確認されており、5年以上の服用で卵巣がんのリスクが約半分になるという報告もあります。
QOL(生活の質)の向上
これまで挙げた効果の総称とも言えますが、低用量ピルは女性のQOL(生活の質)を大きく向上させます。
生理のたびに寝込んだり、気分に振り回されたり、肌荒れに悩んだりする日々から解放され、仕事やプライベートを自分らしく、もっとアクティブに楽しめるようになります。
欧米でピルが「ライフデザインドラッグ」と呼ばれる所以です。
知っておきたい低用量ピルの副作用

多くのメリットがある一方、副作用が心配な方も多いでしょう。
低用量ピルの副作用は、正しく知ることで過度な不安を解消できます。
よくあるマイナートラブル(飲み始めの副作用)
服用開始後の1〜3ヶ月は、体がホルモンの変化に慣れる過程で、以下のような軽度な副作用(マイナートラブル)が起こることがあります。
- 吐き気、気分の悪さ
- 頭痛
- 乳房の張りや痛み
- 不正出血(生理以外の出血)
- むくみ
これらの症状は、ほとんどの場合、服用を続けるうちに自然に軽快・消失します。
もし症状が長引いたり、つらいと感じる場合は、ピルの種類を変更することで改善することもありますので、我慢せずに医師にご相談ください。
重大な副作用:血栓症について
低用量ピルで最も注意すべき副作用が「血栓症」です。
これは、血管の中で血の塊(血栓)ができて血管を詰まらせてしまう病気で、非常に稀ですが重篤な状態に至る可能性があります。
ただし、そのリスクを正しく理解することが重要です。
- ピルを飲んでいない人の発症リスク: 年間1万人あたり1〜5人
- ピルを飲んでいる人の発症リスク: 年間1万人あたり3〜9人
リスクはゼロではありませんが、その確率は非常に低いことがわかります。
また、このリスクは妊娠中(1万人あたり5〜20人)や出産後(1万人あたり40〜65人)のリスクよりも低いものです。
喫煙者、肥満、高年齢などの特定の条件下ではリスクが上昇するため、処方前の問診が非常に重要になります。
万が一に備え、以下の血栓症の初期症状(ACHES)を覚えておきましょう。
このような症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。
- Abdominal pain (激しい腹痛)
- Chest pain (激しい胸痛、息苦しさ)
- Headache (激しい頭痛)
- Eye/Speech problems (視覚の異常、ろれつが回らない)
- Severe leg pain (ふくらはぎの痛み・むくみ・腫れ)
副作用についてご不安な点があれば、どんな些細なことでも構いません。
当院の医師が丁寧にご説明し、あなたの不安を解消するお手伝いをします。
自分に合ったピルを見つけるには
低用量ピルは配合されている黄体ホルモン(プロゲスチン)の種類によって、第1世代から第4世代までに分類されます。
世代が新しくなるにつれて、黄体ホルモンのアンドロゲン(男性ホルモン)作用が弱く抑えられる傾向があります。
アンドロゲン作用が強いほど食欲増進や体重増加、にきび・多毛(体毛が濃くなる)などの副作用が出やすい傾向があります。
各世代の主な特徴は次のとおりです。
低用量ピルの「世代」の違いとは?
低用量ピルは、含まれる「黄体ホルモン(プロゲスチン)」の種類により第1〜第4世代に分かれています。
世代が進むにつれて、副作用を抑えたり、美容面での効果が期待できたりと、改良が加えられています。
第1世代(ノルエチステロン)
第1世代(ノルエチステロン)は、最も古くからある低用量ピルです。
一番最初に製造・承認されたこともあり、生理痛の緩和や経血量の減少に高い効果が期待できます。
実際、月経困難症(ひどい生理痛)や子宮内膜症の治療目的で処方されることも多い世代です。
デメリットとしては、他の世代に比べて不正出血(予定外の出血)がやや起こりやすいとされています。
頭痛やむくみなどの副作用が現れる場合もあります。
第2世代(レボノルゲストレル)
第2世代(レボノルゲストレル)は、第1世代の改良版にあたるピルで、避妊効果や生理周期のコントロール効果が安定しているのが特徴です。
第1世代よりも不正出血が起こりにくく、生理日をきちんと管理しやすいメリットがあります。
副作用としては頭痛・腹痛・吐き気などが起こる可能性がありますが、これらは飲み始めに一時的に現れることが多い症状です。
またごくまれに血栓症(血のかたまりができる症状)を引き起こすリスクがわずかにあるため注意が必要です。
第3世代(デソゲストレル)
第3世代(デソゲストレル)は、第2世代よりさらに改良が進んだピルで、アンドロゲン作用を抑える効果が高いのが特徴です。
そのため、第3世代ピルにはニキビや多毛症(毛深さ)の改善が期待できるとされています。
避妊や生理痛緩和の効果は第2世代と同様に高く維持しつつ、副作用としてのにきび改善効果も得られる点がメリットです。
一方で、副作用として頭痛や発疹が起こる可能性があり、長期間服用した場合にごくまれに抑うつ症状(気分の落ち込み)や性欲低下が見られることも報告されています。
そうした症状が出た場合は我慢せず医師に相談しましょう。
第4世代(ドロスピレノン)
第4世代(ドロスピレノン)は、最も新しい世代のピルで、超低用量ピルに分類されることがあります(卵胞ホルモンの含有量が従来よりさらに低いため)。
黄体ホルモンにドロスピレノンを用いたこの世代のピルは、むくみにくい(体が水分をため込みにくい)のが大きな特徴です。
ドロスピレノンにはカリウム保持作用(利尿作用に似た効果)があり、水分による体重増加やむくみの副作用が抑えられます。
また、第4世代ピルは生理前の不調(PMS〈月経前症候群〉)の改善にも用いられます。
実際にPMSや月経前のむくみ・イライラの軽減目的で処方されることもあります。
ただし頭痛や不正出血、腹痛などの副作用が起こる可能性は他の世代同様にあります。
第4世代だからといって全員にとって必ずしも優れているわけではなく、人によって合う・合わないがある点は他の世代と同じです。
世代 | 主な成分 | 特徴 | 向いている人 |
第1世代 | ノルエチステロン | 生理痛や経血量の抑制に効果的。やや不正出血が起こりやすい。 | 生理痛が強い方 |
第2世代 | レボノルゲストレル | ホルモンバランスが安定。避妊効果が高く、生理周期も整いやすい。 | 安定性を重視する方 |
第3世代 | デソゲストレル | 男性ホルモンの作用を抑えることで、ニキビや多毛を改善。 | 肌荒れや多毛が気になる方 |
第4世代 | ドロスピレノン | むくみにくく、PMSの改善が期待できる。超低用量。 | PMSやむくみが気になる方 |
ピルの「相性」ってなに? 1相性〜3相性の違い
ピルの相性とは、1シート(一般的に21~28日分)に含まれるホルモン量の変化パターンの違いを指します。
1シート内でホルモン量が一定か、段階的に変化するかによって「○相性」という分類があります。
ピルには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモンの2種類の女性ホルモンが含まれていますが、低用量ピルでは卵胞ホルモンの量はシートを通して一定で、黄体ホルモンの配合量のみを変化させて調整しています。
1相性ピル
1相性ピル(いっそうせいピル)とは、シート中の21錠すべてでホルモン量(特に黄体ホルモン量)が一定のタイプです。
毎日同じ配合のため、体内のホルモン量が安定します。
例えば全ての錠剤が同じ色で構成されたシートが1相性ピルです。
ホルモン量が一定な分、ピルを飲む順番をうっかり入れ替えてしまっても問題になりにくいという利点があります。
また、第3・第4世代など男性ホルモン作用の少ない黄体ホルモンを使った1相性ピルは肌荒れやニキビの改善効果も期待できるとされています(例えばマーベロンやヤーズなどが該当します)。
2相性ピル
2相性ピル(にそうせいピル)とは、シート内で黄体ホルモンの量が2段階で変化するタイプです。
一般的には、排卵前と排卵後(黄体期)の2フェーズに合わせて配合量が変わる設計になっています。
現在日本で入手できる低用量ピルでは2相性の製品は多くなく、ピルの段階型の主流は後述の3相性になっています。
「2相性」は1相性と3相性の中間にあたるタイプですが、実際には使用頻度が少ないため、あまり目にする機会はないかもしれません。
3相性ピル
3相性ピル(さんそうせいピル)とは、シート内で黄体ホルモンの配合量が3段階で変化するタイプです。
21日間で段階的に黄体ホルモン量が増えていくよう設計されており、体内の自然なホルモン分泌パターンに近づけてあります。
例えば錠剤の色が段階ごとに異なるシートは3相性ピルです。
ホルモン量の変化に体がより沿いやすいため、不正出血(スポッティング)が起こりにくい傾向があります。代表的な3相性ピルにはトリキュラーやアンジュなどがあり、これらは色分けされた錠剤を順番通りに飲んでいきます。
注意点として、ホルモン配合が時期によって異なるため服用順序を間違えてしまうと十分な効果が得られない可能性があります。
そのためシートに記載された順番どおりに飲み進めることが重要です。
なお、避妊効果や生理痛の軽減効果といった基本的な効果は1相性でも3相性でも変わりません。
あくまでホルモン配合パターンの違いによる使い心地や副作用の出方の違いになります。
「ホルモン量が一定で安定する1相性が合う」という人もいれば、「自然な周期に近い3相性の方が調子が良い」という人もおり、どちらが優れているというものではありません。
医師と相談のうえで、自分の体調変化に合ったタイプを選ぶことが大切です。
相性 | ホルモン量の変化 | 特徴 | 向いている人 |
1相性 | すべての錠剤で同じ | 飲み間違いしにくく、ホルモンバランスが安定 | 初めてピルを使う方・飲み忘れしやすい方 |
2相性 | 途中で1回変化 | 現在はほとんど使用されていない | ― |
3相性 | 段階的に3回変化 | 体の自然なホルモン変化に近く、不正出血が少ない | 生理不順が気になる方・不正出血が起こりやすい方 |
ミニピル

ミニピルは、エストロゲンを含まず、プロゲスチンのみを含むピルです。
血栓症リスクがほとんどないため、喫煙者や40歳以上の方、授乳中の方など、エストロゲンを含むピルが使えない場合に良い選択肢となります。
当院では、低用量ピルがご使用になれない40歳以上の方にもお使いいただけるミニピルも取り扱っております。
どのピルの種類が自分に合っているかは、体質や改善したい症状によって異なります。
医師としっかり相談し、最適なピルを選ぶことが大切です。
自分に合ったピルの選び方のヒント

低用量ピルは種類が多いため、自分に合ったものを選ぶ際には目的や体質に合わせて検討することがポイントです。
以下に、よくある目的・お悩み別に選び方のヒントをまとめます。
副作用をできるだけ抑えたい人
基本的に、低用量ピルはどの世代でも従来の中用量ピルより副作用が少なく作られていますが、その中でも新しい世代のピルほど男性ホルモン様作用が弱く、副作用(食欲増進や体重増加、にきび等)が出にくい傾向があります。
そのため、にきび・体重増加などが心配な方は、第3世代や第4世代など黄体ホルモンのアンドロゲン作用が弱いピルを試してみると良いでしょう。
一方で、「新しい世代だから絶対自分に合う」というわけではなく個人差があります。
調子が合わない場合は無理に続けず、他の世代のピルに変更することも検討しましょう。
肌荒れやニキビを改善したい人
美肌効果を期待するなら第3世代以降の低用量ピルがおすすめです。
第3世代のピル(デソゲストレル配合)は男性ホルモンの作用を抑える効果が高く、実際に服用者から「ニキビが改善した」「肌の調子が良くなった」という声もあります。
第4世代のピル(ドロスピレノン配合)にも抗アンドロゲン作用があり、皮脂分泌を抑えてニキビ改善に寄与します。
ピル自体が肌荒れ改善の目的で公式に承認されているわけではありませんが、ホルモンバランスの安定による付随効果として期待できます。
PMSやむくみを改善したい人
生理前のイライラや落ち込み、体のむくみなどPMS症状の軽減には、第4世代のドロスピレノン配合ピルが向いているといわれます。
ドロスピレノンは利尿作用に似た働きがあり、水分による体重増加やむくみの抑制に効果的です。
実際、第4世代の「ヤーズ」などは月経前症候群の治療目的で処方されることがあります。
また、どの世代のピルでもホルモンバランスを整えることでPMSの精神的症状の緩和が期待できますが、特に症状が重い方は超低用量である第4世代ピルについて医師に相談してみると良いでしょう。
生理痛をしっかり抑えたい人
生理痛や過多月経の改善が主な目的であれば、黄体ホルモンの作用がしっかりある第1世代や第2世代のピルが処方されることが多いです。
第1世代ピル(ノルエチステロン配合)は特に生理痛・月経量の軽減効果が高いとされ、月経困難症の治療薬(LEP剤)として保険適用で使われる製剤もあります。
第2世代ピルも避妊目的だけでなく、生理周期の安定や経血量の減少に十分な効果があります。
もちろん第3世代や第4世代でも生理痛軽減効果はありますが、痛みが特に強い方は医師があえて第1世代のピルを選ぶ場合もあります。
不正出血が気になる人
ピルを飲み始めの頃によくある不正出血(少量の出血が続く症状)は、服用を続けるうちに治まることがほとんどです。
しかしそれでも不正出血が続いて気になる場合、ホルモン配合が段階的なピル(3相性ピル)に変えてみるのも一つの方法です。
3相性ピルは先述のようにホルモン変動が自然に近いため、不正出血が起こりにくい特徴があります。
実際、第1世代ピルから第2世代ピルに変えたら不正出血が減ったというケースもあります。
現在服用中のピルで出血が頻繁に起こるようであれば、医師に相談して別の種類(世代や相性)のピルに変更を検討してみましょう。
飲み忘れが心配な人
ピルの効果を確実に得るには飲み忘れなく毎日続けることが大前提です。
飲み忘れが不安な方は、28錠タイプ(28日分連続で服用できるタイプ)のピルがおすすめです。
28錠タイプは21錠の実薬+7錠の偽薬で構成されており、休薬期間も錠剤を飲み続けることで「毎日1錠飲む」習慣を途切れさせない工夫がされています。
その結果、7日間休薬する21錠タイプよりもうっかり新しいシート開始を忘れるリスクが減ります。
また、1相性ピルであれば前述のとおり飲み間違いの影響も少ないため、初めてピルを使う方やルーズな方でも続けやすいでしょう。
どうしても飲み忘れが多い場合は、ピル以外の避妊法(例えば長期避妊効果のある子宮内リングなど)も選択肢になるので、医師と相談してみてください。
最後に、低用量ピルは種類ごとに特徴がありますが、「絶対的にこのピルが一番良い」というものはありません。
人それぞれ体質や目的が異なるため、実際に数シート試してみて合わないと感じたら別のピルに変更することも珍しくありません。
医師と相談しながら、自分の体調やライフスタイルに合ったピルを根気よく見つけていきましょう。
必要に応じて世代や相性の異なるピルを試し、自分にとってメリットが大きくデメリットが少ないピルを選ぶことが大切です。
困ったことや副作用があれば遠慮なく医師に相談し、適切なアドバイスを受けてください。
自分に合ったピルに出会うことで、避妊はもちろん、生理にまつわる悩みの軽減やQOL(生活の質)の向上につながるでしょう。
低用量ピルの正しい飲み方と注意点

ピルの効果を最大限に引き出すためには、正しい服用が欠かせません。
基本的な飲み方
- 1日1錠を、毎日なるべく同じ時間に水またはぬるま湯で服用
- 通常、生理が始まった日から飲み始めます
- 21錠タイプは21日間服用後7日間休薬、28錠タイプは偽薬を含め毎日服用を続けます
飲み忘れた場合の対処法
もしピルを飲み忘れてしまった場合は、慌てずに対応しましょう。
- 1錠飲み忘れた場合: 気づいた時点ですぐに飲み忘れた1錠を服用し、その日の分も通常通りの時間に服用します。避妊効果は維持されることがほとんどです
- 2錠以上連続で飲み忘れた場合: 避妊効果が低下している可能性があります。服用を中止するか、状況に応じた対処が必要になるため、速やかに医師にご相談ください。状況によっては、コンドームなど他の避妊法を併用する必要があります
服用できない方(禁忌)
安全上の理由から、以下に該当する方は低用量ピルを服用できません。
- 乳がん、子宮体がんなどの既往歴がある方
- 血栓症の既往歴がある方
- 前兆(閃輝暗点など)を伴う片頭痛がある方
- 35歳以上で1日15本以上喫煙される方
- 重度の高血圧や肝臓の病気がある方
- 妊娠中またはその可能性がある方、授乳中の方(※ミニピルは可能な場合があります)
処方前には必ず医師が問診を行い、服用が可能かどうかを判断します。
低用量ピルの入手はオンライン診療もご活用ください

低用量ピルの費用について
- 避妊目的(OC): 保険適用外の自由診療となり、1ヶ月あたり2,500円~3,500円程度が目安です
- 治療目的(LEP): 月経困難症などの診断があれば保険適用となり、3割負担で1ヶ月あたり1,000円~2,500円程度です
低用量ピルの入手方法
低用量ピルは医師の処方が必要な医薬品です。産婦人科などの医療機関で処方を受けるのが基本ですが、当院のようにオンライン診療でも処方が可能です。
「病院に行く時間がない」「婦人科は少しハードルが高い…」 当院では、そんな方のためにスマートフォンやPCを使ってご自宅から医師の診察を受けられるオンライン診療に対応しています。診察後、ピルをご自宅まで郵送するため、誰にも会わずに処方を受けることが可能です。
低用量ピルに関するご相談や処方をご希望の方は、ぜひお気軽に当院のオンライン診療をご利用ください。
低用量ピルを正しく理解し、あなたの毎日をより快適に
低用量ピルは、確実な避妊はもちろんのこと、つらい生理痛、PMS、肌荒れといった女性特有の悩みを解決し、QOL(生活の質)を大きく向上させてくれるお薬です。
副作用などの不安もあるかもしれませんが、正しい知識を持ち、医師のサポートのもとで服用すれば、そのメリットは非常に大きいと言えます。
一人で悩まず、まずは専門家である私たちにご相談ください。プライベートクリニック高田馬場は、あなたが自分らしい健やかな毎日を送るための、頼れるパートナーでありたいと願っています。
低用量ピルに関するよくある誤解と質問
ここでは、患者様からよくいただく質問にお答えします。
-
ピルを飲むと太るって本当ですか?
いいえ、現在の低用量ピルが直接的な原因で太ることは、医学的に証明されていません。
飲み始めにむくみを感じることはありますが、多くは一時的なものです。
むしろ、PMSによる過食が抑えられ、体重が安定する方もいらっしゃいます。 -
長く飲むと、将来妊娠しにくくなりますか?
いいえ、なりません。ピルの服用をやめれば、体は自然な排卵周期に戻ります。
服用期間が将来の妊娠する力(妊孕性)に影響を与えることはありませんので、ご安心ください。
服用中止後、多くの方は3ヶ月以内に排卵が再開します。 -
ピルを飲んでいれば、コンドームは不要ですか?
避妊効果は非常に高いですが、HIVやクラミジアなどの性感染症(STI)を防ぐことはできません。
性感染症予防のためには、コンドームの使用が推奨されます。 -
未婚でも処方してもらえますか?内診は必要ですか?
はい、未婚・既婚にかかわらず、必要であれば処方可能です。
また、ピルの処方にあたって、原則として内診(婦人科的な診察)は不要です。問診と血圧測定などで安全性を確認した上で処方いたしますので、婦人科の受診に抵抗がある方もご安心ください。